視力検査

     学生時代は、新年度が始まってまもなく、健康検査というものがイベントしてあるのだ。
     身長・体重・胸囲・座高などから始まって、視力検査、聴力検査、色盲検査など、一日がかりで
     行われることが多かった。

     中学2年生の頃、にゃおはとある教室で視力検査のために順番待ちをしていた。
     待っている間に、自分はどれくらい見えるのかな〜なんて、遊び半分に手で目を隠して
     勝手に視力検査をしてみるなんてことは、誰にでも経験のあることだろう。
     にゃおも例に漏れず、自分の番が近づいてきた頃に手で目を隠してどのくらい見えるか
     試してみたのだった。

     まずは左目。 
     「あ」でしょ。 それから「C」は右。 あれは「つ」 ・・・ うんうん。 1.5くらいまで見えるわね♪
     それじゃ、右目も。
     「うん? うん? ううう??? え? お? はぁ???」
     手を外して眼をパチパチする。 もう一度、左目を隠して・・・

     ぬぉぉぉぉぉぉ〜〜〜〜〜〜( ̄□ ̄;)!!??

     み・・・見えん・・・ 見えんぞ? 見えんぞぉ〜〜〜〜
     なんということなのか! にゃおの右目は視力検査の紙の上の方がかろうじて見える程度
     だったのだ。 そんなバカな!! 我が目を疑ってみるものの、なんどやっても0.3程度しか
     見ることができない。 こんなことがあっていいのだろうか? だって今の今まで別段、
     何の不自由もなくモノが見えていたのに・・・ これは間違いだ。 何かの間違いだ!!

     心臓はバクバクいい始め、足が微かに震えた。 自分の番になって、ひんやりとした
     金属の目隠し(なんていう名前なんだ?)を先生の指示に従って左目にあてる。
     先生は1.0のあたりを棒で指す。  「見えません」
     次に少し上を指す。 「見えません」
     さらに上を指す。 にゃおは目を細める。 「・・・・・・か?」
     先生は「じゃ、これは?」と言いながら、さらに上を指す。 ちっ・・・違ったのか(-_-メ)
     にゃおはさらに目を細める。 今度は輪っかの切れ目だ。 左? いや、下かな?  「・・・下」
     「はい、0.3ね。  それじゃ、今度は目を代えて」
     ああ、やっぱり・・・にゃおはしょんぼりと今度は右目を隠す。
     先生は今のことがあるから、0.3のあたりを指している。 それ、楽勝で見えます。 「い」
     「うん、見えるね。 じゃ、これは?」  ひとつ下の段へ棒が移動する。  「へ」
     「じゃ、これは?」 先生がまたひとつ下の段の輪を指す。 「右ナナメ下です」
     「? じゃ、これ、見える?」 先生の顔に怪訝そうな色が浮かぶ。 すでに1.2をクリア
     しているのだ。 さっきの右目のことを考えたら無理もないだろう。 でもにゃおには
     先生が指した1.5の文字もハッキリと見えたのだ。  「・・・ち」
     「ちょっと、なにぃ?」 先生は面白いものを見るような目でにゃおの視力をカードに書き込んだ。
     そんな目で見んなよ。 にゃおだって、ついさっき気がついてびっくらこいたんだからさぁ。

     こうして、にゃおの右目、激悪、左目、良好の状態は22歳の頃まで続いた。
     毎年の視力検査の度に、片目が終わってもう一方の目の検査の前には、あらかじめ
     断りをしなければならないのが苦痛だった。
     「先生、こっちの目はよく見えるので1.0くらいからにしてください」
     「先生、こっちの目は視力が悪いので0.3くらいからにしてください」
     そして、その度に、両目で極端に視力が違うにゃおは先生から驚かれ、実際の視力検査で
     それが証明されると、ふう〜ん・・・面白いねぇ・・・という判で押したような答えをもらうのだった。

     面白がってんじゃねぇよo( ̄^ ̄ o) プンッ!

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