妹が無事、退院し、母とともに帰って来た。 2人とも、チッチが一回り大きくなったことにビックリしたけど、それ以上にチッチが ひとりでエサをついばめるようになっていたこと、驚いたようだった。 「すごいねぇ。 よく、ここまで来たねぇ」 母が手放しで誉めてくれて、にゃおも嬉しい限り。 そりゃ、そうさ。 毎日、つきっきりで世話したんだもの。 まだ安静にしていないといけない妹はソファに寝転がって、チッチをおなかの上に乗せて 遊んでいる。 呼ぶと「チクッ!」と返事をするのが面白くて仕方ないらしい。 和やかに時が流れていた・・・ ★ ★ 「うわぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜!!!」 妹が素っ頓狂な声を上げた。 妹の方を見る母とにゃお。 ソファの下で妹が青い顔をしてこっちを見ている。 何? 何が起こったの? 「チッチが・・・」 妹がそっと、体の位置をずらすと、その後から横たわった茶色い姿が見えた。 「あんた、何をしたん!(したの)」 一瞬にしてチッチがどんな状態になっているのか理解したにゃおは叫んだ。 「アタシがソファの上からコロンって降りたら、チッチが下に・・・」 ああ、それ以上、言わないで!! まだ手術あとが痛む妹は、ソファから起き上がることが難しかったから そのままコロンと転げ落ちるようにして起きようと思ったらしい。 その時、下にチッチがいたのだ。 チッチをおなかの上で遊ばせてたんじゃないの? どうして下に置いたの? チッチは目が見えないんだよ。 今までは、にゃおひとりしかいなかったから、その辺をうろちょろしててもよかったけど 複数人数がいたら危ないに決まってるじゃない。 それなのに、下に黙っておろしたばかりか、ソファの上から、よりによって チッチの上に転げ落ちるなんて・・・ 小学校1年生の軽い体重だとしても、チッチにしたらひとたまりもない重さ。 恐らく『即死』だったに違いない。 まだ暖かい身体なのに、首がくったりとして動かない。 ああ、チッチ・・・ チッチ・・・ 毎日、一生懸命、世話をしたのに・・・ やっとエサをついばめるようになったのに・・・ 目が見えなくても生きていけるかもしれなかったのに・・・ こんな形であっさりと死んじゃうなんていやだよぉ〜(ノД`)・゚・。 妹を怒鳴りつけたい思いだったけど、妹は悪気があったわけじゃない。 それにいくら怒ってみたってチッチは還らない。 母に慰められながら、庭の片隅にチッチを埋めてやった。 ごめんね。 にゃおが気をつけてやればよかった。 そうでなくてもハンデを背負って生まれてきたチッチ。 もっともっと幸せになってよかったのに・・・ 妹にチッチをまかせて、忘れてしまっていた自分を責めた。 ★ ★ ★ その頃から、どういうわけか、にゃお家には巣から落ちたスズメやツバメと いったものから縁が薄くなっていった。 そののちに、妹が鳥を飼いたいと言い出して文鳥を飼うようになったから 拾った子スズメというのはチッチが最後だったような気がする。 チッチ、本当にごめんね。 そして、ありがとう・・・ 完 |
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