良く晴れた日の昼休み。俺はひよのに呼び出されて新聞部の部室でご飯を食べながら話
をしている。

「鳴海さん、今日はどこに行きましょうか」
「好きにしろ」
「はい、そうさせてもらいます」

 あれから少し経った。学校とかでは表面上は普段と変わらない関係でいる。二人きりの
時は、ラブラブと言って良い状態だが。学校ではあまりいちゃつくつもりはない。
 ひよのはこれに関しては不満顔をしていたが、一応の了解は得た。

「じゃあ、理緒さんのお見舞いに行きませんか?」
「……」
「ほら、一応命のやりとりはしましたけど。今はそれなりに仲良いわけですし」
「確かにそうだが」
「それとも、学校でも大声で名前で呼んであげましょうか?」
「分かった。行く」

 別に名前で呼んでもらっても構わないが……他の奴らに知られるのは実に面倒だ。俺達
の関係についてこれ以上余計な詮索をされるのは御免蒙りたい。

 学校が終わって病院に向かう途中で無難にメロンでも買い病院まで歩く。到着してから
はエレベータを使い、竹内の入院している病室へ向かう。
 一応、礼儀としてノックして居るかどうかを確認しておく。

「はーい、どうぞ」
「こんにちわ」
「よう……元気か?」
「あっ、ひよのさんに弟さん。お見舞いに来てくれたんですか?」
「まぁ、そんなところだ」

 今のところ部屋には理緒しかいない。大抵、浅月の野郎とかラザフォードが居座ってる
と聞いていたんだが今は居ないようだ。(ひよのの情報)
 しかし、こうしてみている本当に命のやりとりをしたとは思えないほどだ。特にひよの
との仲は良い方なのでそれに関しては苦笑いをするしかない。

「今日はラザフォードさんや浅月さんはどうしたんですか?」
「アイズ君はどうか分からないけど。こーすけ君ならもうすぐ来ると」

 その言葉が言い終わる前にドアは開かれ、見知った顔が一人。

「理緒、元気かって。何でお前がここにいる。鳴海弟」
「見舞いだ」
「大方、嬢ちゃんに付き合わされてるって所か?」
「そんな所だ」
「違いますよ。鳴海さんは喜んで私に付き合ってくれてるんですよ」
「ほう……」

 後ろからまた聞きなれた声が……。

「アイズ君だ〜」
「リオ、元気にしているか」
「うん。相変わらず退屈だけど元気だよ」
「そうか、なら良い。ところで、ナルミ弟」
「何だよ」
「手に持っているのは何だ?」
「あっ、ああ……忘れるところだった。見舞いの品だ」
「わーい、網目模様のメロンだ〜」
「被ったか。まぁ、良い」

 良く見ると、ラザフォードの手にもメロンがある。それを見て竹内はさらに目を輝かせ
ている。この姿を見ていると……絶対に高校生には見えない。むしろ……小○生。絶対に
小○生にしか見えない。

「弟さん、今失礼な事を考えませんでしたか?」
「気のせいだろう」
「なら良いんですけど。もし考えてたりしたら、家に爆弾が届いているところでしたよ」
「小悪魔のような笑みを浮かべながら宣言するな!!」

 流石に冗談だとは思うが……冗談だよな?

「そんな事をしたら理緒さんの秘密を全て私がばらまきますから」
「ひよのさん……目が怖いですよ」

 目だけじゃない、こっちに関しては本気で悪魔の微笑だ。ひよのなら、本気でやる。

「……。それはともかくメロンを切るか」
「うん。こーすけ君お願い」

 少し、顔を引きつらせながら、浅月はメロンを切っていく。もしこいつがメロンで話を
変えなかったらどうなっていた事やら。
 そう思っているところに小さな声でラザフォードが俺を促し少し外に出て話さないかと
言ってきたので病室の外に出る。

「相変わらず、ヒヨノは賑やかだな」
「あいつが賑やかじゃないのは想像付かないさ」
「確かに。だが、意外とお前の知らない一面を持っているかもしれないぞ。ナルミ弟」
「……」

 確かにそうだな。ひよのはいつも笑顔だが……(時々悪魔の笑みもするが)意外と知ら
ない一面はあるだろうな。

「何にせよ、彼女を大事にしてやる事だな」
「いつから、気づいてた」
「ふっ……」

 ただ、微かに笑うだけでラザフォードは答えようとはしなかった。こいつとは今のとこ
ろ命のやり取りは発生していない。が、あまり油断は出来ないのが現実だな。

「それでは、また来ますね」
「うん」

 病室を出て、ようやく帰宅する事になる。竹内や浅月は俺がひよのと付き合うようにな
ったとは見抜いてはいないようだが、知ったらどんな反応をするのか。少しだが怖いもの
はある。

「ねぇ、アイズ君。弟さんと何を話していたの?」
「ナルミ弟がヒヨノと付き合っているみたいだからな。少しアドバイスをな」
「ああ、やっぱりそうなんだ〜」
「何ぃ、そうなのか?」
「こーすけ君、観察力足りないね」
「全くだ」

 酷い言われようだ。何で俺がここまでこの二人に言われなければならん。

「弟さん、とげが少し抜けて丸くなってたよね」
「そうだな。ヒヨノも笑顔がより明るくなってたな」

 二人して、色々と観察してやがる俺か俺だけなのかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。

 数日後、またひよのと共に理緒の見舞いに行く途中一人黄昏ている浅月がいたので一応
声をかけておく事にする。

「俺だけ……俺だけが何であんなに言われなきゃいけないんだ」

 事情は良くわからないし、あまり知りたいとも思わないが心の中で少しだけ同情してや
る事にした。生きろ、浅月。

後書き

 修正内容多いなこれ……。当時の自分の未熟さを思い知らされるorz