一応このSSは49話のネタばれを若干含みます。
言うまでもありませんが、パラレル的展開だと
思ってください。多分50話では新章に向けての
閑話的話だとは思いたいのですが念の為。



 警察病院。カノンとの戦いでの傷の治療の為、歩はそこに居た。
「もう、大丈夫でしょう」
「そうですか。ありがとうございます」
「いえいえ、我々は治療をしただけですから。出来れば怪我をしないのが一番ですけどね。
それではお大事に」
 初老の医師による診察が終わり、歩は治療費を払うと病院を後にする。
 月臣学園での戦いから少しの時間が流れた。カノンは警察には捕まったが警察に圧力がかかり
事情聴取される事なく今現在は拘留されている程度に留まっている。これに関してはウォッチャー
もしくは、清隆の力によるものだと戦いに関わった全員が判断している。
 なお、アイズは再び元に居た病院に入院中。他のメンバーも現在治療中である。中でも重症
だったのが浅月と亮子で歩がさっきまで居た警察病院に入院している。理緒も入院したが現在は
通院している。まどかは一週間ほど入院兼謹慎を食らったが、結局職場に復帰している。
やはり、これも清隆辺りが根回ししたのだろうと思うとまどかは少々複雑な顔をしていた。
 さて、何故警察病院かと言うと、普通の怪我ならそこら辺の病院で済むのだが、仮にも銃や
爆弾などでの怪我である。こればかりは警察関連、もしくはそれ相応の所でしか治療をする訳にも
いかず、渋々ここで治療を受けている状態である。
 歩は、二人の見舞いにでも行けば良かったかと思ったが、特に今は用件はないしまた嫌でも顔を
合わせる事になると思い行かない事にしたのである。
 とりあえず、家に戻ろうかと思った時、背後から聞き慣れた声がした。 
「鳴海さーーん」
「……。あんたか」
 後ろからおさげの少女結崎 ひよのが駆け寄ってくる。彼女も同じく病院にて
手首の傷の診察を受けていたのだがどうやら終わったらしい。
「もう、待ってて下さいって言ったじゃないですが」
「そうだったかな……」
「まぁ良いですけど。どうだったんですか?」
「もうほとんど大丈夫らしい。痛みはもうしばらく続くらしいけどな」
「そうですか。どちらにしても良かったです」
「そういうあんたの方はどうだったんだ?」
「今日は抜糸しましたよ。かなり痛かったですけど自分で傷を付ける時よりはマシでしたね」
「……。もう二度とそんな無茶をしないでくれると助かるけどな」
「ひょっとして心配してくれてます?」
「当たり前だ。あんたは女なんだ。傷でも残ったらどうするつもりなんだ!?」
「んー、そうですねぇ。そこまでは考えてませんでした」
「あ、あんたなぁ……」
「でも、これぐらいしないとあの時は足止め出来ませんでしたよ」
「確かにな。あの時のカノンを止めるにはそれぐらいしないと駄目だっただろう」
「ええ、そうですね」
「だけど、もう二度とそんな事はしないで欲しい」
「そうですね。私も痛いのはあまり好きじゃないですし。他ならぬ鳴海さんの頼みですから
 きちんと聞いてあげます」
「……」
 いかにも反省してないと言った口調でひよのは答え、歩は更に言葉を続けようとするが
呆れたのか言葉を止める。ふと、空を見上げると今にも雨が降りそうな空模様である。
「……。雨が降りそうですね」
「そうだな」
「そういえば、時期外れの台風も来るとニュースで言ってましたから、さしずめ今は嵐の前の
 静けさなのかも……」
 そう、ひよのが言った途端、大粒の雨が降り始める。
「降り始めたな……」
「落ちついて言ってる場合じゃありませんよ。何処かで雨宿りしないと」
「台風が来ると言ってたんだろ。なら、少し走るぞ」
「えっ?」
「下手に雨宿りして帰れなくなるくらいならうちまで来た方が早い」
「あっ、そうですね」
 幸か不幸か、警察病院から歩の住んでいるマンションそんなには離れていない。
これも清隆がある程度想定した事なのだろうかとふと思ったがこの際気にしない事にする。
「はぁ……つ、着いたな」
「え、ええ……」
 家に帰る途中で一気に雨と風が強くなり全身びしょ濡れになりながらも何とか家に着くと
二人は同時に座り込む。息を整えると、歩は立ち上がり。
「……。先にシャワー浴びてくれ」
「えっ、でも……」
「濡れたままだと風邪をひく。それに、あんたの家はここから遠いんだろ」
「え、ええ。そうですけどね」
「それに、その格好のまま居られても困るしな」
「あっ……で、ではシャワー借りますね」
「ちょっと待ってろ」
 そう言って靴を脱ぎ、歩は奥の部屋へと向かう。少ししてひよのの元に来た時には
その手にはタオルが三枚ほど握られていた。
「ほら、タオルだ。とりあえずこっちで髪とか拭くと良い」
 そう言って二枚のタオルをひよのに手渡す。
「ありがとうございます」
「それと……服だけどな」
「はい」
「まぁ、シャワー浴びる前に乾燥機にでも入れておけば良い。とりあえず乾かす」
「分かりました」
「まぁ、後は分からなかったら言ってくれ」
「はい。では、お借りします」
 ひよのが風呂場の方へと消えると歩は残りの一枚で自分の髪を拭きつつ台所へと向かう。
「さて……この際インスタントだが仕方ない」
 そう言ってコーンスープの元を戸棚から取り出し、やかんに火をかける。
「雨が余計に強くなってきたな」
 窓から外を見ると、雨足は余計に強くなり風もかなり強くなっているようだ。
「姉さん、仕事行ってるけど多分帰れそうもないな……」
 それは同時にひよのもここから帰れない事を意味するのだが、そこまで頭は回らないらしい。
 とりあえずテレビをつけ、台風情報を見る。幸いにして直撃ではないものの一晩中雨と風に
悩まされる事になるようだ。
「はぁ、となると姉さんは帰って来れないな」
 と、呟いた時、電話のベルが鳴り響く。電話に出ると姉のまどかからであり今日は職場に
泊まるらしい。やはりかと思いつつ、相槌を打つ歩。電話が終わり、やかんを見ると沸騰して
いるので火を止めてコーンスープを作るためにカップに湯を注ぐ。
「さて、となるとあいつは今日はここに泊まる羽目になるのか」
「そうなりますねぇ」
 背後から突然のひよのの声。振り向くとそこにはバスタオル一枚のひよのの姿があった。
「あ、あんた。何て格好をしてるんだ!!」
「仕方ないじゃないですか。まだ服も下着も乾いてないんですから」
 さも当然のように言い返すひよの。顔を真っ赤にしながら歩は目を逸らしつつ……
「はぁ、とりあえず俺のパジャマだが渡してやるからそれを着ておけ」
「下着はどうしましょう」
「くっ……と、とりあえず我慢してくれ」
「仕方ありませんねぇ」
 まどかの下着をつけさせると言う手も無きにあらずだが、勝手に弄っては当然烈火の如く
怒られるのは歩である。この際我慢してもらうしかないと判断したのだろう。足早に自分の
部屋へと向かい、パジャマを取り出すとひよのに渡す。
「あ、ありがとうございます……」
 パジャマを受け取ろうとしててを伸ばした瞬間……
「き、きゃぁぁぁぁぁぁ」
「なっ!?」
 突然、バスタオルがはだけひよのの全裸があらわになる。一瞬固まるひよのと歩。
しかし、次の瞬間……
「な、鳴海さんの……」
「ち、ちょっと待て!! 俺のせいではないだろう!!」
「えっちぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」
「おい、まて。人の話を。ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
 パチンと乾いた音が部屋中に響き渡った事は言うまでもあるまい……
「はぁ、ごめんなさい……痛かったですよね」
「ああ」
「うう、ごめんなさい。鳴海さんのせいじゃなかったのに。つい」
「まぁ、気にするな。あんたの気持ちも分からない事はない」
「でも……」
「良いから」
「……。分かりました」
 不可抗力とはいえ歩は生まれたままの姿を見てしまったのである。責任は自分にあると
思っているので、ひよのの行動は当然のものと考えている。ひよのはひよので、手をあげて
しまった事を多少後悔しているようだが、過ぎてしまった事である。後は……
「そ、その……鳴海さん」
「何だ?」
「見ましたよね……」
「……。ああ」
「正直ですね」
「嘘を付いたらまた殴られそうだからな」
「えっと……どうでした?」
「とても綺麗だったって何を言わせるんだ」
「そ、そうですか。あ、ありがとうございます」
「……」
 どう返答を切り返して良いか分からず沈黙する歩む。互いに顔を赤くしながら何処となく
視線を宙にさ迷わせている。第三者から見たら何をしているのかと問い質される事だろう。
「と、とりあえずそれでも飲んでおけ……俺はシャワー浴びてくるからな」
「は、はい。行ってらっしゃい」
 顔を真っ赤にしながら浴室へと向かう歩。溜め息をつきふと鏡に写った自分の顔を見る。
「ったく……何をしているんだ俺は」
 シャワーを浴び、浴室から出るとひよのはリビングでテレビの天気予報を見ていた。
「あ、鳴海さん。台風は今夜直撃だそうですよ」
「そうか。でも、明日の朝には抜けるんだろ?」
「そうですね。そう言ってます」
「まぁ、でも学校は休みだからな……関係はないか」
「そうですねぇ。カノンさんとの戦い以来、まだ復旧してませんからねぇ」
 カノンとの戦い以降、月臣学園は休校状態にある。正直に言えば、いつでも再開しても
問題はないのだが、何やら圧力がかかってるとはひよのの調査の結果である。
「多分、ウォッチャー辺りでしょうけどね。詳しくは分かってないですよ」
「何にしてもありがたい事だとは思うけどな。堂々と休める」
「鳴海さん。駄目ですよ。学生は学業が本分なんですから」
「……。まぁ、学業以外の事に散々巻き込まれているからな。俺もあんたも」
「そうですね。そう言われればそうなんですよね」
「なぁ。前から一つ聞いておきたかったんだが」
「何ですか?」
「何であんたはいつも俺の側に居てくれるんだ?」
「……」
 一瞬の沈黙がリビングを支配する。聞くべきではなかったと一瞬後悔し
「答えなくて良い。忘れてくれ
「うーん。答えられない事もないんですけどね」
 っと、その時……突如、電気が消えた。
「きゃあっ」
「停電か」
「そ、そうみたいですね」
「なぁ、あんたもしかして」
「うう、暗い所はあまり好きじゃないんですよ……」
「ははっ、あんたにも意外な弱点があったんだな」
「笑わないで下さいよ。鳴海さんだって蜂が弱点じゃないですか」
「そ、それは言うな……」
 多少目が慣れてきてひよのの方をふと見るとその身体は恐怖の為か少し震えている。
 歩がひよのの肩へと手をやると少しびくんとしたが震えは止まっていく。
「な、鳴海さん?」
「こうして、側に居てやるから怖がることはない。安心しろ」
「うふふ、そう言う台詞を言ってるといつもの鳴海さんじゃないみたいですね」
「そうか?」
「はい。いつもは無愛想でぶっきらぼうで、お兄さんといつも自分を比較して」
「おい」
「でも、本当は誰よりも優しくて、いざとなったらその知恵で道を切り開く事を
私は知ってますけどね」
「……」
「どうしました?」
「何でもない」
 そう言ってそっぽを向く歩。その顔は少し赤くなり照れているのが分かる。
「ふふ、照れてますね」
「ああ」
 いつもなら黙殺するのだが、今日はどうもそんな気になれないようで歩は肯定すると
またそっぽを向く。
「鳴海さん」
「何だ?」
「そろそろ寝ましょうか。この調子だと今日は復旧するかどうか怪しいですし」
「そうだな。じゃあ、あんたは姉さんの部屋のベッドをを使ってくれ」
「はい、分かりました」
「姉さんの部屋の場所は分かるか?」
「あ、案内してもらえると嬉しい」
「暗いからな……」
「はい」
「じゃあ、こっちだ……って、おい」
 良く見ると、ひよのは地面に座ったまま歩の腰に手をやっている。
「まさか……」
「停電した時に腰が抜けたんですね。多分ですけど」
「それ意外に考えられないだろ。仕方ない」
「えっ、きゃっ!?」
 腰に手を回し、族に言う"お姫様抱っこ"の形で持ち上げる歩。顔を真っ赤にしながら
ひよのは"ある事"を尋ねる。
「私、重くないですか?」
「重くない。むしろ軽いぞ」
「そ、そうですか」
「さて、姉さんの部屋まで連れて行くか」
「あ、あの!! 鳴海さん」
「な、何だ」
「出来れば一緒に寝てくれません?」
「ちょ、ちょっと待て!! どうしてそうなる?」
「一人で寝てもつまらないじゃないですか」
「あのなぁ。あんたはいつも家族の誰かと一緒に寝てもらってるのか?」
「そうじゃないですけどね。こんな事滅多にないんですし。良いじゃないですか」
「あのなぁ。俺は男であんたは女だ。何かあったらどうするつもりだ?」
「その時は……そうですねぇ。きちんと責任は取ってもらいますよ」
 真顔できっぱりと言うひよの。歩は一瞬何かを言おうとして諦めた。
「はぁ、何を言っても無駄だろうしな。分かったよ、一緒に寝る」
「本当ですか? ありがとうございます」
「はぁ……何を言っても一緒に寝ると言うだろうからな。なら、その方が早い」
「ふふっ、そうですね」
 自分の部屋へとひよのを抱えたまま入り、ベッドへとひよのを横たえる。
 ここで逃げ出したい気分に陥るが、逃げるわけにも行かずひよのが開けたスペースへと
身体を入りこませると、反対の方を向いて顔を見ないようにする。
「鳴海さん。さっき聞きましたよね。何でいつも側に居てくれるのかって」
「ああ」
「その答えは言わなくても分かってると思うんですけどね」
「くっ……」
 そう、分かっている。危険な目に合いながらも常に側に居てくれる彼女の気持ちには
気づいていた。しかし、あえてそこから目を背け続けていた。自分も同じ気持ちだという事に
いつしか気づいたから。言えばどうなるかは想像した事はない。
 ただ、これから先より危険な事に巻きこまれて行く事を考えれば、彼女を突き放した方が
良いと思う事はしばしばある。
「鳴海さん。こっち向いてくれますか」
「嫌だって言ったら?」
「そうですね。強硬手段を取ります」
「分かった」
 仕方なく身体を向けると目の前にひよのの顔があった。一瞬、目が合い少し逸らす。
「鳴海さん、私は鳴海さんの事が好きですよ……」
「ああ」
「鳴海さんは私の事をどう想ってくれてるんですか?」
「それは……」
「鳴海さんがこれ以上、私を危険に晒したくないのは分かってますけど、それでも、どうしても
側に居たいって言ったら怒りますか?」
「怒る。けどな……どうしてもと言われたら無理だな。あんたの方が強いし」
「そんな事はありませんよ?」
「実際に俺の腹殴っただろうが……」
「あれは鳴海さんがあまりにもだらしないからです」
「……。はぁ」
「何ですか、その溜め息は」
「好きだ」
 突然の告白。ひよのは大きく目を見開き、一瞬固まり、そして突然泣き出してしまった。
「お、おい……何も泣く事は」
「だって……嬉しくて涙が止まらないんですよ」
「ああ、もう泣くな」
「鳴海さん」
「その潤んだ目でこっちを見るのも止めろ」
 そう言ってひよのの頭を自分の胸に抱き寄せて目を合わせないようにしつつ頭を撫でる歩。
「くすっ、鳴海さんの心臓の音早くなってますよ」
「仕方ないだろ。こんな事するの初めてなんだからな」
「そうですか。私が鳴海さんの初めてなんですね」
「紛らわしい事を言うな……」
「鳴海さん」
「何だ」
「抱いてくれませんか?」
 ふと、ひよのの髪を撫でていた歩の手が止まる。
「いきなり何を言い出す」
「鳴海さんが私の事を好きでいてくれて、私も鳴海さんの事が好きだから言うんですよ」
「だからって、物事には順序があると思うが」
「あら、意外ですねぇ。鳴海さんがそういう事を気にしてるなんて」
「あのなぁ。両想いになったその日にいきなり抱いてくれと言われて抱く奴がいると思うか?」
「世の中広いから居ると思いますけど。鳴海さんは嫌ですか?」
「嫌じゃないが、あんたはそれでも良いのか?」
「ふふっ、嫌だったらこんな事は言いませんよ」
「それはそうだが」
 そう言って歩は溜め息をつく。そんな歩にひよのは言葉を続ける。
「もし、この先一度も抱いてもらう事無く死ぬような事があったら私は死に切れませんよ」
「……。馬鹿な事を言うな。あんたは俺が守る。だからそんな事は言わないでくれ」
「じゃあ、抱いてくれませんか?」
「何でそうなる」
「抱いてくれたらそんな事は言いませんよ」
「……。卑怯だな」
「鳴海さんの事が好きだからですよ」
 少しの間沈黙が二人の間を支配して……どちらからともなく顔を寄せていきキスを交わした。
「何というか、緊張するな」
「私もですよ……」
 歩が上となり、戦いの時とは少し違った真剣な表情でひよのが着ている自分のパジャマの上着の
ボタンを外している。普段自分が着ているパジャマのはずだが、緊張している為かいつもと違って
見える。ひよのも緊張した面持ちではあるが、今はじっとして歩が脱がしてくれるのを待っている。
「やっぱり綺麗だな」
「ありがとうございます」
 上着を取った時、真っ先に視界に飛びこんだのは形の良い胸だった。不慮の事故(?)の時にも
少し見たが、改めて見ると結構大きい胸だなと認識する。
「触って良いですよ」

「あ、ああ……」
 そう言われて、歩はひよのの胸に手を伸ばす。最初はゆっくりと緊張しているせいか手に汗が
浮かんでくる。
「んっ、はあっ、鳴海さん……もう少し強く触っても大丈夫ですよ。あまり力を入れられると
痛いですけどもう少しなら大丈夫ですから」
「ああ……」
 最初は遠慮がちに触っていた歩だが、ひよのにそう言われて少しずつだが強く大胆に触り出す。
最初は胸の周りを徐々に乳首へと触れて行く。
「んんっ、鳴海さん……私、乳首弱いですからあまり触らないで下さいね……ああっ」
 そう言われて触らない男が何処にいると思いつつ、歩は目標を乳首に定めて触って行く。
ひよのの口から喘ぎ声が漏れる度に興奮する自分に気付き、もっと感じて欲しいと想いが
強くなっていく。
「な、鳴海さん……んんっ」
 抗議しようとするひよのの唇をキスで塞ぐと、再び乳首を弄り始める。最初はどうにかして
乳首に触れている手を引き離そうとしていた徐々にその抵抗は弱くなっていく。
 やがて、諦めたのかされるがままになっていた。
「鳴海さん、酷いですよ……」
「悪い、でも気持ち良くなって欲しかったからな」
「嬉しいですけど、少し複雑な気分です。んんっ……」
 歩の口がひよのの首筋へと向かい舌で舐め始める。少し汗でしょっぱかったが気にせずに
舐め続ける。時折、吸いついてキスマークをつけつつ、徐々に胸の方へと向かっていき、
つい今まで手で刺激していた乳首へと辿り着いた。
「はぁ……はぁ……鳴海さん。もしかして」
「舐める」
「ふぁっ、んんっ」
 駄目と言われて止める性格でもない。乳首を舌で思う存分舐め始める。
「駄目、駄目ぇ……」
「こんなに硬くしておいて説得力がない」
「そ、それは鳴海さんが……ああっ」
 今度は口に含んで軽く歯を立てて甘噛みをしつつ時折、舌で舐めたり、唇に含んで吸い上げる。
「はぁ、はぁ……鳴海さん。もう駄目ぇ……わたし、わたしぃ……」
「こっちはどうなってるんだろうな」
 そう言って歩はパジャマのズボンの方へと手をかける。
「だ、駄目です。そっちは見ないで……ああっ」
 見られまいとひよのは軽い抵抗をするが、あえなく歩の手はズボンを引きずり下ろした。
そこには下着はなくただ、彼女の女の部分を隠す茂みが見えていた。
「……。履いてなかったのか」
「だって……どうせならこの方が良いかなと思ったんですけど、やっぱり恥ずかしくて……」
「で、ある程度経ったら自分で脱いで、一緒にパンツも脱いだ事にしておきたかったと」
「は、はい……きゃっ」
「濡れてるな」
「い、言わないで下さい」
 歩の手がひよののそこに手を触れると、外部から分かる程度には濡れていた。
 なぁ……もっと良く見たいって言ったら怒るか?」
「は、恥ずかしいですけど鳴海さんがそうおっしゃるなら良いですよ」
 そう言ってひよのは身を起こすと、四つん這いの姿勢になってお尻を突き出す。
「いや、そこまでしなくても良かったと思うんだがな……」
 一人そう呟きながら歩はお尻に手をかけて、その部分へと顔を寄せて行くと目の前にはひよのの
その部分があった。
「はぁ……あ、あんまりじろじろと見ないで下さいね」
「……」
「鳴海さん?」
 返事がないのを気にしてか、ひよのが首だけ後ろに向けようとした時。歩の指がその部分を
少しだけ広げた。
「そ、そこは広げて見ちゃだ……はぁっ」
「あんたの、いや。ひよのの全てが見たいから少しだけ我慢してくれ」
「こういう時に初めて名前で呼ばれて嬉しいですけど複雑ですよ」
「すまん」
 そう言いながら、歩はその部分を指で広げて見ていたかと思うと、舌を出して舐め始める。
「歩さん、そこきたな……」
「きちんと洗ったんだろう?」
「そ、そうですけど」
「それに、ひよのに汚い部分なんてない」
「で、でも舐めちゃ……ひゃぁっ」
 お尻が跳ねあがり、前へと逃れようとするが歩の手がそれを食い止める。最初はただ舐める
だけだったが、徐々に奥へと舌を差し込んで行く。
「な、鳴海さんの舌が奥まで入って……ふぁん、はぁっ、だめぇ。奥まで舐めちゃ。ああん」
 弱々しい拒絶の言葉。それらを無視して歩はその部分を舐め続ける。ただ舐めるだけでなく
音を立てて愛液を吸ったり、舌先を丸めてピストン運動のように突き入れたりもする。
「鳴海さん、もう私……いく、いく、いっちゃ、ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」
 ひよのの身体が大きく痙攣したかと思うと、一気に腰を落としてベッドへと座り込んだ。
「はぁ……はぁ……鳴海さん。酷いですよ」
「悪い。ひよのが可愛かったからな。つい」
「そう言われると怒る気力も無くなりますけどね」
「ひよの……俺もう」
「くすっ。もうそんなに硬くなってるんですね」
 パジャマのズボン越しでも分かるくらいに歩のそれは大きく硬くなっているのが暗闇に慣れ
切ったひよのの視界に入る。
「ふふ、私が脱がして上げましょうか?」
「いや、脱ぐよ」
 そう言って歩は自分の手でズボンを引きずり落とすし、トランクスも脱ぐ。
「これで同じ格好ですね……」
「ああ」
 二人とも生まれたままの姿となり、ベッドの上で重なり合う。歩が上となり自分の物をその
部分へと押し当てる。
「鳴海さん……私初めてですらか優しくしてくださいね」
「ああ」
「まぁ、結構過激にしてましたけど、鳴海さんなりに気を使ってくれたんですよね」
「初めての時は痛いと聞くからな……気持ち良くしようと思ったんだがやりすぎた。ごめん」
「良いんですよ。何となく分かってましたから。でも、今度手作り料理を食べさせてください」
「分かった。約束する」
「はい……ありがとうございます」
「じゃあ、いくぞ。辛かったら背中に手を回して抱き着いてろ」
「はい」
 その言葉の直後、歩はひよののその部分へと自分の物を入れ始める。ひよのは声も出さず
言われたとおり、背中に手を回して抱き着きそれに耐える。
「くっ……」
 漠然とした痛みが歩自身を襲う。ひよののその部分が未熟ではない。ただ、初めての故に
受け入れようにもなかなか受け入れられないのだろうと思いつつ、ゆっくりと押し進めていく。
 徐々に入っていく度にひよのは声を殺しつつも、やはり痛いのか背中へと爪を立てていく。
その痛みに耐えつつ半分まで進んだところで何かにぶち当たる感触がした。
「ひよの、もう少しだけ我慢してくれ」
「は、はい……」
 恐らく処女膜だろう。そう思いながら歩はその部分をぶちっという感触と共に突き破った。
「……。っっっっっっっ」
 ひよのは声を殺し必死に我慢しながら抱きついている。背中の方への爪を立てているので
歩自身も痛みを感じているがひよのの痛みはこんなものではないはずだと思いそれに耐える。
 少しして、痛みが少し引いたのか少し抱きつく力が弱まった。
「鳴海さん。私達一つになったんですよねもう大丈夫ですよ」
「ああ……」
 そう言って歩はひよのにキスをする。ふと、ひよのの瞳のふちに涙が見えたのでそれらも
拭ってやる。ひよのは少し恥ずかしそうにしながらされるがままになっていた。
「もう大丈夫ですから動いて良いですよ」
「本当に大丈夫なんだろうな」
「くすっ。痛みはもう大分引きましたし。もし辛かったら言います」
「分かった。だけどゆっくりと動く」
「はい」
 ひよのに言った通り、ゆっくりと腰を動かし始める歩。最初はどことなくぎこちない
動きだったが、徐々に慣れてきたのかそれらしい動きに変わって行く。
「んっ、はぁ……鳴海さん。気持ち良いですよ」
「そうか。なら、もっとな」
「はい。もっと動いてください。んぁぁっ」
 歩はその言葉を聞いて少し興奮し、リズミカルに動き始める。激しくなる歩の動きに
ひよのも徐々にだが合わせて腰を動かし始めてきた。
「ひ、ひよの……腰を動かされると」
「ふふっ、私だけじゃなくて鳴海さんにも気持ち良くなって欲しいから。ああっ」
「だけどな、そう動かれると……出そうなんだが」
「くすっ。大丈夫ですよ。私ももういきそっ……ああっ、ふぁぁっ」
「そうじゃなくて、このまま出すと」
「今日は大丈夫ですから。それに出来たら……」
「その時はきちんと責任は取るさ。くっ、出るっ」
「私もいくっ。んっ、ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」
 共に絶頂を迎える二人。歩の精液がひよのの中へと注ぎ込まれた。
「はぁ……はぁ……熱いのが私の中に入って来てる」
 それから少しして……
「はあっ、疲れたな……」
 あの後、後始末をして共にシャワーを浴びて今は二人でベッドで横になっている。
お互いに残った体力がほとんどないせいか、半分眠りに近い状態になっている。
「もう、さっきまでの雰囲気とムードぶち壊しの一言ですよ。それ」
「悪い」
「それはそうと。首に何個かキスマークつけてくれましたね……」
「嫌だったか?」
「嫌じゃないですけど、鳴海さんは平気なんですか?」
「何がだ?」
「見られたら色々と問い詰められますよ。私は別に恥ずかしくないからきちんと答えますけど」
「おい……」
「くすっ。どうします?」
「そうだな……」
 そう言ってひよのを抱き寄せる。
「きゃっ」
「ひよのは俺の恋人だってその時はきちんと言ってやるよ」
 そう言って軽くキスをする。
「あ、ありがとうございます。ところで、鳴海さん……」
「何だ?」
「これから先、何があっても大丈夫ですよね?」
 一瞬、答えに戸惑う。これから先の戦い。恐らく無事と言い切れはしない。だが、ひよのと
一緒なら何とかなる。そんな気もしないわけではない。
「当たり前だ……何があっても……」
 続きを言おうとしてふとひよのの方を見るともうすでに眠っていた。
「寝たのか。まぁ、仕方が無いか」
 そう呟いて、自らも寝るために目を瞑る。
「何があっても必ず大丈夫だ。ひよのが俺を信じてくれるなら絶対に」
 そう呟いて、これから先の運命に思いを馳せつつ眠りについたのであった。














後書きぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ





長っ(ぉ 疲れた……何がってHシーンは本気で入れるかどうか迷ったし。
話の内容と会話内容と。あれこれ全部疲れた(ぉ
Hシーンに関しては結局いれましたけど。まだまだ力不足だなぁと
思うこの頃。こうぱぱっと書ければ苦労しないのですが。
元々あまり濃く書かないので仕方が無いかと思う限り。
別にエロ小説家目指しているわけではないので。
とまぁ、本編の内容に関して少々。
まっ、色々と単行本待ちの方々には辛いネタばれが多少ありますな。
腹殴られたとかカノンの決着関係とか(ぉ
まぁ、小出しですが。若干のネタばれありですな。
そこら辺は目を瞑ってくれるとありがたいです。非常に。
さて、ここまでにしておきますか。
偉い疲れた……誤字脱字のチェックしてから更新予定。
とりあえずガンガンが出る前に書けて何よりかな。
では、これにて。
 なお、修正と追記したので個所だけ上げれば。修正場所は良いね。
一箇所だけだったし。追記場所は中に出した時の後の台詞とか(ぉ
キスマークに関して少々。
 これ書き終えたのが夜中の午前4時で半分寝ぼけてた頭なので
書き忘れたのが少々あった模様……。
 まぁ、以後気をつけよう。>