何もない空

   

Jun Akiyama

  

青い空が
ガラス板となって落ちてきた
と思ったら
次に
赤い空が
おり紙となって落ちてきた
と思ったら
次に
白い空が
氷となって落ちてきた
と思ったら
次に
黒い空が
カラスとなって落ちてきた
と思ったら
次に
紫の空が
バラの花となって落ちてきた。

 

少女は
ばたばた変わっていく空を見ている。
空が落ちても次にまた
空があって
その空が落ちても次にまた
空がある。

 

少女は
落ちてきた空に埋まっていく
少女は空に埋まっていく
少女は空に埋まってしまった。

 

そして、もう
空は落ちてこないで
空のあるところには
何もない。

 

もう
何もない。

 

         
         

 
  
 
 
  Photo by Jun Akiyama
   


   

(『しけんきゅう』135号 2000年12月1日発行)
サイト『創作広場』企画 「相互交換作品」
初出 : サイト
 詩と童話の世界