花ごよみ    三次地区で咲いた四季の花をご紹介します
11月の花・マユミ
マユミ(檀、真弓、檀弓)は、ニシキギ科ニシキギ属の落葉低木で、別名ヤマニシキギともいいます。日本、朝鮮半島が原産です。この材は、ねばり強くてよくしなり、昔弓を作ったことに由来し真弓と名づけられました。
 春から初夏にかけて四枚の花びらをもつ緑白色の小さな花を咲かせます。その後秋から初冬にかけては、淡い紅色に熟した果実が四つに裂けて、中から赤いタネが現われます。しかしこの
タネには毒があり、少量を食べても吐
き気、下痢をおこし、筋肉の麻痺まで引き起こすこともあります。樹皮は鎮痛、鎮咳、駆虫に使われます。また春の若芽は、茹でて和物や天麩羅にして食すことができます。
 枝いっぱいに鈴なりになった紅い実はとてもきれいで、庭木や盆栽として愛されています。
 マユミの花言葉は『艶めき』です。
 写真のマユミは、三次町の山内美晴さん宅で撮影したものです。その一郭は、ぽっと明るい照明を灯したように明るく見えました。
 深山辺(みやまべ)や 真弓よりこき色ぞなき 紅葉は秋の ならひなれども   土御門院

                  

10月の花・ツワブキ
ツワブキは、キク科ツワブキ属の常緑多年草で、和名は石蕗です。日本、中国が原産地とされ、本州の福島県以西、四国、九州、沖縄の海岸で生育し、朝鮮南部、中国、台湾にも広く分布しています。海岸だけではなく、人里、田畑、原野などの環境でも生きる強い植物です。改良を加えた園芸品種が、庭や公園の下草として植えられています。
 ツワブキの名称の由来は、葉の形がフキに似て光沢があることから、艶蕗(ツヤフキ)、艶葉蕗(ツヤハフキ)から転じたもののようです。
 春先の若い葉を茹でて水にさらし、灰汁抜きをしたものを、醤油で味付けしたり油炒めをして食します。佃煮はキャラブキと呼ばれて好まれ、秋の蕾は天ぷらにして食べることもできます。
 また薬用としても使われます。葉の青汁にはヘキセナールという抗菌作用があり、あぶって柔らかくし細かく刻んだものは、打撲、切傷、湿疹などに効き、ツワブキの乾燥した根茎を煎じたものは健胃、食当たり、下痢に効果があります。
 ツワブキの花言葉は『愛は蘇る』
 写真のツワブキは、院長本宅庭で咲きました。初冬の季語になっており、花の少ない晩秋時から初冬にかけて咲きはじめ、鮮やかすぎるほどのツワブキの黄色は、花が終わり木々の葉も落ちて寂しくなった庭に、活力を与えるように力強く咲いています。


9月の花・シュウメイギク
シュウメイギクは菊の仲間ではなく、キンポウゲ科アネモネ属の多年草です。原産地は中国ですが、日本に渡り本州、四国、九州の山野に自生しています。9月から10月にかけて、菊の花のように清楚に咲くので秋明菊といわれます。
 英名は、Japanese anemone(ジャパニーズ・アネモネ)で、京都市貴船に多く見られることからキブネギクとも呼ばれます。 
 園芸品種となったものは1844年、
フォーチュンにより上海からイギリスに送られ、1847年にネパール原産のアネモネ・ビィティフォリアと交配されました。日本の庭によく植えられる白の一重咲きはイギリスで品種改良されたものです。
 シュウメイギクの花びらにみえるのは萼で、細長い茎の先に3枚の小葉をつけ、秋になると、白、桃色、淡紅紫色の花に似た萼片をつけ、茶花としても使われます。
 シュウメイギクの花言葉は『忍耐・薄れゆく愛』
 写真のシュウメイギクは、庄原市口和町の麻尾さん宅で咲きました。桃色の愛らしい花で、風にゆらゆら揺れながら秋の香りをふりまいています。


8月の花・サルスベリ
サルスベリはミソハギ科サルスベリ属で中国南部原産の落葉中高木です。サルスベリ属は熱帯、亜熱帯に分布し、日本では南西諸島にシマサルスベリ、ヤクシマサルスベリが自生しています。
 日本には江戸時代のはじめ頃に渡来し、樹皮は薄くはげやすく、幹の肌がなめらかでつるつるしているところから猿でもすべるということで名付けられました。
 また花の期間が長く百日間も咲き続
けるというので、百日紅(ヒャクジツコウ)とも呼ばれます。実際には、一度咲いた枝先から再度芽が出てきて花をつけるため、そのまま咲いているように見えます。英語名Crape myrtleは、ミルテの花に似て、花弁が縮れていることからつけられました。中国では、紫微(宮廷)によく植えられたため紫微と呼ばれます。
 サルスベリの花言葉は『雄弁』
 写真のサルスベリは、三次町旭町の土手前で咲きました。厳しい夏の暑さにもひるまず咲く姿は、強い生命の輝きを感じさせます。
 散れば咲き 散れば咲きして百日紅    千代女



6月の花・薔薇(バラ)
薔薇はバラ科バラ属の落葉または常緑の低木で、匍匐性またはつる性の植物で多くはトゲをもちます。英名はRose、ケルト語のrhod(赤)が語源といわれています。古来より人々に大変愛されてきました。
  ヨーロッパでは11世紀にはじまった十字軍の遠征や16世紀の大航海時代の到来で、アジアやパレスチナなどから多くの野性種の薔薇が持ち込まれました。東西の薔薇を交配して品種改良がさかんに行なわれ、現在オールドロ
ーズと呼ばれている品種が作り出されました。一方モダンローズ(現代薔薇)
の第一号「ラ・フランス」が出品されたのは1867年、一季咲のオールドローズよりも長く花を楽しめる四季咲の大輪種が誕生しました。日本では、「常磐風土記」や「万葉集」に「うばら」、「うまら」として記されているのが最も古い記録です。日本の野性種には「ノイバラ」、「テリハノイバラ」、「アズマイバラ」などがあります。
 薔薇の花言葉は色により多種ありますが、全般的なものは『愛情』、『嫉妬』、『内気な恥ずかしさ』。
 写真の薔薇は、三次市三次町の瀧尾さん宅で咲いたもので「カクテル」という品種のつる薔薇です。八重咲きのものにはない一重の清楚さと、燃えさかるような見事な赤色は、薔薇のもつ奥の深い美しさ感じさせます

                    
                      
4月の花・カタクリ(片栗)
カタクリ(片栗)はユリ科カタクリ属の多年草で、比較的日光の差す落葉広葉樹の林床に群生します。カタクリは、薄紫色の6弁の花が外に曲がり、反転して下を向いて咲きます。
片栗は、食用にする根の鱗片が栗の実を半分にしたような形からつけられ、古くは堅香子(かたかご)と書き、万葉集のなかで大伴家持によって詠まれています。
カタクリの種子には蟻の好むエライオソームという物質がついていて、蟻に拾われることによって生育地を広げます。また花が散って実がこぼれ、実生が花を咲かせるまでに7年から8年もの長い歳月を要します。
早春に他の花に先駆けて花を咲かせ、その後まわりの木々や草が緑になるころには地上から姿を消してしまいます。このことから、ヨーロッパではスプリング・エフェメラル(春のはかない命)と呼ばれています。
カタクリの花言葉は「初恋」
写真のカタクリは、三次市灰塚ダムで咲いたものです。まわりの寂しい枯れ草のなかにあって、りんとした可憐な姿は、思わず駆け寄りたくなるほど魅力的です。
もののふの 八十をとめらが
くみまがふ 寺井の上の
堅香子の花

 大伴 家持


 3月の花・貝 母(ばいも)
 貝母はユリ科バイモ属で、中国原産の耐寒性球根多年草です。花びらの内側が編目模様になっていることから、別名編笠百合(あみがさゆり)とも呼ばれます。学名のFritillaria(フリティラリア)はラテン語の「fritillus(サイコロを入れる筒)」が語源です。貝母という名前は、鱗茎(球根)が2枚貝に似ていること、大小2片でできている鱗片が、
母と子が抱き合ったように見えることから名付けられました。バイモは、漢名「貝母」の音読みです。
 釣り鐘のように下向きに咲く、淡い緑白色の清楚な花で、茶花としても使われます。また葉の先端のつるが細長く伸びて、他の植物などに巻き付きます。
 鱗茎は乾燥させて漢方薬として使われ、解熱、鎮咳、排膿、止血の効果があるとされています。
 貝母の仲間には日本に自生する黒百合や、小さくて花を一つだけつける小貝母があります。
 花言葉は『謙虚な心・威厳・威光』。
 写真の貝母は、当院裏の花壇で咲きました。花や茎が、わずかな風にさわさわと揺れるのも風情があります。華やかで明るい色の多い春の花のなかでは、地味な花のようにも感じますが、見ていると、何となく落ち着いた静かな心を誘う花です。


 2月の花・アネモネ
 アネモネはキンポウゲ科の多年草で、世界の温暖地域、特にユーラシア大陸に多く分布する球根植物です。アネモネの仲間には、フクジュソウ、クレマチス、キンポウゲがあります。
Anemoneという属名は、ギリシャ語でanemosに由来しています。またギリシャ神話で、美少年アドニスの流した血によってこの植物が生まれたという伝説からきた名前ともいわれています。
 アネモネの自生地のひとつパレスチナから、十字軍の土産としてヨーロッパに導入され、15から18世紀にかけて主にイギリス、オランダによって栽培され多くの品種が作り出されました。
アネモネには花弁がなく、花びらは花弁ではなくがくへんです。また種は長い毛をもっていて風で運ばれます。英名でWIND FLOEER(風花)なのもうづけます。
 花言葉は「期待・はかない恋・消える希望」
写真は三次町の倉迫澄枝さん宅の庭で咲いたアネモネです。まだ固い土のなかですっくと立ち上がり、その美しい個性を主張しているようです。    


 1月の花・山茶花 (さざんか)
山茶花はツバキ科の耐寒性常緑高木です。日本が原産で、江戸時代に長崎のオランダ商館にきていた、医師ツンベルクという人がヨーロッパへ持ち帰り、西欧でも広まっていきました。
冬枯れの時期に咲き、椿とよく似ています。山茶花は葉緑がギザギサしていて、花弁がばらばら゜になって地面に散りますが、椿は花首からポロリという感じで落ちてしまいます。
また椿は冬から春に向けて花が咲き、山茶花は、紅葉が終わり空気が急に冷たくなったころから冬に向けて咲きます。
「サザンカ、サザンカ 咲いた道 焚き火だ 焚き火だ 落ち葉炊き」という懐かしい童謡の歌詞がそれをあらわしています。
花言葉は「ひたむきな愛・謙譲・愛嬌」
写真の山茶花は、当院看護師重本幸恵さん宅の庭で咲いたものです。冬空に鮮やかな色で咲き、気持ちを明るくさせてくれます。
 山茶花は つぎつぎ紅き 莟もてり 咲きをわるべき ときの知らなく   中村 憲吉


12月の花・シクラメン
 シクラメンはサクラソウ科。シリアからギリシャが原産の多年草で、日本には明治末期に渡来しました。
和名は「篝火花(かがりび)」といい、原産の地中海では球根の形から「豚の饅頭」などといわれています。ハート型の葉と
華やかな色の花で、冬の鉢植えとして人気が高く、19世紀頃から現在のような大輪系の品種がうまれました。色は濃いピンク、赤、白、ピンクがあり、八重咲きや花びらが縮んだフレンジ系のものがあります。
花言葉は「清純、内気、はにかみ」
鉢植えの管理方法は、なるべく日当りのよい場所におき、鉢土の表面が乾いてから水をたっぷり与えます。鉢の底に水がたまるものの場合は、底面給水用なので底に水をいれます。
咲き終わった花や黄色くなった葉は早めに根元から取り除き、肥料は千倍くらいに薄めた液肥を10日に一度与えます。
花が咲き終わったあとでまた咲かせる方法は、花が終ったあと夏は休眠させ秋からまた葉が出るような管理をして春に咲かせるものと、花が咲き終わっても休眠させず、生育させ、秋の終わりから花を咲かせる方法があります。
写真のシクラメンは当院玄関ロビーに飾ってあるものです。訪れる患者さんを暖炉のかがり火のように暖めてくれます。


 11月の花・万両(マンリョウ)
万両は別名藪橘(やぶたちばな)ともいい、ヤブコウジ科ヤブコウジ属の耐寒性常緑低木です。原産ははっきりしませんが、朝鮮半島、中国、インドにみられます。日本では関東以西の照葉樹林帯に広く分布しています。
7月ころに白い可憐な小花を多数下向きに咲かせ、花後につける球形の実は、晩秋になると赤く熟し冬のあいた゜長く残ります。鳥が好んで食べるので、庭のあちこちに苗が目を出したりします。
似た植物に千両がありますが、千両はセンリョウ科で実が葉より上につき、赤い色はいくぶん朱色がかかっていて華やかに感じます。一方万両は、葉が茎の上部につき、実はかくれるように房状に下向きにつき、色も沈んだ渋い赤をしています。
千両、万両の実は赤だけではなく白や黄色もあり、縁起物としてお正月の生け花に使われたり、庭木や鉢植えにして好まれます。
花言葉は「固い誓い・陰徳・慶祝」
写真の万両は、三次市和知町の福田さん宅で撮影しました。花の少ない時期に、その赤い色は見る人を明るい気分にさせます。雪をかぶった姿も風情のあるものです。

 10月の花・都忘れ
 都忘れはキク科ミヤマヨメナ属の多年草の花で、別名野春菊、東菊ともよばれ、山野に咲く日本原産ミヤマヨメナ(深山嫁菜)を品種改良して栽培されました。風情あるこの名前は、順徳上皇の故事によるといわれています。承久の乱で、後鳥羽上皇率いる朝廷軍は、時の鎌倉幕府から政権を奪取しようとしましたが、これに敗れ、後鳥羽上皇は隠岐へ、順徳上皇は佐渡へ流刑されました。悲しみの順徳上皇が配所で詠んだ  「いかにして 契りおきけむ白菊を 都忘れと名づくも憂し」という和歌に由来するものといわれています。20年余にもおよぶ配流の地で、荒れ果てた庭に咲く小菊をめで、父帝後鳥羽上皇が都で愛した白菊に似たこの花を「都忘れ」と名づけたからさされています。
花言葉は「穏やかさ・しばしの憩い」
写真の花は、当院裏にある花壇で咲いたものです。秋の物哀しい日暮れ時、ふと目にとまった薄紫色の花の可憐さに、心は遠く佐渡島の順徳上皇の伝説の情景まで呼び起こしました。


                               
 9月の花・ 月下美人
 月下美人は、メキシコの熱帯雨林地帯を原産とするサボテン科の常緑多肉植物です。日本では6月から11月の夜に、強い芳香とともに白い大輪の花を咲かせます。しかしわずか数時間ほどでしぼんでしまう短命な花です。美人薄命というわけでしょうか。
孔雀サボテンの一種でよく似ていますが、昼に開花する孔雀サボテンと違い、月下美人は夜にしか咲きません。
開花中の花、しぼんだ花も食用にできます。咲いている花を焼酎につけて保存したり、台湾では開花後の花を豚肉と炒めたり、スープの具として使ったりします。
花言葉は「はかない夢・繊細・つややかな美人」
写真は当院院長宅で咲いたものです。今から8年前に、知人からもらいうけその後3年間はまったく花をつけなかったそうです。4年目から毎年一輪づつ花をつけはじめ、大きさもいまでは80cmほどになり、今年は同時に3つの花を見事に咲かせました。部屋中に良い香りをふりまき、時間を惜しむように咲く幻想的な花です。



 8月の花・合歓の木(ねむのき)
合歓の木(ねむのき)はマメ科ネムノキ属で、北海道を除く全国に分布し10mにもなり落葉高木です。日当たりの良い原野や河畔を好んで生育します。
花言葉は「歓喜・想像力」。
6月から7月、蒸し暑くなると咲きはじめ、化粧用の刷毛のような薄紅色の花で、夕方になると開きます。葉はオジキソウに似ています。オジギソウの葉は触ると閉じますが、合歓の木は触っても閉じません。夜になると、ゆっくり閉じ、朝になると葉を開きます。まるで眠るようなので「眠りの木、ねむの木」と呼ばれるようになりました。美智子皇后陛下のつくられた「ねむの木の子守唄」はあまりにも有名です。合歓の木葉は薬用植物でもあります。夏から秋に樹皮、葉を採取して日干しにし乾燥させたものを生薬として使い、利尿、鎮痛、水虫などに効果があります。また関節痛、打ち身、捻挫などは、布袋に入れて鍋などで煮出したもので入浴すると痛みが緩和されます。
写真は三次市君田町の神野瀬川沿岸で咲いたものです。細くふわふわとした合歓の木の花びらをみていると、優しい気持ちになり心が癒されます。
 

                         
7月の花・ノウゼンカズラ
夏の訪れを知らせるノウゼンカズラは、ノウゼンカズラ科、Campsis(ノウゼンカズラ属)は、ギリシャ語の「Kampsis(湾曲、曲がっている)」が語源です。おしべの形が曲がっていることからつけられました。
オリエンタルな橙色の大きな美しい花で、原産地は中国、もともとは婦人病に効く薬草として栽培されたそうです。日本には平安時代の9世紀頃に渡来したとされています。
肥料をさほどやらなくても毎年花をつけ、洋風にも和風にもあう花です。
落葉蔦植物であるノウゼンカズラは繁殖力が旺盛で、花は一日でしおれますが、9月の半ばまで順々に咲いていきます。支えがあれば、気根を出して何にでも巻きついていき、どんどん高くなっていく特長があります。
花言葉は「名誉・栄光」
写真の花は、庄原市口和町にある多加意賀美神社の境内で咲いたものです。五メートルもある杉の木に絡み付き、40年も前から季節ごとに咲き続けているたくましい花です。



 6月の花・花菖蒲
花菖蒲はアヤメ科アヤメ属で、水辺などの湿った場所に群生します。日本の原野に自生するノハナショウブを、江戸時代中期ごろに改良した園芸品種です。和名をギョクセンカ、別名ドンドバナともいいます。
多彩な品種のある「江戸系」、花が大きく色があでやかな「肥後系」、「伊勢系」、「外国系」などがあり、現在では2千余種類があるとされています。
花の色は濃淡、白筋、ぼかし、砂子,覆輪、絞りなどがあります。「何れがアヤメかカキツバタ」と美しさの代表として引き合いに出されますが、アヤメは乾燥した土地を好み、カキツバタと花菖蒲は湿地や沼など水気の多いところに咲きます。
花言葉は「忍耐・あなたを信じます」。
写真の花は、三次市にある県立みよし公園の菖蒲園のもので、肥後系の紅鶴という品種です。
菖蒲園の花菖蒲は6月はじめから末頃までに咲き、現在約4万2千株ります。
満開時には夜ライトアップされ、幻想的な雰囲気で見事な美しさをたのしめます。

                                        

 5月の花・ミツバツツジ
ミツバツツジ(三つ葉躑躅)は、ツツジ科ツツジ属で日本原産の落葉低木です。
ツツジの語源は、焼き花、続き花、筒花などからなづけられたといわれ、躑躅と書きます。この漢字は、古く平安時代中期につけられました。その後江戸時代まで、ツツジは有毒だとされていましたが、日本のツツジで毒があるのはレンゲツツジだけです。江戸、元禄時代には品種改良が盛んになり、現在日本で咲くツツジは数千種類にものぼります。
ミツバツツジはツツジのなかでも早咲きで、名前のように三枚の葉が出る前に花を咲かせるのが特徴です。
ツツジの花言葉は「自制心・節制・恋の喜び・初恋」。
写真は、三次町の尾関山公園で写したものです。櫻の名所として有名な尾関山公園ですが、はなやかな櫻が散ったあとで咲くこのツツジは、山をあざやかに染め、桜とはまた一味違う風情を作ります。
尾関山公園は、標高198メートルで、園内には樫、杉、栗、櫻などの高木やツツジなどの低木があり、なかには樹齢3百年のものもあります。
山頂の展望台からは、江の川や三次市街地が見渡せ、市民や観光客の憩いの場所になっています。

                                         
 4月の花・クレマチス
クレマチスはキンポウゲ科クレマチス属で、大きく2種類に分かれています。花びらが6枚のものを鉄線てっせん)8枚のものを風車(かざぐるま)と呼びます。鉄線は中国が原産で、つるが細く、丈夫で針金のようであることから名づけられました。一方風車は、日本が原産で、その名のとおり花びらの様子が風車に似ていることからその名になっています。
古くから茶花として使われて親しまれてきましたが、最近は洋風のものも増えました。
英国では「つる性植物の女王」といわれ、バラとともにガーデニングの主役的な存在です。多花性でつるがよく伸び、フェンスやポール等にからませて楽しみます。
花言葉は「精神的な美しさ・旅人の喜び」。
写真の花は、三次市の平田伸二さんの奥様の実家で咲いたものです。当時まだ交際中だった奥様の実家のお母様が、地植えにして育ててくださったものです。うまく地に根づき、翌年には見事に花を咲かせたのをみて、「これは、伸ちゃんと縁がある!」と確信されたそうです。
平田さん夫妻を見守るように、毎年きれいな花を咲かせています。

                                        
 
3月の花・パンジー
近年ガーデニングになくてはならない花のひとつで、庭先や公園など様々なところで目にするようになったパンジーは、スミレ科スミレ属で、原産地はヨーロッパ、アジア西部です。
 17世紀頃、野性種を園芸的に栽培したことが記録に残っており、現在世界の温帯に四百種類以上が分布しています。
 多種多様なこの品種群も、19世紀初頭から種間交雑がはじまり、20世紀前半からアメリカを中心に大輪の育
種が盛んになり、現在の花の色はすべて揃ったそうです。
 パンジーの花言葉は『物想い』、名前の由来はフランス語のパンセ(考える)からきていて、別名をサンシキス
ミレともいいいます。
 1年中見られるパンジーも、本来は春に花を咲かせる植物で、早期出荷をめざしていくなかで、秋咲き性があることが発見され、ここ十数年秋にも出荷されるようになり、現在では秋から春にかけて3シーズンを楽しめる花になりました。
 写真の花は、安芸高田市高宮町にある「広島ニュージーランド村」の入り口階段の両側に植えられていたものです。何色ものパンジーがきれいに咲き誇り、入場する人々を迎えていました。


 2月の花・蝋梅(ろうばい)
蝋梅は、ロウバイ科ロウバイ属の落葉低木で中国が原産です。
江戸時代に朝鮮を経て渡来し、鑑賞用に栽培されるようになりました。
ギリシャ語のロウバイ属、Chimonantua(チモナンサス)Cheimon(冬)とanthoa(花)が語源で「冬の花」を意味しています。
別名に唐梅、黄梅花ともいわれますが、花の色が蜜蝋に似ていて開花時が梅と同じころであるところからではないかとされています。
蝋梅の花言葉は「慈愛・慈愛心をもつ・枯淡」です。春のさきがけのように咲くこの花をあらわしているようです。
写真の蝋梅は三次町の岡さん宅の庭で咲いたものです。内側が紅紫色の蝋梅と、鮮やかな黄色で内側も'同じ色の素心蝋梅の両方の花が、ひっそりとしかしとても芯の強そうな装いで咲いていました。
写真を撮っていると奥様が「どうぞ待合室に飾って下さい」と、一枝くださいました。その香りは強くさわやかで、いいようのにい安らぎをもたらせてくれました。
残念ながらこの花に梅の実はならず、花托が肥大して偽果となり、なかにある痩果には毒があるそうです。


1月の花・葉牡丹
葉牡丹はアブラナ科の植物で、別名「花キャベツ」ともいわれ、キヤベツやブロッコリーの仲間です。
 日本原産とおもわれがちですが、西ヨーロッパが原産で、18世紀初め、オランダ人により紅紫色系のものが長崎にもたらされました。
 日本キャベツの祖で、当時は「オランダ菜」、「3年菜」と呼ばれ食されていたようです。
 明治時代になり、葉の何十もの重なりが、牡丹の花びらに似ていることから、現在のように葉牡丹と命名されました。
 食用としてよりも鑑賞用として改良を重ねられて、今では世界一の品種が作られるようになり、東京丸葉(江戸)葉牡丹、大阪丸葉葉牡丹、名古屋縮緬葉牡丹、切り込みのある珊瑚葉牡丹などの品種があります。
 花の少ない冬場に、花壇や庭を華やかに飾ります。その花言葉は、『物事に動じない』『愛を包む』
 写真の葉牡丹は、三次市和知町在住の井上看護師の姉上が丹精して咲かせられたものです。


11月の花・椿
椿はツバキ科ツバキ属の総称で、日本原産の花です。学名は「カメリア・ジャポニカ」といい、縄文時代から櫛など人々の生活に使われていた歴史の長い花です。古く椿の灰は紫を染めるために使われ、邪悪なものを寄せ付けない呪木として厄除けにも使われていました。またおめでたい植物として、江戸時代前期までは松竹椿を使っていたそうです。日本書紀にも大伴家持が椿を天武天皇に献上したと書かれています。
 室町時代には茶道の流行により、茶庭や茶花として栽培されるようになり、今では園芸改良されて6千種もの品種があります。
 花の形はさまざまで、清楚な一重咲き、『侘助』に代表される筒咲き、華やかな牡丹咲き、八重咲き、千重咲き、唐子咲き、葉の形が金魚ににた変わり葉椿などがあります。
 花言葉は、「気取らない優美・慎み深さ」
 写真の椿は、当院横にある花壇で咲いたものです。花の少ない寒い冬の時期でも、人の心にほっと灯りをともすような花です。
 あしびきの 八峰の椿つらつらに
 見とも飽かめや 植えてける君
           大伴 家持



10月の花・ホトトギス
 ホトトギスはユリ科の花で、花言葉は『永遠』。東アジア(ヒマラヤ、中国、台湾、日本)に分布しており、16種類くらいあり、そのうち日本には12種類があります。
 花の名前は花の白色に、紫の斑点が鳥のホトトギス≠ノ似ていることからつけられました。
 学名『Tricyrtis・ホトトギス属 hirta・短い剛毛のある』属名で、Tricyrtis(トルキルティス)ギリシャ語のtreis・
(三)+Kyrtos(曲)で三つのふくらみを意味します。
花びらは六枚ですが、ふくらみがより著しいのは三枚なのでそう呼ばれるようになりました。
 ホトトギスといえば、
☆鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス 信長
☆鳴かぬなら 鳴かせてみせよう ホトトギス 秀吉
☆鳴かぬなら 鳴くまで待とう ホトトギス 家康
という戦国時代の武将の性格をあらわす言葉があります。
 この写真は、安芸高田市甲田町にある湧永庭園で撮影しました。寒さが増してきたこの時期でも、園内にはバラやダリアなど沢山の花が咲いて、来園する人の目を楽しした。
 皆様も、是非一度足を運んでみられては如何でしょうか。


9月の花・コスモス
コスモスはキク科の植物で、属名は英語では『宇宙』、ギリシャ語で『秩序・調和・美しい』を意味するKosmosに由来しています。メキシコ中央高原が原産地で、日本には明治初年に渡来したとされています。
 和名をアキザクラといい、花言葉は『乙女のまごころ』。秋の代表的な花の一つで、茎は高さ1〜2mにもなり、太陽の光が真上から当たることを想定した茎と根の作りになっています。四方から光が当たる開けた広い場所に群生すると、その美しさは倍増します。
 切り花を長持ちさせるには、吸水を妨げる切り口からの分泌物、気泡、微生物などの繁殖を防ぎ、茎の中の水分の通り道である導管をふさがないようにします。また切り口に食塩水をすり付ける方法もあります。
 写真は、庄原市にある国営備北丘陵公園で咲いたものです。備北丘陵公園は、アカマツやコナラ、クヌギなどの林からなる丘陵地に立地し、長い歴史のなかで、自然に対して人間が絶え間なくかかわり続け、自然と人間との共生関係が成り立った里山のたたずまいを生かした公園に整備されています。
 コスモス畑は1・5haの広さがあり、10月1、2日と8〜10日の5日間は、夜間ライトアップがされるそうです。昼間とはまたひと味違うコスモスの群生を見ることができるでしょう。


8月の花・シュウカイドウ
シュウカイドウは約二千種あるベゴニア属のひとつで、中国、マレー半島原産の球根性多年草です。日本には、江戸時代に渡来したとされています。寒さに比較的強く、ベゴニア属のなかでは唯一日本の戸外で越冬できる種で、半日陰の湿った地を好みます。
 漢字で秋海棠と書き、花の色がバラ科のカイドウに似ていて秋に咲くことからつけられ、花言葉は『片想い』
 雅趣に富む姿が古くから愛され、花材として茶花や投入花に向いています。
 水揚げはあまりよくなく、切り口を炭化させて逆水をうち、しばらく冷水につけておく必要があります。また生花では、しおれやすさを強調した「睡挿」という特殊な方法も伝えられています。茎には約一パーセントのシュウ酸が含まれていて、噛むと酸っぱく中毒の危険があります。
 写真は院長本宅の庭に咲いたもので、亡くなった母上が、よく茶花として篭に生けて楽しんでおられたそうです
秋海棠
    西瓜の色に
         咲きにけり
           (松尾芭蕉)