密かな楽しみ

     誰にでも『自分だけの楽しみ』って持ってるはず。
     それは手芸や絵画のような趣味的なものだったり、散歩の時に移り変わる景色を眺める事
     だったり、その人によって違うだろう。 

     タイトルにあるように『密かな楽しみ』っていうのは、基本的に人に内緒にしてる事、または
     知られたくないと思っている事になる。 『密かな』って言葉がつくだけで、その内容が
     怪しげな、犯罪の匂いさえ漂わせるイメージになってしまうってのがミソだ(笑)
     自宅でコッソリ、Hビデオを見るだとか、駅などで女性のスカートの中を盗撮するだとか。

     自分にも密かな楽しみがある。
     それは広告のチラシ。 それも住宅関係のものだ。
     戸建てやマンションの新築や中古の売り出しチラシを見るのが大好きなのだ。
     特に間取りがついてるやつ。
     週末になると、そういうチラシがごっそりと新聞と一緒にやってくる。
     それを隅から隅まで眺める。 間取りを見ながら頭の中でイメージを作ってみる。
     時にはモデルルームの中を撮影した写真が載ってるものもあって、そういうのはイメージが
     作りやすい。

     自分の記憶のある限りでは、マンションやアパートに住んだことはない。 戸建ての借家には
     2年近く住んだことがあるけど、あとは、ちゃんとした自分の戸建ての家だった。
     ずっとマンションやアパート暮らしの人から見れば、贅沢な話なのかもしれないけど
     そこは『ないものねだり』ってやつ。 庭のない、上階の暮らしってどんなものだろうと
     憧れてやまないわけだ。 だから、マンションやアパートのチラシは長時間眺める。
     そして、この場所で、この値段はリーズナブルだな・・・とか、ここは値段は安いけど
     生活としては不便だな・・・なんてことを真剣に考える。 もしも宝くじで3億円当たったら・・・
     なんて夢のようなことを思い描きながら(苦笑)

     現実問題として、自分は今の家から引っ越すという可能性が少ない。
     離婚でもして、「おいとまさせていただきますm(__)m」ってなことになれば別だけど、
     そういう時はマンションだなんて豪華な場所は絶対無理。 2DKの安アパートくらいにしか
     住めないだろう。 だから、なおさら、想像は大きくなっちゃうのだ。

     男性はもちろんだけど、女性の方が、住まいに対する憧れや思い入れって強いと思う。
     自分の理想の間取りの家っていうのが絶対にあると思う。 いつか、そういう家に住めたら
     いいなと思う気持ちは永遠になくならないはず。

     今でも、自分の理想に限りなく近い間取りのものを見つけると、つい、切り取って保存してしまう。
     いつの日か、それが必要になるなんてことは100%近くないんだけど。
     でも人生、どう転ぶかわからないものね。 もしかしたら、本当に宝くじが当たって
     家なんてポーンと現金で買えちゃう身分になるかもしれない。
     もしも、そうなったらどうしようかな?(^ ^;

     『密かな楽しみ』は終わる事はない。

                       目次へ     HOME