ここは地獄。
地獄に落ちた人々は、今日も酷い扱いを受けていました。
血の池地獄に入れられたり、皮をはがされたり、燃やされたりしていました。
中には、「たいやきを食いつづける地獄」、「肉まんの中で生活されられる地獄」
等と言った、人によっては「地獄で天国!」と言いそうな地獄もありました。
そんな中に、北川潤と言う男がいました。
北川は、雪の上で足を滑らせ、壁に後頭部をぶつけると言う死に方をして、
閻魔大王が妻に浮気がばれた事の腹いせとして北川を地獄に叩き落としてから、
ずっと血の池地獄にいました。
北川は、ほんとはとてもいい人でした。
ある日、生きていた頃の親友であった祐一と言う男が地獄にやってきました。
北川は聞きました。
「何でお前がここにいるんだよ。」
すると祐一は答えました。
「死んだからだよ。」
「・・・そうじゃなくて、何でお前が地獄にいるんだ?」
すると祐一はこう答えました。
「女を6人もはべらしてたから。」
その6人とは、言うまでもなくあの6人でした。
「それは・・・地獄に落ちるよな。」
それから北川は、祐一と一緒に地獄にいました。
そんなある日、天国にいた香里様は思いました。
「北川君が地獄にいるのはおかしいわね。」
そういうと香里様は、地獄の方に蜘蛛の糸を垂らしました。
一方地獄では、北川が蜘蛛の糸を見つけました。
「これは昔本で読んだ、『蜘蛛の糸』そっくりじゃないか。」
北川は糸をよじ登り始めました。
いくらか進んで、北川は下を見てみました。
するとどうでしょう。亡者どもがしたに群がっているではありませんか。
そしてその一番上にいたのは、祐一でした。
北川は言いました。
「あ、相沢!何をするつもりだ!」
祐一は答えました。
「そんなもん、俺の小猫ちゃん(タダの馬鹿)がいる天国に行くのさ。」
北川はあまりのあほさにツッコミを入れようとしました。
しかし、ツッコミを入れると祐一を突き落とした事になりそうなので、
北川は思いとどまりました。
更に上へ上へと進んでいくと、香里様の待つ天国まで後少しとなりました。
香里様の顔が良く見えます。
北川はさらにスピードを上げました。
しかし、そこで信じられない事が起こりました。
北川の足が、真下まで詰め寄っていた祐一の顔に触ったのです。
祐一は、そこで自分から手を放すと、
「うあぁぁーーーーーーーーーーーーーーー」
と言って、下に落ちていきました。
ぽかんとしている北川に、無上な一言が下から聞こえました。
「北川ぁーーーーーーっ!覚えてやがれぇーーーーーーーーーっ!」
はっと上を見ていると、そこには悲しそうな香里様。
そして手には、何も持っていませんでした。
北川は、祐一の狡猾な芝居により、地獄に戻されてしまいました。