一応、本編でカノンとの接触後の部分的なお話。
香介と亮子のお話です。


 夕暮れの月臣学園のグラウンドで彼女"高町亮子"は一人黙々と練習をしていた。
「はぁ……」
「どうした溜め息をついて。お前らしくもない」
「耕介。いつの間に居たのさ」
「つい今だ。一緒に帰らないか」
「珍しいね。香介が一緒に帰ろうと言うなんて」
「たまにはこんな日もあるさ」
「分かったよ。じゃあ着替えるから少し待ってな」
「ああ」

 数十分後。日も落ち夜になった頃、二人は学園の正門を出て、話をしながら
道を歩いている。内容は基本的に取り留めのないことである。
「……。なぁ、亮子」
「何だい?」
「今日は家に来ないか。たまには一緒に飯でも食べようぜ」
「……。珍しいね。香介がそういう事を言うなんて」
「そうか?」
「ああ。最後に家に招かれたのは確か……」
 そう言って言葉を止める。嫌な過去を思い出す。最後に招かれたのは
彼がが"ブレードチルドレン"として初めて人を殺した時以来。
「……。悪い。やな事を思い出させたな」
「構わないよ。さて、たまには香介の手料理でもご馳走になるよ」
「あまり期待はするなよ」
「どうだかね。不味かったら承知はしないとだけ言っておくよ」
 近くのスーパーにて夕飯の材料を買い、帰宅すると早速料理を作り始める香介。
亮子は久々に来た為か、若干緊張しながら料理が出来上がるのを待っている。
「ほら、出来たぞ」
「偉くシンプルだね」
「当たり前だ。偉く凝って作れはしない」
「まぁ、美味しいから我慢して食べてやるよ」
「そうしてくれ」
 食事が終わった後……亮子は台所にて食器を洗っている。香介はその後ろ姿を
見ながら何やら深刻な顔をしていた。
「香介」
「何だ?」
「何やら深刻な顔をしてそうだね」
「……。分かるか?」
「まぁ、雰囲気というか香介から伝わってくる空気みたいなものがいつもと
 違うからね。何となく分かるよ」
「……。少し考え事をしてた」
「カノンについてかい?」
「ああ、そうだ」
 カノン……カノン・ヒルベルト。ブレードチルドレンでありハンターとして
数日前に来日し、仲間であるアイズ・ラザフォードを刺す事で事実上の宣戦布告をした男。
 少し前に警告を促しておいたが恐らくは聞き入れてはいないだろうと二人は思っている。
 普段はこうして何時もの様に振舞ってはいるが、恐怖を感じているのも事実なのである。
「……。相手がカノン以外なら多少は戦いやすいんだろうけどな」
「こうなった以上戦いは避けられない……ね」
「分かってる」
「……。あんたらしくないね。こうも不安に狩られるなんてね」
「仕方ないだろう。相手が相手だ」
「そうなんだけどね」
 亮子が食器を洗う手を止めて香介の方へと振り向こうとした瞬間。背後から抱きしめられる
感触。香介が何時の間にか移動して亮子を抱きしめていた。
「こ、香介……ちょっと」
「悪いけど、少しの間こうさせてくれ」
「分かったよ。少しの間って言うよりもあの時みたいにしちゃおうか?」
「なっ!?」
「今更照れる仲じゃないだろうに」
「まぁ、そうだが。嫌じゃないのか」
「香介だったら……良いよ」
 そう言って、香介の方へと顔を向ける亮子。その顔はいつもの勝気な顔ではなく
一人の年相応の少女の顔だった。
「亮子……」
「香介。んっ」
 最初に抱かれたのは香介が人を初めて殺した時だったと亮子は回想する。あの時も
今と同じように後ろから抱きしめられて、少し強引に押し倒された。
 拒もうと思えば拒めた。でも、彼女にはそれが出来なかった。幼馴染であり
兄であり、そして最も大切な人であった香介を拒む事は彼女には不可能だった。
「……。少しは落ちついたか」
「ああ。悪い亮子」
「謝る事なんてないさ。むしろ謝るのは失礼だよ」
「そうだったな」
 互いに好きとか愛しているなどとは言ったりはしない。お互いの気持ちを理解しているから。
運命はより過酷で困難な現実を突きつけるだろう。その先にあるもの救いなのか絶望なのかは
まだ分からない。幾多もの困難を越えた先に……せめて僅かでも神の祝福がある事。





後書き……

とまぁ、書いて見たさ。ああ、無理ですよとは言わない。
満足してもらえるかどうかは分からないが。
構想的に浮かんだので書いて見たり。ぼかしてますが二人ともきっちりと
やってますよ(何をとか言わないそこ)

この二人は書きにくいのは事実です。まぁ、色々とですが。
言葉遣いとか。特に亮子ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ。
お前だぁぁぁぁぁぁぁ(魂の叫び)
彼女だけは本当に難しい。なまじ男言葉なだけにねぇ。

日記で書いた歩×ひよひよはどうしたとか言わない。
こっちもきっちりと書きます(これは健全で)
これも健全といえば健全なんだがなぁ……
ぼかしているとは言え一応やってるので(ぉ
15禁にしておくか(まて)
あー、ちなみに。ぼかして書いたのは最初に思い浮かんだ時に
そうなったのでそうしてるだけです(手抜きではなく)
書いても良いのですがね。まぁ、中編もありますし(滝汗)
つーか、未だに中編の方で行き詰まってるのも事実ですよ。
ええ、泣きたい気分です。
では、今回はこれにて。

追記
分かるとは思いますが。序盤で亮子が溜め息をついているのは
カノンの事に関してです。以上(ぉ