人の恋路を邪魔する人は





「さて・・・マデューカスさん」
 パイプ椅子に縛り付けられているマデューカスに向かってテッサは告げた。
 やけに優しく。穏やかな声で。
「あの時、サガラさんが倒れたのですけど、何か知りませんか?」
 優しげな口調だけに冷たく聞こえる。
「いえ・・・・・・私は何も」
「そうですか・・・・・・カリーニンさん−入ってきて下さい」
「!」
 カリーニンが入ってきた。沈痛な−しかしそれは表面だけだ−面もちで。
「すみません、中佐。やはり報告すべき事は報告しなければ・・・・・・!」
「なん・・・・・・だと・・・・・・!」
 大佐殿−全くあなたにはいつも驚かされる。知っていて。全て知っていて・・・・・・!
「サガラさんにいろいろ酷いことを言ったそうですね」
 目を反らす。冷たい視線に耐えきれず。
「私、サガラさんと遊べるのを楽しみにしてたのに−」
 一息つく。
「マデューカスさんが余計なことをしたから・・・・・・!」
 そして、凄絶な沈黙。
「・・・・・・お仕置き、ですね」
 テッサが何かを取り出すのが見えた。
 プルタブを開ける音−と同時に広がる独特の臭気。
 知っている。自分はその名前を知っている!
「まさか・・・・・・それは?」
「はい。ドクターペッパーです−熱くしてありますけどね・・・・・・」
 テッサはそれをカップラーメンの容器に注いだ。
 立ちこめる異様な臭気。
 そう、それは生存本能を刺激する臭気だった。
 命の危機さえ感じる。
「いーやーだー!!」
 マデューカスは泣きながらもがいた。
 しかし、身体ごと縛り付けられているため逃げることが出来ない。
 そして辛辣なことにテッサもカリーニンも沈黙を保った。
 話しかけてくれたならまだ耐えることが出来たろう。
 しかし、それ故にテッサは沈黙を保った。
「艦長、誤解です!私はただ・・・・・・」
 マデューカスは必死に弁明しようとした。しかし。
「誤解?まだとぼける気なのですね・・・・・・」
 テッサは冷たい声で−どこまでも冷たい声で告げた。
「カリーニンさん、始めて下さい」
 涙を流し、いやいやをするマデューカス。

 カリーニンが頭を押さえ、鼻をつまむ。
 耐えきれず開いた口に−『それ』は流し込まれた。
 そしてただ−断末魔の絶叫のみが響いた。


「・・・・・・という夢を見たのです」
「カリーニンくん。君は何を考えているのかね?」
 そう言いつつも悪寒を禁じ得ない。
 何かが起ころうとしている。良くない何かが。
 執務室を退去しようとしたマデューカスの耳に、優しげな−しかし冷たい声が響いた。
「マデューカスさん、ちょっと来てもらえますか?」





−バージョンアップ〜♪
「訳わかんなさがアップしてますね」
−実体験を元とした事項を入れました。具体的には毒ペラーメン。
「そんなに不味かったんですか?」
−人の道を外れまくってたよ・・・・・・
「なんでわざわざそんなものを?」
−フッ。そこに毒ペがあるからさ・・・(遠い目)