中編の番外編……なお、このシリーズ(?)の世界観に
関しては後書きにて(ぉ



「鳴海さん……」
「ひよの。どうした?」
「抱いて下さい。わたしを抱いて下さい」
「ちょっ、ちょっと待て。うわっ」
 突然の事に戸惑う歩を余所にベットへと押し倒すひよの。
その手はゆっくりと服にかけられ、脱がされて行く。
「ふふっ、鳴海さんの肌。嫉妬するくらい綺麗ですね……」
「そ、そんな事はない……」
「うふふっ、駄目ですよ。そんな事を言ったら」
「まさか、酔ってるのか?」
「そんな事ありませんよー。少しお酒飲ませてもらいましたけど」
「思いっきり酔ってるぞ。おい」
「酔ってませんよー。そんな事を言う人にはこうです」
 軽いキス。若干酒臭いのだが。そんな事を気にする間柄でもないので
半ばさも当然といわんばかりにキスを続ける。
「もう下のこんなに硬くしてますね」
「そ、それは……」
「くすっ。いつからこうなってました?」
「……」
「答えてくれないとしてあげませんよ」
「いや、別に答えなくても何時も最後までして……ぐぁっ」
 ひよのの手が下の物を少しきつめに握り締める。痛みで顔を顰めつつ
押し倒された時からだと結局白状させられる事になったようだ。
「くすっ、正直に答えてくれたから最後までしてあげますね……」
 そう言って服を全て脱ぎ去るひよの。白の下着も脱ぎ去り完全に全裸となる。
「綺麗だな」
「鳴海さん。今何か言いましたー?」
「何でもない……」
「くすっ。まだ見慣れてないんですか? 初めてした時から何度も見てるのに」
「そうだけどな」
 若干の照れ隠しにそっぽを向く歩。それを見てひよのは可愛いと言ってまたキスをした。
「鳴海さん……きてください」
「あっ、ああ……。いくぞ」
「はい」
 最大限愛撫をし、受け入れる体勢を整えて二人がしようとしている時……
どこからともなく声が聞こえてくる。
「歩……」
「ね、姉さん? 何処に居るんだ」
「歩!!」
 突如、視界が揺らぎ始める。そして……目の前に義姉のまどかの顔があった。
「……。やっと起きたわね」
「あれ、姉さん……となると、今のは夢か」
「歩。今日買い物に付き合ってくれる?」
「はっ!?」
「ちょうど駅前のデパートでバーゲンやってるのよ。今日は仕事休みだからちょうど
良いと思って。付き合ってくれるわよね……」
「いや、俺は先約が…」
「何か言った!?」
「だから、今日はひよのとデートのやくそ……」
「ふーん。じゃあ、あの事を清隆さんにばらしても良いんだ?」
「ちょっと待て……」
「私との買い物と結崎さんとのデート。どっちを優先する?」
「その前にその兄貴はどうした?」
「逃げられたのよ……。朝起きたらこんな書き置きしてとっとと出かけてるのよ」
 書き置きを見ると"事件が呼んでいる"と書かれている。絶対に嘘だ……そう思いながら
歩は軽い溜め息をつく。
「そういうわけで、付き合ってよね」
「はぁっ、分かった。ひよのに断りの電話を入れてくる……」
「結崎さんに私から謝ってたと伝えておいてね」
「分かったよ」
 自分の部屋から出てリビングにある電話へと向かい、かけ慣れた電話番号を打つ。
コール音が数回した後に聞きなれた声が歩の耳へと届いた。
「もしもし」
「はいはい。その声は歩さんですね。貴方の可愛い恋人のひよのちゃんですよーーーーー」
「あ、朝から元気だな……」
「そりゃもう。ひよのちゃんはいつだって元気ですよーーーー」
「実はな……」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ、そうなんですか……」
「悪い、この埋め合わせは必ずするから」
「良いですよ……鳴海さんは私よりもお姉さんの方が大事なんですね」
「あ、あのなぁ。そうじゃなくて」
「くすっ。分かってますよ。どうせあの日の事でも条件に付けられたんですよね?」
「良く分かるな」
 軽い溜め息。あの日の事とはつまり……
「仕方ありませんねぇ。いつもは鳴海さんを独占してますからたまにはお姉さんに
貸して上げましょう」
「俺は物か何かか?」
「例えですよ。例え。仕方ないので理緒さんと遊んでおきます」
「……。済まないな」
「仕方ありませんよ。じゃあ、また学校で」
「ああ」
 電話を切り、軽い溜め息……
「はぁ、よりによってあの日の夢を今日見るとはな……」
 先程見ていた夢。夢には若干の続きがある。ちょうどしようとしていた所にまどかが
帰ってきてそれを見られた。幸い(?)清隆はコンビニにジュースを買いに行っていたので
その場には居合わせなかったが。この日の一件のせいか、しばらく顔を合わせても口を
聞いてくれなかったりとか、何かとこうして脅されたりしている。
「さてと、それじゃそろそろ行きましょうか」
「もう好きにしてくれ……」
「今日はじゃんじゃん買い捲るわよ」
「ほどほどにしてくれ」
「さあ、行くわよ!!」
「き、聞いてない……」
 数時間後。デパート屋上のオープンカフェにてぐったりとして椅子に座っている歩と
満足気な顔をしているまどかの姿がある。
「つ、疲れた……」
「ふう。色々と買ったわね」
「どうしてこうも女の買い物は長いんだ……」
「何か言った?」
「何でもない」
 詳細を記すと長くなるので簡潔に書けばデパートに着くなり、洋服のバーゲンセールの
争いにまどかが突撃したり、用もないのに服を見まわったりと色々と付き合わされる始末。
最終的に歩自身も私服として何着か買ってもらった分、余り文句は言えない立場だが。
両手一杯の荷物を抱えさせられて激しく疲労しているようだ。
「さてと、もうしばらくここで休むとして……歩」
「何だい姉さん」
「結崎さんとは上手くいってるの?」
「振りまわされてる感じはあるけど。何とか」
「そう。なら良いわ。まぁ、流石にあれを見た時はびっくりしたけど」
「……」
「まぁ、最悪の場合。彼女を泣かすような事をしないなら何も言わないわ」
「姉さん……」
「ああ。そうそう。するのは良いけどきちんと避妊はしなさいよ」
「な、いきなり何を言い出すんだよ姉さん!!」
「ふふっ。まぁ、若いからする事は結構してるんでしょうけど。間違ってもそれだけは
駄目よ。私はまだおばさんなんて言われたくないわよ」
「……。その点だけはきちんと注意してるから安心しろよ」
「なら、良いわよ」
(間違っても理緒ともしたと言ったら殺されるな……これは)
「そういえば、竹内さん」
「彼女がどうかしたのか?」
「最近凄く幸せそうな顔をしてるけど、何か合ったか知らない?」
「い、いや知らないな……」
「そう。歩なら知ってると思ったけど。今度聞いてみようかしら」
(今度会ったら口止めしておこう。絶対にやばそうだし)
「さてと、それじゃ帰りましょうか」
「あ、ああ……」
「ふふっ、流石に清隆さんには何があっても言わないから安心しなさい」
「あの兄貴だからな……何でも見通してそうな気もするけど」
「そうかしら。意外と身内の事に関しては鈍感なものよ」
「どうなんだろうな」
「まっ、知ってても知らない振りをしてそうだけどね」
「……。だろうな」
 後日談として……理緒にはきちんと口止めはしておいたものの。結果として
ばれてしまうがまどかはとやかくは言わなかったようだ。この辺に関して
まどかが寛大なのかそれともあらかじめ見通していたのかは神のみぞ知る所である。



あとがき


とりあえず後編のネタに詰まったのでこんなものを即興で書いてます。
少しばかり構想とは違ってますが。まぁ、ほぼ思い通りのお話。

さて、一応このシリーズの世界観として……

ブレードチルドレン関係は全て解決済みの清隆もまどかの元に戻っていると言う事にしてます。
まぁ、それはそれで良いのですが。とりあえず、冒頭部分に関しては理緒との関係を持つ前の
出来事と言う事になってます(まぁ、読めば分かるよなぁ)
それ以外は特に書く事がないな。うん。

後編はネタに行き詰まってますが。とりあえず書く予定なのでよろしく。
では、また後編にて。