確信犯

     幼稚園の年長組か、小学校1年生の時のこと。
     にゃお一家は埼玉のとある、一戸建ての家に住んでいた。 当時、まだ妹が生まれていなくて
     父母と自分の3人家族。 2階の4畳半の部屋にみんなで寝てたんだよね。 

     季節は覚えていない。 
     ある夜、にゃおはふと目覚めた。 なんでって、おしっこに行きたかったのだ(^ ^;
     当時の家のトイレは、いわゆる「ポットン便所」で、子供心にちょびっと怖いものがあった。
     その時も、にゃおは起き上がってトイレに行こうとした。 部屋の扉を開けると、すぐに
     階下へ降りる階段がある。 その一番上に立って下を見下ろした時、にゃおの足は止まった。

     階段を照らす電気はついているけど、その先は真っ暗な闇の世界。 何かが潜んでいそうな・・・
     おまけにトイレは「ポットン」。 覗き込めば、どこまでも続く闇が、にゃおを引き込んでしまいそうな
     気がする。 以前、トイレのスリッパを落としてしまったという前科者。 もしかしたら、また落として
     しまうかもしれない。 いろんな考えが頭を巡り、どうしても階段を下りることが出来ない。
     でも、そんなにゃおにおかまいなしに、自然のおよびがだんだんと下腹を圧迫する。

     にゃおは、パジャマのズボンとパンツを脱いだ。 そして、階段の一番上でしゃがんだ。
     ほ・・・とした思いの中で、液体が細い線を描きながら階段を伝って流れてゆく・・・

     それから、にゃおは寝ている母を起こした。 母は、階段の惨劇を見て、別段怒らなかった。
     父も起き出して来る。 母の「寝ぼけたのねぇ」と笑いを含んだ言葉だけが耳に残っている。
     恐らく、母はにゃおの後始末をしたにちがいない。 その姿を見た記憶がないということは
     にゃおは再び布団に入ってさっさと寝てしまったのだろう。 解放された心地よさに包まれて・・・(苦笑)

           母よ、未だに、このことについて、あなたに真実を語っていません。
        でも、あれは「寝ぼけた」のではなく、まちがいなく「確信犯」でございました。
                         ・・・ごめんちょ(~_~;)
  
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