さや まりほ
─ きっと きっと 伝説が生まれますよう
─
ことさら 赤い花びら を 選んで
森の精 は
風 の うた(詩歌) を 口ずさむ
すずやかに 緑葉をたたえた 大木
それは 伝説の始まり
白い羽根 ひらひら と
蝶は 空から降りてきた
夏の夜
小悪魔 の しでかした ほんの悪戯の嵐
一瞬 の 稲妻
大木 は 昇天 したのです。
白い花びら ひらひら二枚
いえ、あれは蝶が真二つに
ああーッ
そんなつもりじゃなかった
黒ずきん の きゃしゃな体で 小悪魔
もう 終わってしまったのかしら
─ きっと きっと 伝説が広がりますよう
─
ことさら 赤い花びら を 集めて
森の精 は
しずく の ように 湖に降り注ぐ
─ なにも おまえ(小悪魔)が泣くことはないのです
─
もしも……
大木 は 稲妻に 選ばれたのでは なく
自ら 空をあおいだのだと すれば……
白い蝶 を 印 に
「私 ハ ココ ニ イル」と
手始めに かわいいおまえ(小悪魔) を 挑発 した
─ だから 手伝ってくださいな
─
赤い花びら が いいのです
白い蝶 よりも 激しく て
蝶の羽根 よりも 軽やか で
蝶の羽根 よりも 夭折 で あるために
─ きっと きっと 伝説が美しく伝わりますよう ─
おまえ の 尖った指 で
赤い 花びら
湖 に したたらせて