許されざるもの、汝の名は・・・

     高校生か短大生か、その辺の記憶は曖昧。
     とある日、離婚して家を出ている父がひょっこり帰ってきたことがあった。
     父はふと思い出したように、こう言ったのだ。

     「この前、送った液晶テレビの調子はどうだ?」

     え? 液晶テレビって?
     怪訝そうな顔をする、にゃお、母、そして妹。
     今度は父が怪訝そうな顔をする番だ。

     「この前、宅急便で送ったじゃろう? セーターと一緒に。 ちっちゃい、携帯用のテレビ」

     数ヶ月前、父から宅急便が届いていた。 韓国土産だとかで、にゃおと妹にそれぞれ
     セーターと、そのセーターとおそろいの上着が入っていた。 でも、それだけだぞ?

     「んな、バカなことがあるかい。 ちゃんと液晶テレビを入れて送ったんで?」

     セーターと一緒に液晶テレビを送った父。 でも届いた荷物には液晶テレビが入っていなかった。
     それって、考えられることはひとつなんじゃないの? 考えたくないけどさ。
     すると、父がさらに衝撃的なことを言った。

     「あれは? ずっと前に、『くん(←にゃおの愛称)』にワンピースと時計を送ってやったろう?」

     む? え〜と・・・ 確かにワンピース来たね。 中学生の頃だったんじゃないかな。
     せっかく送ってくれたワンピースだったけど、にゃおの好みじゃなかったのと、サイズが
     合わなかったんだよね。 ゴメン、父ちゃん。 ブタ娘でさぁ(~_~;)  
     でも、それだけ。 時計なんて入ってなかったよ。

     「おかしいのう。 僕ァ、腕時計を一緒に送ったんでぇ」

     ねね、父ちゃんよ。 それ、どこの宅配便で送ったのさ? 送り状に中身が何かを書く欄が
     あるけど、そこにちゃんと『腕時計』とか『液晶テレビ』とか書いたのかい? もうこっちには
     送り状とかみんな始末しちゃってるから確かめるすべはないけど、書いてなかったような
     気がするぞ。 だって、書いてあったら、それが入ってないってわかるもん。

     「両方とも、『N通』で送ったで。 中身は・・・書かんかったような気がするのぅ・・・」

     ああ、だから、「やられた」んだよ。 送り状に中身が記載されてなかったら、配達途中で
     誰かが中身を開けて、めぼしいものを抜き取ったって、こっちにわかんないじゃん。 例え
     電話連絡とかで、「送った」「届いてない」ってやり取りが合ったとしても、本当に送ったのか
     証明できないもん。 入れ忘れたんじゃないの?って言われたらおしまいだからね。
     ちくしょー それにしても、腹立つなぁ。 2度もかよ・・・(怒)

     『腕時計』は何年も前の話。 この『液晶テレビ』だって、数ヶ月前の話だ。 
     タイミングとしては遅すぎる。 それでもにゃおは腹の虫が収まらなかった。 これって絶対
     他にも余罪があるはずだ。 やるヤツは何度でもバレない限りやる。

     その宅急便会社へ電話をしてみた。 事情を説明して、どういうことですか、これは!と
     詰め寄った。 もちろん、本当に父が送ったのか証明できるわけでなし、弁償してもらおうなんて
     ことは考えてなかった。 ただ、今後、そんなことがあってはいけないし、一言文句を言って
     やらないと気がすまなかっただけ。
     相手は、きちんと調べて連絡致しますから・・・と口先だけは丁寧な言葉を吐いた。
     こちらの名前と電話番号を知らせて電話を切る。
     もちろん、それ以後、相手からの電話はなかった。

     期待しちゃなかったさ。 時間が経ったものを調べるのは難しい。 せいぜい職場にこんな
     クレームがあったから気をつけるように・・・と訓示をする程度だろう。 それでもさ、一応さ、
     誠意ってものを見たかったんだよね。 わかったよ。 あんたのところの「気構え」がさ。

     それ以後、にゃお家では、「N業者は信用できない」と、宅急便を使う時、その会社の宅急便を
     使うことはなくなった。 


     その当時、にゃおは少しも気がつかなかったのだけど、だんだんと気をつけて見ているうちに
     面白いことがわかってきた。 

     にゃお家が通常使う、某宅配業者K。 ここはいつも品物をその会社の配送車で、その会社の
     人間が配達している。 ところが、今回、その悪質さと対応の悪さが露見した宅配業者Nは
     品物の配送を下請けのようなところに任せているのだ。 そう、いわゆる、「宅配便取り扱い店」と
     呼ばれるところが、N業者に代わって品物を客に配送する。 だから家にやってくるのが
     その辺の酒屋のおっちゃんだったり、米屋のおっちゃんだったりする。 にゃおが思い出して
     みる限り、にゃお家に配達される、その宅配業者の荷物は、社名の入った車や制服を
     来た人間によって配達されたことは一度もない

     こんなことだから、途中で荷物を開けて中を抜き取るなんてことが出来ちゃうんじゃないの?
     そりゃあね、いろんな人間がいるんだから、どこのどんな世界でも、こういう悪いことを
     するやつがいると思うよ。
     自分の社の人間だったら、きちんとした調査をすることもできるだけろうけど、自分の手を
     離れた第三者にゆだねてしまったら、その第三者のところで何かあっても、調べるすべも
     ないし、「うちがやったことじゃないから」って逃げることもできるもんね。

     つい先日、普段、仕事で家にいない母に代わって、代引きの通販品の受け取りをした。
     配達したのはK業者。 あらかじめ電話が入り、これこれこういう品を○○円の代引きで
     お預かりしてますがいいですか? と告げられた。 もちろん、ある程度の値段の計算をして、
     いつ来ても大丈夫なように用意しておいたから問題はなかった。

     時を同じくして、にゃおが頼んでいた代引きの通販品が配達された。 配達したのは
     どこの誰か知らないおっちゃん。 いきなりやってきて、代引きです。 ○○円くださいと言う。
     こちらも、あらかじめ、大体のお金は用意しておいたけど、58円という細かな部分が
     財布になかった。 60円でおつりをくれと言ったら、たかが2円のおつりを持っていないという。
     仕方なく、1円や5円玉ばかりを集めている貯金箱をひっくり返して、なんとか渡した。
     なんで代引きの品を届けるのに、前もって電話をしてこないんだろうね。 いきなり来て
     留守だったらどうすんのさ。 もう一度出直してくるのって面倒だろうに。 それに代引きの
     お金を客がみんな、キッチリ端数まで用意してるってことはあり得ないだろうに。
     届けられた品物についている配送業者の名は『N』だった。
     ヽ (´ー`)┌ ふ・・・ やっぱりね。
     毎度、にゃおの期待を裏切らないわね。 

     これからも、にゃおがN業者を使って宅配を頼むことはないだろう。
     できれば、にゃお家に宅配便を使って品物を送ってくれる時もN業者を使わないで欲しいものだ。

     ちなみに、にゃお家、御用達のK業者とは、にゃおが勝手にトレードマークにもしている
     『』でございます(*^-^*)

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