物語は3年後。
小説とゲームの設定を多少ミックスしてますのである意味好き放題に書いてます。
それでも、良い方は読んでください。

設定として。
毎日、記憶を忘れる事はなくなってます。
愛の力は偉大なのです(何か違う)

すずねえとオミ君は付き合ってますがまだ記憶は戻ってない時と設定してます。
というより、戻ってからは小説を読んだ方が早いですな。
まぁ、前書きはこれにて。では、物語の始まり。



「はぁ。疲れた〜」


場所は大学の図書館。
情けない声を上げるのはこの物語の主人公新沢靖臣。
今現在、彼は民俗学のレポートの完成作業に追われている。
調べていたのは”祟り神”の伝承であった。


「……。しかし、この伝承。知ってるような知らないような。うーん」


考えてみるが記憶には無い。仮に知っていたとしても覚えてはいない。


彼は記憶喪失であって記憶喪失ではない状態に陥っている。
ここ最近はマシになったが、3年前。彼はある事件により高校を一時休学した。
それは、人の名前を。特に周りにいる人達の記憶を失っていくという奇妙な出来事。


いくら覚えようとしても次の日にはまた同じ事を繰り返し質問する。
始めに相手が自己紹介をしなければ会話すらままならない。
最終的に、自分が何者かすら忘れてしまい彼はその地を去った。
大切な大切な人の事も忘れたままで……


結果的に彼の両親がいる土地での高校に通う事で辛うじて大学には行けたが。
基本的に一人でいようとはした。誰かと居れば迷惑がかかる。
そう思っていたのだが、良き友人達に支えられ孤独で過ごす事はなかった。


どうやら、その友人の一人が彼に近づいているようだ。


「新沢君、頑張ってる?」
「かすがさん。何とか…ね」
「いくら、彼女である桜橋先輩と会えないからって怠けてちゃ駄目だよ」
「な、何を言ってるんだよ。仕方ないさ。涼香さんも色々と調べてくれてるみたいだし」
「ふーん。桜橋先輩の事、さんづけで呼んでるんだ」
「呼び捨てだと怒るんだよ」
「なるほどね」

今話している女性の名前は練馬かすが。今話題に出た桜橋涼香と引き合わせた張本人。
実は靖臣の事が好きだったが……。まぁ、結局それは胸の内にしまったようだ。


後の彼女曰く


「わたしでは、靖臣君の心は救ってあげられなかったからね」


まぁ、それはともかく。今現在は良き友人として彼の傍に居る。


「それは、そうとそろそろお昼の時間だけどどうするの?」
「今日は学食にする予定だよ」
「じゃあ、修吾君と優君にも声かけておくね」
「ああ、キリが良いから一緒に行くよ」
「そう? じゃあ、そうしましょうか」

修吾君と優君。フルネーム板橋修吾。豊島優。同じく良き友人。
二人ともかすがに多少、気があるようなので靖臣がそれを言ってみたところ。


「彼女には他に好きな人がいるよ」
「まぁ、その当の本人は分かってないだろうけどな」
「ふぅん。誰なんだろ」
「……。朴念仁」


といわれた過去が靖臣にある。それはともかく、話を元に戻す。


図書室から出て二人で一緒に歩いていると背後から声がかかってくる


「靖臣君」
「あれ、涼香さん。今日は忙しいんじゃ……」


なかったのかと言おうとするがそれは遮られ……


「お昼ぐらいは一緒に居ようかと思って」
「くすっ。どうやらわたしはお邪魔みたいだから行くわね」
「あっ、ああ……ごめんね」
「良いのよ。それじゃ」


そう言ってかすがさんは去っていき、靖臣と涼香が場に残される。


「かすがさんに悪かったわね」
「まぁ、仕方ないよ。でも今日は会えないと思ってたから嬉しいけど」
「くすっ。今日は天気が良いから屋上も良いけどたまには中庭に行きましょうか」
「そうしよう」


中庭というにはかなり広いがそう呼ばれている場所。
何人かの生徒が同じように食事を取っていたり話をしていたり、
寝転んでいたりとそれぞれの休憩をしている。


「はい。今日のお弁当」
「ありがと」
「くすっ。私と靖臣君の仲じゃない。今更だよっっっっ」


相変わらず溜めの部分がが長いが記憶を失っていて多少言葉遣いが違うせいか
これは靖臣以外の人間の前では使っていない。
それを思うと自分は特別なんだなと思い靖臣の頬は緩む。


「どうしたの?」
「いや、こうしていると本当に恋人なんだなと思って」


数ヶ月前、人が居ない時を見計らって呼び出して告白をした時の事を思い出して居るようだ。
そもそも、最初に合った時にそれに近い事をしていたような気もするが。


「どうしたの?」
「桜橋さん、僕と付き合ってください」
「友達としてではなく恋人としてだよね?」
「はい……」
「うん、良いわよ」
「本当に?」
「うん」

あの時から、恋人として付き合い始め、それから少しして交わって…
今現在に至ってると回想しているところで涼香の声で我に返る。


「康臣君。いつも言うよねそれ」
「まぁ、そうだけど。釣り合ってるのかなと不安なんだよ」
「もう……」
「な、何を」


呆れたような怒った顔をしながら涼香は靖臣を抱き寄せる。
靖臣は少し照れながらも抵抗できない。


「最初に会った時に言ったでしょ。ずっっっっと傍に居るって」
「うん……」
「だから、そんな事は言わないの。分かった」
「分かったよ。涼香さん」
「うんうん。それでこそ、靖臣君よ」


そう言って抱き寄せるのを止める。
周りを見ると視線が集まっている。
かなりの注目の的になってしまったようだ。


「涼香さん?」
「……」


どうやら固まってしまったらしい。三人以上の視線を浴びると
彼女は緊張してあがってしまうのである。
我に返るのを待ってさっさと中庭から逃げた二人であった。


「結局、ここで食べるのか」
「うう、仕方ないでしょ。あのまま中庭で食べるわけにはいかないし……」



中庭から屋上に移る。普段ここには余り人は来ない。
ただ、たまには気分を変えたかったのか中庭にしたようだが。
まだ恥ずかしいのか少し照れた声で言い訳をしている。


「まっ、ここなら落ちついて食べられるから良いかな」
「うん。そうだぞっっっっっ」
「では、改めて食べようか」


二人で多少遅い昼食を取りつつ今進めているレポートに関する話をする。
涼香の協力もあって大分進んでいるが、文献的資料はやはり乏しい。


「それで、どうするの?」
「明日は休みだから、祟り神の伝承が残ってる奈々坂の神社に行こうかなと思ってるけど」
「私の家にも多少その伝承は伝わってるから調べておいてあげようか?
 母さんがたまには顔を見せないって言ってきたから帰らないといけないし」
「ああ、そういえば。涼香さんは奈々坂だったっけ」
「うん。そうだよ」
「じゃあ、お願いしようかな」
「任せて」


一瞬考えたが、調べに向かうだけで数時間かかるので
とりあえず、実家に戻る涼香に任せるようにしたようだ。


「しかし、こうも忙しいとなかなかデートも出来ないな」
「それと、今のレポートがかなり忙しいんだから早く終えないといけないわよ」
「そうだな。はぁ……」
「終わったら沢山デートしてあげるから我慢するんだよっっっ」
「善処するよ」


涼香に我慢しろとは言われたものの、靖臣は若い男である。
我慢しろと言われて我慢できるかと言われたら……


「涼香さん」
「どうした……んっ」


振り返ったところをキスをし唇を塞ぐ。軽く触れ合うだけのキス。
涼香の長い髪を撫でながらゆっくりと唇を離す。


「今はこれで我慢しておくよ」
「靖臣君っっっっっ!!」


口調こそは怒っているが、仕方ないなぁと言わんばかりの顔で
涼香は靖臣を見ている。記憶は無くてやはり、甘いところは甘いらしい。


「さてと、講義に行こうか」
「わたしも行かないとね」
「次に会うのは月曜日…だな」
「うん……」

今現在、靖臣は両親の元で。涼香は大学に近いところに下宿している。
距離が少しあるせいか、なかなか一緒にいる時間が無い訳で。
靖臣が涼香のところに行こうとすると少々時間がかかる。
涼香にしろ靖臣にしろ本当は毎日でも一緒に居たい。
が、それが難しいので、もどかしい気持ちが込み上げてくる。


「ねえ」
「なぁ」


二人の声が重なる。とりあえず、涼香からと言う事で決まったらしい。


「明後日の日曜日、会えないかな?」
「日曜日か。良いけど。どうした?」
「聞かなくても分かってるのに……」
「そうだな。俺も涼香さんと同じ気持ちだよ」
「じゃあ、日曜日」
「ああ」


そう言って二人は別れる。この時靖臣はまだ知らない。
翌日に自分の身に起きる出来事を……


翌日……


「何だあれは?」


光、光が見える。白く明るい光。それは、靖臣の眼前にまで
迫ったと思うといきなり弾け飛び……


「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」


辺りを見回す。見なれた部屋。自分の部屋だ……


「何だ、夢か……って」


一瞬の違和感。それは……


「思い出したのか? 昔の記憶が。奈々坂にいた時の記憶が……」


かつて、祟り神の水晶を持ち出した事でかけられた呪い。
それによって失われた記憶。
それが今甦ったのである。



「ちょっと待て。どうしていきなり甦った? それに、すずねえは何で俺の事を覚えてないんだ」


調べなければ行けない事が沢山増えた……そう思いながら、まずは自分の父と母に
記憶が戻った事を伝えなければと思い下に降りる。
二人とも驚いたようだが、涙を流しながら良かった良かったと言ってくれた。


「さてと、次は……」


受話器を取り上げある場所に電話をかける。
高校時代の友人、尼子崎 初子のところに。


「あー、久しぶりだな初子」
「や、靖臣!? いきなり学校休学して連絡も寄越さずにどうしたのさ!?」
「ええい、その辺は話すと長くなる。今からそっちに向かう」
「何か訳あり?」
「思いっきりな」
「分かったわよ。それでどれくらいでこれるのかしら」
「分からん。数時間はかかると思うが」
「はぁ、何にせよ。久しぶりだからお茶ぐらいは用意しておいてあげるわ」
「お茶はともかく。ある物を出しておいて欲しいんだが」
「ある物?」
「ああ……それは」


バスで揺られる事、数時間。懐かしい場所、奈々坂に戻ってきた。
高校生活の途中までをここで過ごし、そして去らなければいけなかった場所。


「今日はすずねえには会わないよなぁ」


念の為辺りを見回す。見知った顔はとりあえずいない。


「さて、さっさと初子の所に行くか。昼過ぎてるし」


駅から歩いて少しして、神社が見えてくる。
入り口には巫女装束を着た初子が立ってこちらを見ていた。


「よう、久しぶり」
「さて……早速説明してもらおうかしら」
「とりあえず、中に入れてくれたらな」
「ああ、そうだったわね」


中に入れてもらい、出されたお茶を飲みながら説明をする……最初は
かなり驚いたようだが最後の方はだらけながら聞いていたようだ。


「そんな事があったとはねぇ」
「まぁ、心配をかけたようだな」
「どっちかと言うと若菜よ。大変だったわ」
「元気なのか?」
「病気もある程度治って元気にしてるわ」
「そっか。なら良い」


楠若菜。通称カナ坊(命名・靖臣) 病気で良く入退院を繰り返しているがこの頃には完全完治。
更に話を聞くと、小鹿(フルネーム)

「それと。はい、これ。頼まれてた本よ」
「サンキュー」
「桜橋先輩はあんたの事……」
「覚えてないみたいだな。何かあったのか?」
「あんたが、この街を去ってすぐに倒れてたのよ。ご神体の前でね。それからかな。
 すっぽりとあんたの事だけが記憶から消えてるのは」
「そうか……」
「でも、また巡り合って付き合ってるとはね〜。これも運命って奴かしら」
「そうかもな」
「とりあえず、その本。一応調べては見たけど。わたしじゃ分からないわね」
「だろうな。当事者の俺でも分からんかもしれん」
「でも、それだとまずいんじゃないの?」
「すずねえの記憶が戻らないという点ではまずい……だろうな」


とりあえず、本を開き中身を見てみる。例の伝承とその始まり…
それらがつらつらと書かれている。そして、ある事に注目する。


「これは……」
「どうしたの?」
「いや……」


懐からある物を取り出す。かつて、この地を離れる前にすずねえに貰った
願いが叶う水晶。それに関する事柄を見つけたのである。


「あー、その本持って行って良いよ」
「良いのか?」
「役に立つんでしょ?」
「レポートにも、あと記憶を戻すにも多分な」
「じゃあ良いよ。借りにしておいてあげるわ」
「いつか、借りは返すよ」
「そうして」


初子に感謝しつつ、僅か数時間でこの地を離れる事に多少の寂しさを覚える。
だが、今は感傷に浸っている場合でもない。


「さて、帰ってじっくり調べないとな」


バスに揺られ再び、住んでいる場所へと戻ってくる。
部屋に篭り、調べながらある事を決意するのであった。


日曜日……


二人は待ち合わせの場所と決めている公園で会い、近くの喫茶店で食事をしていた。
店内は実に和やかな雰囲気で二人のお気に入りの場所でもある。


「レポートはきちんと進んだ?」
「ほぼ完成だよ」
「そう。良かったわね」
「でも、まだ少し調べないといけない事があるから完全完成には少し時間がいるかな」
「私の家の方も調べてるから明日には報告できるわよ」
「ありがと」


この後、ショッピングをしたり、映画を見たりと二人にとって有意義な時間を過ごす。
夕暮れ時、靖臣は涼香の下宿先へと向かい、夕食をご馳走になり……。
まぁ、その後はお約束と言う事でこれは書かない。
ただ、かなりの回数をこなしたとだけ書いておこう。


そして、翌日の月曜日。
運命の日でもあり、二人の改めての再会の日でもあったという。




後書き……

好き勝手に書いてます。つーか、高望みというか背伸びしたような
書き方なんざどうでも良いので。今の自分が書けるありのままの
力で書かせてもらってます。口調とかゲームとか違うとかは気にしないように。
完全には把握できてません。オミ君とすずねえの口調はどっちかというと
小説の方を基本にしてます。

というより、小説読んでないと分かりませんな。これ……
特に、かすがさんとかあの辺りは。
色々と悩みましたよ。住んでるところとかに関しては特に。
結局ぼかしてますが。書いてますな。

今回は18禁はなしです。というより、書けませんでした。
ふう。入れるかどうか迷って入れなかっただけですけどね。
どっちにしても次書くとしたらいれるのだろろうか。微妙ですな。

で、小説で気になった点が少々あるのでここに書いてみる。

まず、教育実習って20歳(恐らく)で受けれったっけ?
この点は甚だ疑問です。はい。
いや、裏で話してたけど。短大だと可能だろうけど。
まず違うし。短大だとすずねえは卒業してますな。とっくに。
ダブってれば話は別だが(まずない)
ひよ先生のEDでは5年後だしなぁ…教育実習。
まぁ、良いんですが。気になったので書いてみる。

次……高校卒業してないのにどうやって大学に入ったのか。

まぁ、大検という手段もありますが。
受けてないだろうな。このSSでは両親が住んでいるところの
高校に転校して卒業させた事にしてますが。
小説での例の卒業式は”奈々坂”を卒業すると言う意味と取ってます。

この辺で良いだろうな…後書きも。
では、またいずれ……