HUNGRY

 

浜崎美景

傷ぐちから すっかり血が流れたあと
ばら色の記号となって 傷あとが残った
星くずがちらばっている ぼくの宇宙に
まだらの毛皮に包まれた 生きものが
水をのみにあらわれる
この 美しい飢餓は
ざらざらの舌で ぼくをなめて
ぼくを裏返してゆく

HUNGRYなけだものは
ぼくをなめている
ぼくの肩にかみつき
心臓をなめる
かいならせない
ぼくのともだち

あなたの遠さと近さが 手をむすんで
ぼくのHUNGRYをなめる
はだざむい 朝の肩に
かみつく、そして
しずくのたれる愛の臓腑の
においを嗅ぐ。

  
 
 
    

初出:「しけんきゅう」140号 (2003年6月1日発行)