ずっと二人で・・・

こんにちは、舞派(1)です。今回は、突発的に名雪日常の1コマSSです。
とりあえず、お付き合いをお願いします。題名は、有名だと思いますが
GLAYの曲からとりました。

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今日は、名雪に起こされた。最近はこういうことも珍しくない。
3年に進級してからというもの、以前のように名雪をたたき起こすことはほとんど
なくなった。
まあ、時間的にぎりぎりになることは以前と変わらないが。




あの日・・・秋子さんのけがが癒え、家に帰ってきた日。その日は北川達も呼んで、
盛大にパーティーをしたりした。
俺はあの時の名雪の表情を一生忘れないだろう。
俺といるときも滅多に見せてくれないとびっきりの笑顔をしていた、
とりあえず、その日以来俺達は本当に穏やかな日々を過ごしている。
何も起こらず、平凡で、ただの日常としか言えない毎日。
記憶の中に埋もれて、何年か経ってから振り返ってみても特に思い出せるような
ことはないにちがいない。
それなのに、この上なく幸せな毎日。

やはり、いつもこいつが隣にいてくれるからだろうか?

最近はそんなことをよく考える。




いつも通り秋子さんお手製のおいしい朝食を食べてから、名雪と一緒に俺達の家
を出る。
これまたいつも通り、名雪に時間を確認する。
「名雪、時間は?」
「えっと・・・わっ、歩いても余裕があるよ。」
「そいつは良かった。」
空は抜けるような青空。
まだ5月に入ったばかりで、ようやく暖かくなってきたと言える。
冬化粧をとき、日々変化を見せる周りの景色を眺めながら歩くのも良いと思った。
「見てよ祐一。桜だよ。」
「ああ、そうだな。」
「今度みんなでお花見にでも行こうか?」
「ああ、そうだな。」
「誰と行こうか? 香里と北川君と、斎藤君とか・・・。」
「ああ、そうだな。」
「楽しみだねっ。」
「ああ、そうだな。」
「・・・祐一、聞いてる?」
「ああ、そうだな。」
「・・・・・・・祐一はわたしの言うことはなんでも聞いてくれるんだよね?」
「ああ、そうだな。」
「やった! じゃ、とりあえず今度イチゴサンデー3つおごってね♪」
「ああ、そうだな・・・ってなに!?」
まずい・・・適当に返事しすぎた。
「約束だよっ。」
名雪は駆け出した。
「待てっ、今のは無しだ!」
そう言って、逃げる名雪を追いかける。
「やだよーだ。きゃ〜。」
やばい・・・この間高い買い物をしてすでにピンチなんだ・・・これ以上の出費は・・・。

「あ・・・・・。」
名雪は足を止めた。
「お、聞いてくれる気になったか。」
「ねこさん・・・・・・・・かわいいねこさん・・・・。」
見ると、のらねこがひなたぼっこをしている。
暖かな日差しの中、幸せそうな顔をしていて見ているこちらまでも眠くなるような感じが
する。
「ねこさん・・・こっちおいで・・・・。」
また始まったか、この猫狂いめ。
「おいで・・・おいで・・・かわいいねこさん・・・。」
顔を朱に染め、手招きをする名雪。不覚にもこんな名雪も可愛いと思ってしまう。
フミャー
名雪の努力(?)もむなしく、そのねこは一鳴きすると行ってしまった。
「あ、行っちゃった・・・。」
「あきらめろ、ねこアレルギーなんだから。」
それでもあきらめきれないのか、名雪はふらふらと追いかけようとしている。
「おい、そんなことしてると遅刻するぞ。せっかく早く出たのに。」
「ねこーねこー。ううう、ねこさーん。戻ってきてー。」
その時、あることがひらめいた。
「名雪・・・のらねこをてなずけるいい方法を教えてやろうか?」
「えっ、そんな方法あるの!? 教えて祐一!」
「じゃあ、イチゴサンデーと引き替えな。」
「うっ・・・ひどいよ祐一・・・。何でも聞いてくれるって言ったのに・・・。」
「ふっふっふ。さあ、どうする?」
「うー、どうしようどうしよう。悩むよ〜。」
名雪は本気で考えている。
「後10秒。それで決められなきゃどっちも無し。」
「わっ、待って待って。すぐ決めるから。えーとえーと・・・」
「じゅーう、きゅーう、はーち・・・・・・・・」
「決めた・・・てなずける方法教えて。」
結局ねこが勝ったらしい。
「よし、交渉成立だな。あいつらはな、目を合わせずに呼びかけるといいらしいぞ。
 目を合わせると威嚇しあってることになるそうだ。」
「・・・それ、ほんと?」
「ほんとだって。今度試してみろよ。」
「うん・・・そうする。」
「それじゃ行こうか。・・・ところで名雪、時間は?」
かなり時間を無駄にした気がするが・・・。
「えっと・・・走れば間に合う、かな?」
・・・結局こうなるのか・・・・。

俺達は走り出した。
早く出た意味なんてありゃしない。
「わたし、走るの好きだよ。」
笑顔で名雪が言ってくる。
「俺は、疲れるから、あまり、走りたく、ない。」
切れ切れに答える。
「わたしは楽しいよ。祐一と一緒だし。」
「名雪、言ってて、恥ずかしく、ないのか?」
「恥ずかしいよ。でも、あの目覚ましほどじゃないよ。」
ぐぁ・・・それを言われると黙るしかない。
そのまま二人並んでいつもの道を走る。


こんな何気ないやりとり。
学校に行けば、いつもの仲間も交えてバカ話。
そして、隣にはいつも名雪がいる。

いつまでもこんな時間が続けばいいと思う。
しかしそれは叶わない願い。
いつか俺達は別れ、それぞれの道を歩み始める。
それでも、名雪とは何があっても一緒にいたいと思う。

名雪。
いつでも俺に笑顔をくれ、元気づけてくれる。
名雪。
ずっとこんな俺を想っていてくれた。
名雪。
弱いけれど、強い。
名雪のすべてが愛おしかった。


だから、俺はこう言う。

「名雪・・・。」
「なに?」
「ずっと、一緒に、いような。」
「わ、すごく恥ずかしいこと言ってる。でも・・・うん。ずっと、一緒。」
満面に笑みをたたえて名雪は言った。



                                  <Fin>

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<後書き>
こんにちは、舞派(1)です。

「ここではお久しぶりです。美汐です。」

おお、久しぶり。ここんとこ本編で頑張ってるからな、美汐は。

「それはいいとして・・・何か言うことがあるのでは?」

あははははは・・・。俺の悪い癖ですね。連続物書いてても違うものを書きたくなる。
連載のほう読んでくれてる方、ごめんなさいです。これは、3話書いてるときに書き上
げたやつだったりします。
しかも、最近はオリジナルも書き始めたというバカッぷり。HP持ってないくせに。
誰か置かせてくれる人とかいないかな? ま、いるわきゃないか。
 
美汐「あなたという人は・・・どうしようもないですね。」

それにしても、最初はもっとシリアスなのを書くつもりでいたのに・・・。しかも元の曲は
弟から姉への祝福の曲のはずだったぞ。

美汐「・・・書いた後で何を言っても仕方ありませんが。」

はは・・・そりゃそうだ。痛いことを言うね。お兄さん参った。
ちなみに、ねこの話はほんとです。何かの本で知ったんですが、俺は、いつもこの手
でのらねこをゴロゴロ言わせます。(笑)

美汐「まったく・・・。」

やっぱりこれむりやりだよな。展開がおかしいよ・・・。

美汐「・・・それでは、またいつかお会いしましょう。」

レスレスのアシは香里だからね。・・・ってその前に、これコメントつくのか?
まあ、つくことを祈って・・・さようなら。       
                        <幕>


<管理者のコメント>

 

とまあ、管理者からのコメントと言っても簡単に内容に対してのコメントと置かせていただいた方へのお礼を書くためです。

実際この作品には「ずっと二人で・・・」がバックの音楽としては良く似合うのではないでしょうか。名雪SSのほのラブかな。

どうも、いまいちほのラブという言葉をどのように扱って良いか分からないところですが・・・。名雪と祐一の関係はSSの中に

あるように、ずっと続いていけばと思います。そう願うばかりです。このSSで非常に興味深いところ・・・。ねこをてなずける。

やり方。あれは事実なのだろうか。このSSの作者舞派(1)さんは色々と確かに知っているから事実なのだろうけど。

うーん、まあこれは掲示板にでも疑問に対する答えを書いておいてくれるとありがたいですな・・・。ふう、ではSSを置かせて

くれた、舞派(1)さんに感謝しつつ、コメントにさせてもらいます。では・・・。

 

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