外典・足夜 烏羽玉の
美津里の場合
「ふふふ・・・君も私の虜となって貰うよ・・・」
胡散臭い笑みを浮かべる色男。
眺めやって、美津里は一言。
「ふむ、夢魔かね」
どこやらなにやら雰囲気が違う。
まぁいいかと夢魔は襲いかかった。
「夢魔は精気をいただくのがお仕事〜♪」
一瞬にして衣類を脱ぎ捨て、美津里に飛びかかる夢魔一匹。
「仕方ないねぇ」
美津里、婉然と舌なめずり。
(教育上不適切な表現が含まれているため公開を禁止します)
当局
やがて聞こえる夢魔の悲鳴。
「許してください済みません」
「いやいやまだまだ」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「まぁまぁそう言わずに」
「吸い取られるぅぅぅぅぅぅ!」
――しばらくお待ち下さい。――
後に残るはかさかさと、吹けば飛ぶよな夢魔の抜け殻。
夢魔の集めた精気を啜り力を増した美津里さん。
やはりこの人は幸せな様で。
虎蔵の場合
「ふふ・・・」
妖艶な笑みを浮かべつつ、虎蔵にしなだれかかる夢魔。
「楽しみましょうよ、お兄さん」
「夢魔か・・・なら、これは夢だな」
「ふふふ・・・そう、これは夢。甘い、甘い夢・・・」
うふふ、と夢魔が笑うのを聞きながら、虎蔵は別のことを考えていた。
夢。これは夢。
夢ならばいくら斬ってもいいよなぁ。
「えい」
斬。
「な、何するのよ!」
「お前を斬ってる」
「そうじゃなくて!」
「もっと斬る」
「ああっ!かまん、まいすれいぶ!」
空間を切り裂き、現れたのは魔物の大群。
「キシャー!」
「オレだぁぁぁぁ!」
「くけけけけけけけ!」
出てくる出てくる。
シャンタクバードに人狼、半魚人、その他もろもろ。
わらわら。
わらわらと虎蔵に向かって進んでいく。
魔群の前に一人立ち、虎蔵一言。
「ふふふふふ、斬り放題♪」
斬っています。
斬っております。
「いつもより余計に斬っております〜!」
屍山血河を築きつつ、今日も斬る斬る今日も斬る。
「あははははははははは〜!」
後顧の憂い微塵も無く、刃を振るう魔人が一人。
「楽し〜!」
まさに幸せ真っ盛り。
京太郎の場合
「ふふふふふ・・・」
「何ですかあんたは」
「夢魔よ♪」
「・・・男の夢に出てくる夢魔といったら綺麗な女と決まってるだろうに。何故おカマなんだ?」
「そ・れ・は・ね♪アタシが貴男を気に入ったからよ」
身体をくねらせつつ、あまつさえウインク。
京太郎、絶句。
「何をする積もりだ・・・?」
「何って・・?このアタシの臍まで反り返った(ギャランドゥ)を貴男の(発禁)に(自粛)して(自主規制)であまつさえ(検閲により削除)するのよ!」
「おりゃ!」
禁。
「な、何するのよっ!」
夢魔、股間を押さえて蹲る。
「どやかましいわアホンダラ!」
京太郎、性格が変わっております。
「貴様に鬼やら女郎蜘蛛の血肉食わされたりする俺の気持ちがわかるかぁっ!」
瞳から紫色の光を放ち、ゆらりゆらりと歩みつつ。
「今度は夢魔だと!こうなりゃお前の血肉も喰らってやるわぁぁぁぁ!」
「ひぃぃぃぃ、お助け〜!」
逃げ出す夢魔の足に絡みつく数本の糸。
自分の手を見つつ、京太郎ぼそっと。
「おう、コレは便利」
そして顔を上げ、
「お前の血肉を寄越せ〜!」
言うや否や、夢魔の首筋に食らいつく。
と思ったら途端に吐き出した。
「うわ、不っ味〜・・・」
顔をしかめている京太郎。
夢魔はこれが機会かと、自分の配下を呼びだした。
「かまぁん!まいぶらざぁ!」
「出番じゃぁぁぁ!」
空間を殴り砕いて出てきたのは、3人のごっつい男たち。
背中でコウモリの羽がちょろちょろと動いているところを見ると、どうやら夢魔らしいが。
頭頂に穴があいているのが不気味と言えば不気味だ。
しかも身につけている物と言えばバミューダ1枚。
どこかで見た様な3人だった。
「兄貴、どうしたんじゃぁ?」
「おお、兄貴が大変じゃぁ!」
「兄貴を助けるんじゃぁ!」
わらわらと襲い掛かる3人を千切っては投げ千切っては投げ。
強い!絶対に強い!
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!」
「京太郎さん」
「無駄無駄無駄無駄ァ!」
「頭を」
「貧弱、貧弱ゥ!URRRRRRRRYYYYYY!」
「冷やして下さい!」
「ひゃう!」
背中に氷を入れられ、京太郎途端に正気に戻る。
「あ、静里」
「はい、静里です」
「静里・・・!」
「京太郎さん・・・!」
ひっしと抱き合う二人。
「い、今のうちに・・・」
ずるずると這う様に逃げ出す夢魔4人。
「あらあら、逃がすと思いましたか?」
たおやかに微笑みつつ静里。
「京太郎さんとの逢瀬を邪魔する者・・・赦しません」
抄。
と冷たい風が吹き、夢魔4人は氷塊の中に閉じこめられた。
「どうする、コレ?」
「どうしましょう?」
「自然解凍して邪魔されるのも嫌だなぁ・・・よし」
京太郎、ぽんと手を打って。
「虎蔵、美津里〜こいつら好きにしていいぞ〜」
刹那、空間を割って出てきた手が氷塊をつかみ、持ち去った。
「これで良し・・・さて」
静里に振り返り、京太郎。
「静里・・・!」
「京太郎さん・・・!」
いちゃいちゃいちゃいちゃいちゃいちゃいちゃいちゃ。
京太郎、今回は結構幸せ。
「・・・何ですかコレ?」
−宵闇眩燈草紙参巻発売記念SS。
「・・・どこが記念なんでしょ?」
−・・・どこだろうねぇ。
「遠い目して誤魔化さない様に。ところで、今回のタイトルですが・・・」
−矢張り枕詞です。夢、夜、闇にかかってくるです。
「真面目なんだか何なんだか解らないですねぇ」
−全くだ。