おさるの おしりは まっかっか

     にゃおは子供の頃から鼻が詰まってた。 いわゆる「蓄膿症(ちくのうしょう)」だったのである。
     父が蓄膿症によく効くという薬をどこからか買ってきて、長い間飲んだこともある。 だけど
     ちっともよくならなかった。 いつも鼻が詰まってて、苦しいから鼻をかむ。 粘着性の鼻水が出た。
     蓄膿症の典型的と言われる青鼻だった。

     さて、ずっとずっと時は経って、中学1年だか2年だかの時、これはもう手術しかないだろうと
     いうことになった。 それにはもっといいお医者様に診てもらってから・・・と母はどこで
     情報を仕入れたのか、夏休みのある日、にゃおを連れて市内のとある個人耳鼻咽喉科を
     訪れたのだ。

     暗い印象の病院だったな。 検査しますからと言われて、鼻の穴にノズルみたいなのを
     突っ込まれた。 シューって液のようなものが噴射されて鼻の奥がツーンと痛む。 鼻や口から
     思わずその液が零れ落ちた。 アゴのところに受け皿を持たされていた意味がようやくわかる。
     次に先生が、なにか機械を鼻の穴に入れた。 ゴリッゴリッっていう音がじかに骨に響いて
     痛いやら怖いやら。 涙がボロボロとこぼれちゃったのだ。 機械を抜いたあとからは
     少し鼻血みたいなのも出たりして、いっそう、恐怖感を煽られた。

     検査の結果、なんと、にゃおは「蓄膿症」ではないと診断されちゃったのだ。 鼻が詰まるのは
     一種のアレルギーから来てるらしい。 そして「鼻茸(はなたけ)」と呼ばれる軟骨のような
     ものが鼻の奥にできていて、それが呼吸の妨げになったりして鼻詰まりに拍車をかけて
     いるのだという。 おお のぉ〜!!  今まで蓄膿症と信じて、飲んできた薬はなんだったんだ?
     でも考えたら、それまで一度もちゃんと医者に診てもらった事もなく、蓄膿症だと診断された
     事もなかったんだよね。

     アレルギーを治すために体質改善の注射を打つことになった。 これは近くの医者でも
     接種してもらえるらしく、その後、6年近く通うことになった。 鼻茸の方は手術するしか
     方法がないのだけど、生理などの関係で、その夏には手術が出来ず、結局今に至るまで
     そのまま放置してある(苦笑)

     さて、その間も、アレルギー性の鼻詰まりだけでなく、風邪をひいたからなどという理由で
     数え切れないほど鼻はかまれた。 もともと鼻の下の表皮は薄くデリケートなものらしい。
     今ほどティッシュも品質がよくなく、すぐにかみすぎてただれたりしていたものだ。
     そして、いつのころからか・・・ にゃおの鼻の下は万年赤い状態になった。 よ〜く見ると
     薄い皮膚を通して細かな血管がたくさん浮いて見える。 これが遠目にすると鼻の下が
     赤く見えるわけだ。 鏡を見ても、鼻の穴の下がポワンと赤い。 大人になって化粧をする
     こともあったりしたけど、いくらファンデーションを塗ってみても透けてうっすらと赤く見える。
     ふふふ・・・ さるのおしりのようだな。 密かに、ひきつった笑いを浮かべるにゃおなのだった。

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