ミャンマーは花いっぱいのくに
人々はそれを摘んで仏陀に捧げ
女たちはそれを髪に飾って恋をする
 
純白や金色のパゴダが全土をうずめて
天をゆびさしてならび立ち
「現在」「過去」をぬいで「永遠」とむき合う
 
そこは万霊
(たましい)のやすらぐところ――。
 
(じっこく おさむ著『ミャンマー物語』序詩)

 
 

 あの戦争で苦しんで死んだ味方や敵の兵、そば杖をくった現地の人々や鳥獣・虫魚・草木のかず知れぬいのちへ――つらかったねえ、そしてごめんなさい。
 
 また、生きるために殺しあいつつ死んでゆくヒトというかなしい生きものたちへ――あんたらの中の一ぴきが鳴くこの夜長の愛と死のツヅレサセをちょっと聞いてやってね。そして原爆や衛星をつくって宇宙をよごす競争、もういいかげんにしてよ! ナムアミダブツ、ナンマンダーブ

(じっこく おさむ著『ミャンマー物語』扉)
 

 【参 考】
 
  『ミャンマー物語』は1995年3月 三省堂より発行。じっこくさんの戦争体験をもとにした小説。
 
 この「序詞」はよほど作者のお気に入りらしく、私の知っているだけでも、他に三か所に出していて、それぞれ微妙に違う。私は個人的に上に紹介したものが一番好きである。参考までに、他の三つは以下の通り。
 
 1992年発行『しけんきゅう』120号 エッセイ「若葉のなかの葬式、など」中、昭和62年(1987年)のビルマ再訪の感想として。
 
 1996年発行『詞華集 墓碑銘』銅林社発行の9人の詩人によるアンソロジー。タイトルは「花とパゴダ」(縦書き)
 
 1997年、香川における国民文化祭の詩人パネル展に出品。(縦書き) これは1998年発行『しけんきゅう』130号じっこくおさむ追悼号にも原稿が写真掲載される。
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