やっぱりぼくは あれがほしかった


さや まりほ


やっぱりぼくは あれがほしかった
ぼくの 紙ヒコーキ
風にのって
山のむこうに
とんでいく
山のむこうは
海だよ
海に おっこちたら
こわれてしまう
ぼくの 白い 紙ヒコーキ

ソウ
君 ノ 大切 ナ 紙ヒコーキ
君ノ紙ヒコーキ
ハ 壊レ ナイ
風 ト 波 ニ 運バレ テ
今 ハ 深イ 深イ
海 ノ 中
anmonaito ヤ sinkaigyo タチ ト
仲良ク ヤッテ イル サ
決シテ 壊レ テモ ナイ シ
汚レ テモ イナイ
君 ノ
白イ 紙ヒコーキ

あたらしい 紙ヒコーキ たくさん たくさん
つくって とばして
こわれて つくって
たくさん たくさん つくって
とばして きえて

ミンナ
海 ノ 中 ダヨ
海 ノ 中 ハ
君 ノ 紙ヒコーキ デ イッパイ

でも
やっぱりぼくは あれがほしかった
海が 見える
でも あれは見えない
はじめての 紙ヒコーキ

君 ノ モドカシサ ハ
海 ガ 見エル コト
イツカ キット
帰ッテ クル サ
大キナ 大キナ
紙ヒコーキ ニ ナッテ
大空 ヲ 舞ウ カラ
デモ
ソノ 時 ハ
君自身 ガ
大キナ アレ
ニ ナッテ イル ダロウネ


(『しけんきゅう』121号 1993年5月発行)