ひえ〜

      にゃお家の田んぼでは8月のお盆あたりから稲穂に花が咲き始める。
      にゃおは田んぼに囲まれた地域で育ったにもかかわらず稲の花を見たことがなかった。
      結婚してからも見た記憶がない。 というのも何度も言うけどにゃおは植物系に
     関心がないの。 目の前にきれいな花が咲いてたって記憶に残ってないくらい。
      だとしたらわずかの間に、密やかに咲く稲の花なんて頭の片隅にも残るはずがないんだよね。
      そんなにゃおでも一応は見たいっていう気持ちはあるわけ。
      だから意識して見てるつもりなんだけど、いつの間にか忘れちゃってるんだな。

      2000年の夏、にゃおは初めて稲の花を「しっかり」と見た(笑)
      それは花?って感じのものだった。 稲の穂がまだ青く硬くくっついてる時、
      その間から白いものが、ぐにゅぐにゅ・・・ってな感じでくっついてた。
      こ・・・これが花? よ〜く近寄って見ても、いわゆる「花」っていうイメージからは
      懸け離れてる。 そうか・・・これが花だったのか・・・
      花は約2週間近くは穂にくっついてた。 あれ? だったら今までだって花を見てるはずだよ?
      なのに記憶がないなぁ・・・ ね? どれだけにゃおが関心ないかってのがよくわかるでしょ?(~_~;)

      本題に突入。
      この時期から「困ったちゃん」が現れる。 当の本人(本人ってのは正しい表現じゃないけど)
      からしたら、勝手に困ったちゃんにすんな〜と怒り狂うだろうけど、でもやっぱり厄介もの。
      それは・・・「稗(ひえ)」なのだ。
      そう、昔、農家の人々は米は作れどみんな政府に召し上げられて、自分たちは稗(ひえ)や
      粟(あわ)を食べてたっていうあの稗(ひえ)。  そのころにはみんなの胃袋を満たすべく
      わざわざ育てられた稗(ひえ)なのに一体いつから厄介ものに成り下がってしまったのか・・・
      きっと稗(ひえ)もこの世の中のうつろいを嘆いてるに違いないね(^ ^;
      ともかく米の中に稗(ひえ)が混じるのはヤバイわけで・・・だから農家の人はみんな
      稗(ひえ)を取る。 この稗(ひえ)、ものすご〜く知恵もの。 まだ小さい苗の段階では
      見た目がほとんど稲の苗と見分けがつかない。 (熟練した人は苗の段階で
      稗(ひえ)を見分けて取ったり、触った感触で判断できるらしいんだけど、にゃおには
      100万年経っても無理だっちゅうの。 主人でさえも穂が出そうなくらい大きくなってきたら
      区別できるけど苗の段階ではよくわかんないらしい)
      おまけにある程度育ってくると稲よりも先に穂をつけるんだな。 え? 何でかって?
      そりゃあ、生育の速度の問題って言えばそれまでなんだけど、にゃおが思うに
      先に実ってしまえばそれだけ早く子孫を残せるでしょ(笑)  先に熟成して実(この場合はモミ?)を
      落としちゃえば、こっちのもんだもん。 また来年芽を出せるからね。 早いもん勝ちってやつ?
      それに違いないって思うんだな。 まったく油断のならないやっちゃ(爆)
      でもね、稗(ひえ)の穂ってのは稲の穂とは全然違うから、実をつけるとにゃおでもわかる。
      そこで時々にゃおも稗(ひえ)を取るべく田んぼの中へ出陣してくわけなのよ。
      さてここでまた問題。 遠くから見ると一目瞭然で稗(ひえ)があるってわかるのに
      いざ、取ろうと近寄ると、あらら不思議。 稗(ひえ)は秘儀・忍法雲隠れの術を使って
      稲に姿を紛れ込ませちゃうんだね。 すごく接近するとその術も破れてしまうんだけど、
      一瞬こっちは、あれれ? って見失っちゃう。 こうして難を逃れた稗(ひえ)は無事に子孫を
      残すわけで、この時期はまさに稗(ひえ)との攻防戦。 全部取ったつもりでも
      必ずちょっとは残ってるみたいだし、もし全部取れたとしても水を田んぼに入れる時に
      どこからか流れてきて田んぼに入り込むこともある。
      取ったと言ってもそれで安心しちゃいけないよ。 人によって様々だろうけど
      にゃお家では取った稗(ひえ)の穂を全部取るんだな。 そのまま枯れさせる人もいるけど
      それはやがて枯れて軽くなり、風に飛ばされてまた田んぼに入っちゃうかもしれない。
      せっかく苦労して取った稗(ひえ)なんだもん。 用心には用心を重ねないとね。
      で、丁寧に穂を全部切り取って袋に入れて、燃えるゴミに出したり、鳥に食べさせるべく
      田んぼに飛んではいらないような場所に置いておいたり・・・

      もし、皆さんが田んぼのそばを通る事があったら、ちょっと視線を稲の高さにして見て。
      稲の間からひょこって、違うものが出てない? もしあったらそれが稗(ひえ)です(笑)
      そんなのないよ?って言う人、それはその田んぼの持ち主さんが一生懸命抜いた証拠です。
      そういう田んぼには敬意を払ってあげてくださいな(*^−^*)

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