蜂の一刺し

     アナタは蜂に刺されたことがありますか?

     にゃおの記憶をたどると、蜂に刺されたというハッキリとした記憶があるのは4回だけ。
     一番、最近は結婚してからのこと。 サツキの植え込みの間に巣をしてるのに気がつかなくて
     そこの中へ鎌を突っ込んで草を刈ってたらやられちゃったのだ。 その前は小学生の頃。
     階段を上がっていたら、後ろから突然ふくらはぎを一刺しされてしまった。 その時は足に
     くっきりと針の丸い痕が残ってて、ひどく驚いたものだった。 そして一番古い記憶と言うのが
     最悪の記憶だったのだ。

     にゃお家は貧乏だった。 まぁ、日々の食べ物に困るってほどではなかったらしいけど。
     だって、その頃のにゃおの写真ってば、どれもこれもコロコロ子豚でさぁ、これで貧乏って言っても
     誰も信用しちゃくれないわなってな、お姿だったんだもんね。 それはさておき。

     ある日のこと、夜になって着替えをしたのだ。 お風呂上りだったのかは不明だけど
     とにかく、その時、着ていた半そで下着を脱いで、新しいものを着るのだった。 母が手渡して
     くれたものは、確か、その日、洗濯して取り込んだばかりのものだった。 ほら・・・と言って
     母が頭から下着をかぶせる。 にゃおは袖を通す・・・と、家の中に、にゃおの絶叫が響いた。
     慌てて母が下着を脱がせると、その中からポロリと蜂が出てきたではないか!! 確か、あれは
     アシナガ蜂。 にゃおたちが俗に「アシタレ」と呼んでいた蜂だった。 こやつがビンビンと羽を震わせて
     畳の上でのた打ち回っている。 母が急いでその辺にあった何かで叩き、蜂はコトキレタ。
     にゃおの右腕には、蜂に刺された真っ赤なあとが2つもできていた。 痛いのなんの。 当時、
     幼稚園の年中だったくらいの小ささだから、痛いのを我慢することなんてできない。 泣いて泣いて
     泣き喚いた。 母も自分の不注意におろおろして、薬を塗ったり、ごめんねと何度も謝るしか
     なかった。

     しばらくは服を着るのが恐くて(トラウマってやつね)、おそるおそるだったけれど、ノド元過ぎれば
     なんとやらってヤツで、そのうちそんなことも忘れてしまった。 
     だけど・・・ また、やったんだね、おんなじことをサ。 
     もうダメ。 一度ならずも二度までも。 なんでやねん!! 母も気をつけてしばらくは、下着を
     よく振って中に入り込んでいないか確かめていたけど、時間が経って、それをすることも忘れた
     ころの出来事だった。 まさに「天災は忘れた頃にやってくる」状態。

     それからはさすがに母も懲りたのか、その後、そういう事件が起こることはなかったけど。

     今、自分が主婦になり、母になって、しみじみ思う。 普通、取り込んだ洗濯物をその日に
     着るなんてことは滅多にない・・・ いや、まずないことなのだ。 だけど、あの時は二度が
     二度とも取り込んだままの下着を着ての災難だった。  

     にゃおんち、そこまでビンボーだったのかしら?A^-^;)

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