「今日はクリスマスか……」
 アイズ・ラザフォードはカレンダーを見てそう呟く。
今日は完全なオフ日。アイズは今日の為に仕事に専念
していたのである。
「さて、行くか……」
 全てが終わり、彼は同じブレードチルドレンである
竹内理緒と付き合い始めて一年が経とうとしていた。
「さて、喜んでくれれば良いが」
 そう言いながら理緒の住む場所へと向かうのであった。
「ふう。どうやら誰にも気付かれなかったようだな」
 アイズはただでさえ有名人である。サングラスをして
それとなく顔を隠しているがとにかくやたら目立つ。
 今回は少し遠回りをしてこの場所まで来たのである。
少し辺り見渡し誰も居ない事を呼び鈴を鳴らし中からの
反応を待つ事、数十秒。ドアが開いた。
「いらっしゃい、アイズ君」
「ああ、早速だが中に入るぞ」
「あっ、うん……」
 有名人を彼氏に持つのは大変である。前に一度こうして
ドアの所で話していたのを写真に取られ掲載されかけた。
結果としては圧力で揉み消したが、それ以来なるべく早く
部屋に入る事にしている。
「アイズ君、久し振りだね」
「そうだな……3ヶ月ぶりだな」
「うん……」
「寂しかったか?」
「寂しかったよ。でもこうして会えたから大丈夫」
「すまない」
「謝らないで。それを承知の上で付き合ってるんだから。
 謝ったら失礼だよ」
「そうだな。だが、少しこうさせてくれ」
 そう言ってアイズは少しの間だけ理緒を抱き締めていた。
会えなかった間の寂しさを癒すように。
 少しして離し、部屋の中へと入る二人。アイズは部屋の
装飾を見て少し驚きながらも座布団に座る。
「弟さんとひよのさんにもちょっと手伝ってもらったんだよ」
「そうなのか?」
「流石にわたし一人じゃ無理だしね」
「……。まぁ、そうだな」
「今の間は何かな?」
 背が小さいからなと心の中で呟いたのが間になって出たとは
言えずアイズは沈黙。理緒の口は笑ってるが目は笑ってない。
「まぁ、良いけどね」
「ところで、このケーキもリオが作ったのか?」
 テーブルの上のチョコレートケーキを見てアイズは尋ねる。
「うん。ひよのさんと一緒に弟さんに習ったけどね」
「そうか……」
 軽い嫉妬の色がアイズの目に宿る。料理を作れるのが歩くらい
だとは分かっているのだが、その光景が浮かぶと嫉妬する自分が
居るのに気付いて軽い自己嫌悪に陥る。
「アイズ君。嫉妬してる?」
「……。少しな」
「はうぅ。大丈夫だよ。わたしにはアイズ君だけだし。そういう
 関係には弟さんとなってないし。弟さんにはひよのさん居るし」
 必死になって弁解する理緒を見て、アイズは自分が癒されるのを
感じる。分かりきっていた事なのに、恋人を信じていなかった自分
自身を叱咤して。理緒に言葉をかける。
「すまない……分かってはいた事だが。ついな……」
「うん。大丈夫だよ……わたしにはアイズ君だけだからね」
「分かってる」
「なら良いよ。ケーキ食べよう」
「ああ」
 包丁で上手に切り分け、味わいながら食べるアイズ。理緒はそれを
幸せそうに見つめながら自らも食す。
「美味しかった」
「うん。我ながら上出来だよ……さてと、アイズ君」
「どうした?」
「クリスマスプレゼントを渡したいんだけどちょっと準備がかかるから
 待っててくれる?」
「ああ。分かった」
「じゃあ、少しだけ待っててね」
 そう言って奥の部屋に理緒が入り数分が経った。
「リオからのプレゼントか……」
 アイズ達が呪われた運命に縛れていた時は当然ながらクリスマスなど
祝ってもいなかったし、そんな事をする機会もなかった。
 今回が運命から解放されて、二人が付き合って初めてのクリスマスで
ある。アイズもプレゼントは用意してきたのだが、少々特殊な物なので
出すタイミングを謀っていたが、先を越された形になった。
「お待たせ……」
「り、リオ……そ、その格好は?」
「くすっ。クリスマスと言ったらサンタだよ。だから着てみたの」
 アイズが声のした方に目を向けるとサンタの服を着た理緒が白い袋を
担いで立っていた。流石に髭などはつけてないが非常に良く似合っている。
「理緒サンタからアイズ君にプレゼントだよ……」
 そう言って袋から何やら取り出すとアイズに近づいて行く。
「アイズ君。目を瞑っててくれるかな」
 言われたとおりに目を瞑る。ゆっくりと理緒の気配が近づいてくる。
一瞬、首に手が触れたかと思うと何かが首にかけられた感触があった。
「良いよ」
「これは……」
 銀色の指輪の装飾のネックレス。それがアイズの首にかかっていた。
「まだわたし達の関係を公にするわけにはいかないけど、確実な証みたい
 なのが欲しかったから、どうしようか考えて、ひよのさんに相談したら
 ネックレスにつけて渡したらって言われて……」
「リオ……」
「アイズ君……んっ」
  触れるだけのキス。嬉しさを現すようにそれを何度も何度も繰り返す。
「アイズ君……」
「す、すまない。嬉しくてな。どうやら同じ事を考えてたようだ」
「えっ?」
 そう言ってアイズは小さい箱を理緒の手に乗せる。
「これって」
 そう言って箱を恐る恐る開ける。そこには銀色の指輪があった。
「アイズ……君」
「同じだ。俺も確かな証が欲しかった。リオと死ぬまで一緒に居る証だ」
「うん……嬉しいよ」
「今はまだ公には出来ないが、必ずリオを幸せにする」
「ありがとう。アイズ君。最高のクリスマスだよ……」
 そこにあったのは確かな思い。二人の思いが一つとなる時。人はそれを
幸せと呼ぶ。呪われた運命に翻弄され続けた二人はこれからは幸せの道を
歩んで行く事だろう。



後書きつーか失敗談……

エロが無い。おかしい。エロを入れる気満々だったんですが。
なんつーか、あれだ。持って行けなかった(ぉ

クリスマスプレゼントはアイズは指輪にするのは決まってたんですがね。
理緒は良くあるわたしをあげるとかを考えたんだが……
べた過ぎ。つーか、お約束過ぎてサンタに変更。誰か絵を下さい(ぉ
エロある無しに関わらずこれは失敗。書き直しの方もある意味失敗ですかね。
実はエロも途中で書いてみましたが。強引な展開だわ、短いわ
想像できないわ、エロくないわ……駄目駄目でした(ぉ