なんだかなぁ

     ここ数年、音楽の世界で自分が、よく耳にする言葉がある。

     ●『リスペクト』 respect 「尊敬する」
     ●『トリビュート』 tribute 「みつぎ[ささげ]物(をする義務); 贈り物; 感謝のことば[しるし],
                      賛辞; 表れ」
                     ※pay (a) tribute 賛辞[敬意]を表する
                                                   三省堂提供「EXCEED 和英辞典」より

     『○○さんをリスペクトして、この曲を歌います』だとか『トリビュート・ソング』という使われ方で。
     それは別にいいのだけど・・・

     昔から、『リバイバル』、『リメイク』、『カバー曲』という呼ばれ方で、過去にすでに発表された
     楽曲を再び、新しいアレンジなどで歌うことはよくあった。 いい唄は何度だってヒットするし
     色あせない。 若い世代の人が、昔の曲を今、聞いて、「これって素敵な曲ね」と思うのは
     素晴らしいことだ。
     それでも、どうしても自分で納得が行かないことがある。

     2年前、『大きな古時計』ブームがあった。 あるアーティストが、その唄を情感たっぷりに歌って
     大ヒットした。 確かに素敵な歌声で、耳を傾けているとジーンと目頭が熱くなるくらいだった。
     この『大きな古時計』は元々、アメリカの作曲家、ヘンリー・クレイ・ワークが1876年に作詞・
     作曲して発表したものだそうだ。 それを『保富康午(ほとみ こうご)』という人が1961年に
     日本語訳をし、「お〜お〜きな のっぽの ふるどけい おじい〜さんの〜 とけい〜♪」という
     おなじみの唄になった。 この唄をカバーしたアーティストが紅白に出場して歌ったり、それに
     派生した本なども出るフィーバーぶり。 CDとして発売されると、これまた、すごいセールスに
     なったらしい。

     それ以後も、『亜麻色の髪の乙女』だとか、『贈る言葉』のラップバージョンだとかで、カバー曲が
     ヒットする現象は続いている。 

     自分の曲を再び、そのアーティストが歌うのはいい。
     他の人が、そのアーティストの楽曲を『リスペクト』の意味をこめたり、『トリビュート・ソング』として
     歌うのもいい。 だけど、それを自分のCDとして発売するってのはねぇ・・・
     いくら何パーセントかは、作詞・作曲をした人や、原曲を歌ったアーティストに印税が入るとしても、
     なんだか『他人のふんどしで相撲を取ってる』ように思えるのは自分だけだろうか。
     おまけに、音楽の著作権保護法によると、この著作権ってのは、楽曲が誕生してから、
     もしくは、作詞・作曲者が没してから50年で消滅するものらしい。 だから、『大きな古時計』なんて
     なんの著作権に引っかかることなく、なんの著作権料を払う事もなくて済むようだ。 それが
     大ヒットしたら、丸儲かりじゃん? う〜ん、いいのか、それで・・・(いいんだろうな)

     『他人のふんどし』で儲かったものなら、それを還元すべく、寄付したりしてくれないかなぁ。
     そうしたら救われる人もたくさんいるだろうに。 あ、もう、ちゃんとやってるのかな?
     だったら、そういうことは、しっかり知らせてほしいな。 自分のように要らない妬みを
     買わないように(笑)

                        目次へ     HOME