方向音痴

     音痴
     本来は唄に対して「音痴」と言うのが正しいのだろうけど、運動音痴だの、方向音痴だの、
     味覚音痴だのとそのバリエーションもいろいろあるようだ。 悲しいかな、自分は代表的な
     3大音痴(唄の音痴・運動音痴・方向音痴)をきっちりとキープしている(苦笑)。
     今回はその中でも方向音痴について恥をさらしてみようと思う。

     我ながらあっぱれと手を叩きたくなるくらい自分は方向感覚が鈍い。 大体、東西南北が
     わかんないのである。 ここは北向。 だとしたら右手側はどっちで(東)、左手側はどっち(西)って
     いうのが即座にわからない。 頭の中に地図の方角を示す矢印を思い浮かべてそれを回転させて・・・
     そしてやっとわかる・・・という有様なのだ。 車でのナビゲーターなんて持っての外。 ヘタしたら
     東京方面へ出かけたつもりで九州に行ってしまいそうだ。 だから自分が車を運転する時は
     決まったルートしか通らないし、どこかへ知らない場所へ出かけるとなると最初に徹底的なリサーチと
     シュミレーションを行う(なんか大げさだな)。 地図を見て自分の現在位置を確認。 それから
     目的地までの一番簡単でわかりやすいルートを地図に穴が開くほどなども眺める。 ここに
     こんな建物があるのか・・・ここにはこういう名前の駅があるんだな・・・そんなことを考え、
     頭の中で風景を思い浮かべながら繰り返す。 実際に運転しても途中で少しでも不安だと
     止まって地図を確認するという徹底振りだ。

     だから主人の車でどこかへ出かけるという時は気分が重い。 主人がよく知っている場所へ行くのなら
     問題はないのだが、主人もあまり知らない場所となると、当然ナビゲーターを強いられるのだ。 
     ところが臨機応変に対応できない音痴の私。 地図を見ても今自分たちがどこを走っているのかさえ
     よくわからない。 そうこうしてるうちに短気な主人がイライラし始めて、文句を言い始める。
     うっかり目的地へのルートを間違えようものなら「バカヤロー」の怒声を浴びる。 それが怖くて
     余計に萎縮してしまい、頭の中は真っ白パニック。 だからぁ、自分にナビゲーターを任せるなって
     いつも言うでしょうが。 こんな嫌な思いをしてまでどこかに行きたくないよ。
     すっかり重い空気に支配された狭い車内で、自分はだんまりを決め込むしかないのだ。 
     今流行りの車につけるナビ。 きっとあれがあったとしても道に迷うだろうな。 これだけは自信を
     持って言える(自慢することじゃないが)。

     ちなみに自分には街へ遊びに行ってデパートに入った時、うっかり入った時と違う場所から外へ
     出てしまい、方向がわからなくて散々ウロウロした挙句、もう一度そのデパートに戻り、最初に
     入った場所から出て事なきを得たという嘘のような本当の逸話がある。 それ以来、中学2年くらい
     までは、かたくなに「入った場所から出る」を実行してきた。 さすがに今はそこまでのおバカでは
     ないけれど、それはもう何度もそこへ行って地理を覚えたからであり、他所の場所へ行ったなら、
     やっぱり「入った場所から出る」をするだろうことは想像に難くない(苦笑)。

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