ガラスの記憶

葉山 みやこ

  

透明であるはずの
ガラスの割れる音
には

の におい が 見える
 
闇に分け入るあなたは
知っているかしら
今、心の中の迷路を歩いていることを
 
少し離れて私
音 と におい に おびえている
 
透明であるはずの
ガラスの記憶
には

の におい が しみついて
 
あなたから少し離れて私
記憶 に おびえ て しゃがみこむ
 
形の見えない優しさを
あなたは闇で見つけるかしら


(『しけんきゅう』136号 2001年6月1日発行)