カノンお伽ばなし
「桃太郎」

昔々、ある所に、おじいさん(祐一)とおばあさん(名雪)がおったそうな。
おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行ったそうな。

おばあさんが川で洗濯をしていると、大きな桃が
どんぶらこっこー、どんぶらこっこーと流れてきたそうな。

「あ、ももー、ももー。」
おばあさんは、川から桃を引き上げ、
「いちごサンデーの方がいいな。」と本音を漏らしたそうな。

しばらくすると、おじいさんが帰って来たそうな。
そこでおばあさんは夕食後、大きな桃を持って言ったそうな。
「祐一っ。大きな桃を拾ったよー。」
「名前で呼ぶな。・・・と、おお、これは大きな桃だ、どれ、切ってみるか。」
おじいさんはなたを持ち、渾身の力で桃に叩き付けたそうな。
すると、
がきぃぃぃっ。
という、刃物がぶつかり合ったような音がしたそうな。
おじいさんが驚いて桃を見ると、そこから一振りの刀が飛び出てきたそうな。
おじいさんが桃を見てみると、そこには赤ん坊がいたそうな。

おじいさんとおばあさんは、その子を桃太郎(舞)と名づけ、大切に育てたそうな。
ちょうどその頃、鬼ヶ島の鬼が周りの村を襲っていたそうな。
恐ろしいほどの速さで成長した桃太郎は、
「魔物を討つ・・・。」と言ったそうな。
おじいさんは日本一の旗を渡し、おばあさんはきび団子を作ってあげたそうな。
そして桃太郎は、一人旅立ったそうな。

桃太郎が道を歩いていると、道端に犬(真琴)がおったそうな。
桃太郎は無視して通り過ぎようとしたそうな。
「ちょっとー、無視しないでよーー。」
犬はそう言ったそうな。
桃太郎が後ろを振り向くと、犬は言ったそうな。
「桃太郎さん、桃太郎さん。どこに行くの。」
「・・・魔物をうちに、学校へ。」
桃太郎は目的を間違えていたそうな。
「その腰に付けているのは何?」
「・・・きび団子。」
「あぅーっ、肉まん・・・」
桃太郎は肉まんを持っていないので、仕方なく買ってあげたそうな。
犬は肉まんを飼ってくれたお礼に、一緒に鬼ヶ島に行くと言ったそうな。
桃太郎はとりあえず連れていったそうな。

山に差し掛かり、桃太郎は猿(栞)を見つけたそうな。
「桃太郎さん、桃太郎さん、どこに行くんですか?」
「・・・鬼退治。」
「お腰に付けているのは何ですか?」
「きび団子。」
「アイスクリームがいいです。」
「・・・持ってない。」
「残念です。」
仕方なくきび団子をもらった猿は、
「私もついていっていいですか?」
と聞いたそうな。
桃太郎は何も言わなかったそうな。
そこで猿は、
「やっぱり、邪魔ですか?」と聞いたそうな。
すると桃太郎は無慈悲にも「邪魔。」と言ってのけたそうな。
「そんなこという人、嫌いです。」
そう言われてしまったので、桃太郎は仕方なく猿を連れていったそうな。

更に歩いていくと、今度は雉(あゆ)がいたそうな。
雉とも同じような問答を繰り返し、タイヤキを買ってあげたそうな。
すると雉は、「ボクもついていっていい?」と聞いたそうな。
すると桃太郎は、簡単にうなずいたそうな。
「本当に?」雉が聞くと、桃太郎は非人道的に
「囮になるから。」と言ったそうな。
「うぐぅ・・・ひどいよー。」と言いながらも、雉はついていったそうな。

桃太郎一行は、遂に鬼ヶ島の近くの港町についたそうな。
桃太郎はそこで、船頭(佐佑理)を雇ったそうな。
「それでは、いきますよー。はははーっ。」
船頭はそういって舟を漕ぎ出したそうな。

一時間後、鬼ヶ島では、鬼3兄弟(北川、香里、斉藤)が密談をしていたそうな。
「それ、本当なの?」
「おう、こいつが見たんだとよ。なあ末っ子。」
「ああ、乗客は静かだったみたいだが、
船頭が事ある毎に『はははーっ』とか言ってたみたいだからな。」
これで末っ子の出番は終わったそうな。
「どうする、妹。」
「そうねえ、無害そうだし、無視してたら?」
「そうだな。」
鬼ヶ島は平和だったそうな。

夜になって、やっと桃太郎達は鬼ヶ島に着いたそうな。
「・・・有り難う。」と桃太郎が言うと、船頭はひときわ大きな声で、
「それではーっ。」と言って去っていったそうな。

船頭が見えなくなってから、桃太郎は、
「今夜、一気に片を付ける。」といって、
犬、猿、雉を引き連れて鬼ヶ島を攻撃したそうな。
まさかあんなにやかましい船に桃太郎が乗っているとは思わなかった鬼は、
簡単に打ち負かされていったそうな。
そして桃太郎達は勝利を掴んだそうな。
犬、猿、雉が喜ぶ中で、桃太郎は一言言ったそうな。


「・・・逃がした・・・」

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