ニワトリとたまご
とあるテレビ番組。
そこでは美味しいラーメンを作るということで有名なおじさんが出てた。
顔はよく知ってるけど名前は覚えてない(記憶しておく必要がないせいだけど)。
そのおじさん、超わがままで細かいことにうるさいと評判の人。 その人のお店では
一切しゃべっちゃいけないらしい。 出されたらさっさと食べて次の待ってる客に席を譲れという。
それから食べ方にもいちいち指図されるし気に食わないと出てけって怒鳴られる。
ここでふと考えた。 この人は何をやってるんだろう?
ラーメンを作って売る。 それって客商売じゃないのかな? そんなにエラソーな態度でいいんだろうか?
おじさん曰く、「文句があるなら喰いにくるな」
・・・ごもっとも。
それでも客は途切れないで毎日長い行列を作る。 そこまでして食べたいのかな?
美味しいのはわかるけど、それってそういう偏屈おじさんがそこまで高飛車に言うラーメンってのを
話のタネに食べたいって思うだけじゃないのかな?
自分はそのおじさんの店からはるか彼方の地に住んでるから、まずそこへ食べに行くことは
ないだろうし、そういう店だってわかっててまで食べに行きたいとも思わない。
第一、食べてて楽しくない。 食べながら話すのはお行儀悪いかもしれないけど 「黙れ!」って
強制された沈黙の中で、ギラギラとした目つきで客を睨み回すおじさんにいつ怒鳴られるかと
ドキドキしながら食べるラーメンが美味しいとは思えない。
出されたラーメンを見て、うっかり「美味しそう♪」と言ってしまったお嬢さんに向かって、
「しゃべってねぇでさっさと食べろよ!」と怒鳴ったおじさんをみて、思わずテレビの前で拳を握った。
ちくしょ〜 テメェのラーメンなんか食ってられっか!って、どんぶりを投げつけて帰ってしまいそうだ。
こういうタイプのお店が増えている。
テレビでは「こだわりのお店」と称して紹介するけどそれが店主を天狗にしているような気がするのは
自分だけだろうか? 中には、確かに口うるいオヤジだけど、深く付き合えばなかなか味のあって
いいオヤジだ・・・って人もいる。 でもほとんどは、どう考えても思い上がりだとしか思えないオヤジたち。
客が食べに来なかったら店の意味がないだろうに・・・ でも客が途切れないのはナゼ?
それがよけいに「オレがこのスタイルでも客がついてくる」と思わせてるような気がするんだけどなぁ。
美味しければいいんだろうか? 超一流と言われる店はどんなジャンルの店であれ、お客様のことを
第一に考えると口を揃える。
「オレだって客のことを第一に考えてらぁ。 だから美味いラーメンを出すんだ」
そう言うに違いないおじさんとはいつまでも平行線だ。
考えが堂々巡りで、まるでニワトリが先かたまごが先かを論じてるみたいだ。
ラーメンが美味しい、だから客が来る、でもおじさんは超わがまま、それでも客足が衰えない、
ますますおじさんはそのスタイルに自信を持つ。
でも、もし客が来なくなったら? その時でもそのおじさんはその強気の姿勢でガランとした店内で
ラーメンを作るんだろうか? 美味しいのに食べてもらえないラーメンを?
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