のざらし と いぬじに


じっこく おさむ

       
      

インドざかい の せんじょう の むじん ぶらく

を なかま と うろついて いたら

くらい そら から ビラ が まいおりて きた

ひろって こっそり マッチ を すって みると

くさむら に シャレコウベ の ちらばる ゑ に

たっぴつ で ちらしがき して

    夏草や兵どもが夢の跡

うら には“インパール・コヒマの惨劇をみよ”

と タイトル を つけた,ニチ・エイ の センリョク

の こまかい データ が,ならべて ある

── なかなか やる のう,と ぼくら は わらった

     

また もういちまい は

  …… どちらが先に日本へ?/凱旋兵として

  の君らか/それとも君らの敵か/ジャングル

  の中には犬死にがあるのみである。

などと かっこ よく むすんで あった

イヌじに,ネコじに,トラじに だって おなじこと

   

しあい の さいちゅう の ヤジ なんか

うまかろう と ヘタだろう と ── さしあたって は

チリがみ と して ありがたく しまいこむ だけ

     

ただ ちょっと きがかりな の は のずえ が

ときおり ぴかっと ひかって は,ホウダン が

うしろ の ほうへ おちる おと だった

   
     

(詩集『もう一つの実験または対位法』より)