瓶(ビン)ジュース

     にゃおが子供の頃、ほとんどが今のように缶やペットボトルではなく瓶(ビン)ジュースだった。

     いまや、ほとんど、その姿を拝むことができないビンジュース。 昔は木やプラスチックの箱に
     24個の穴が開いていて、そこにガラス製のビンジュースが入れてあったのだ。 にゃおの実家は
     菓子・雑貨・日用品店をしていたから、当然ジュースも売っていた。 店の片隅にうずたかく
     積まれた種々様々なビンジュースのケース。 持ち運ぶのに重いし、ガチャガチャとうるさいし
     落としたら、みんな割れてしまうから取り扱いにも神経が要ったものだ。

     ビンジュースを冷やすのには、今の自動販売機のような大きさのもので、ちょっと変った
     構造のものを使っていた。 普通の冷蔵庫のように扉全体を開いて中にビンジュースを詰める。
     扉の一番左側は縦長の小窓がついていて、そこに上から下まで、入っているビンジュースが
     一種類づつ、ふた部分をこちらに向けて見えるようになっている。 縦長の小窓を開けて、欲しい
     ビンジュースを取り出す。 中は少し傾斜がついてるから、抜いた後にはコロコロと次のビン
     ジュースが転がってくるってわけ。 機械には「栓抜き」がついてて、お金を払ったお客さんは
     ここで抜いたり、レジのところに常備してある栓抜きで抜いたりするんだよ。  

     ビンジュースで一番思い出深いのは「栓」。 今は缶にシールがついてて、それを集めて
     何かに応募するってのが主流だけど、あの頃は、栓にいろんなクジがついてた。

     栓の裏に薄い不透明のビニールのようなものが貼り付けてあって、それを千枚通しで
     めくると、「アタリ」なんて文字が出てくる。 すると、もう一本ジュースがもらえちゃうのだ。
     メーカーによってはそこに「10円」とか「50円」って金額が書いてあって、それが出たら
     お店から、その分の金額をもらえちゃう。 クジ目当てで飲みたくもないのに買ってみたり
     したものよ(笑) ←自分ちでも、ちゃんと、お金を払ってたんだぞ

     中にはそんなクジのことを知らなかったり、うっかりしてビンジュースの冷蔵庫についてる
     栓抜きで栓を抜いちゃうお客さんがいる。 その栓抜きって抜いた栓が溜まるように下に
     深い箱みたいなのがついてるから、一度、落としちゃったらそれを逆さまに振って出さない限り
     取り戻せない。 子供なら、「落としちゃったぁ〜」ってわざわざ中身をぶちまけて取り返せるけど
     大人はそういうことしないでしょ?  そこで、にゃおの登場よ(笑)
     一日の終わりに、栓抜き箱の中をひっくり返して捨てておくのだけど、その時に、うっかりと
     落としてしまったクジ付き栓がないかどうかチェックするのよね。 見つけ次第、めくってみて、
     ハズレならそのままサヨウナラ。 アタリなら、にゃおのもの。 これって魅力的でしょう?
     にゃおも必死になって毎日、栓の世話をしたもんよ(笑)

     あの頃のビンジュースはガラス製で、割れたり、欠けたりしやすいってこともあってか、
     ビン1本に付き10円の保証金がついてた。 その場で飲む人はいいけど、家に持ち
     帰ったりする人はジュース代+10円を払うんだね。 あとでそのビンを返してくれたら、
     こっちも10円を返すっていう方式。 まさにリサイクルの原点よねぇ。
     だから子供会で廃品回収をする時は、このビン類を出してもらうことが至上命題。
     その時期が近づくと、知り合いの人を捕まえては、ビンをお店に返さないで廃品回収の
     時に出してね♪ なんて頼んだなぁ。

     いつの頃からか、ビンジュースの需要は減って、缶がその後釜に座るようになった。
     さらに、そのあとを追いかけてペットボトルが登場する。 
     ビンは、飲食店で出てくるビールくらいでしかお目にかかれなくなっちゃった。

     「へぇ、ビンジュース? 知らねぇ。 それ、いつの時代?」

     そういう人は、にゃおがスリッパで優しく頭をなでてさしあげます(≧∇≦)にゃっはっは♪

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