ふう。とりあえず、ネタが浮かんだからには書く
最近はこれがモットーです(更新が早い理由)
それはともかく。お話へ


朝…か


ゆっくりと目を開ける
隣にはひよのが気持ちよさそうに眠っている
さてと、飯でも作るか…


ひよのを起こさないようにベットを抜け出そうとするが
うまく行かない…。良く見るとひよのの手がパジャマの裾を
握っていた。何とか手をはずし、台所に向かう



「ああ姉さん。おかえり」
「ただいま、歩」



視界に姉のまどかを確認… どうやら、つい今しがた帰ってきたようだ
テーブルの上に念のために置いておいた食べ物を温めて食べている



「どうやら、徹夜だったようだな」
「まあね。最近はまた事件も多いし。 それに…」
「分かってる。でも、無理はするなよ」
「ええ、分かってるわ」



姉さんが兄貴を今も仕事の合間を縫っては探しているのは知っている
だが、最近は事件も多いようで。それに多くの時間を割いているようだ


「とりあえず、寝るわ。ひよのちゃんによろしくね」
「ああ、お休み」
「お休み…」


ふらふらした足取りでいつものように部屋に入っていく
こうなるとしばらくは起きないだろう。
さて、朝ご飯を作るか…


「おはようございます」
「起きたのか。もう少し寝てても良かったのに」
「ひよのちゃんは基本的に早起きですから」
「そうだったな…」


後ろを振り向いてひよのの顔を見る
どことなくまだ眠たそうだが…まぁ、本人はいつも早起きをしているらしく
眠くてもそのうち完全に目が覚めるらしいので顔を洗う事を勧めておいた



「はぁ、これで完全に目が覚ましたよ」
「座ってろ。もうすぐ朝飯が出来る」
「はい♪」


ひよのが朝はご飯とみそ汁が良いと言うので泊まりに来た日は
リクエスト通りにしている。ふむ。まずまずの出来だな…


「まずまずの美味しさですね」
「……」
「どうしましたか? 机に突っ伏して」
「何でも無い…」


ふう。俺はみそ汁に関してはまだまだと言う事か
他の料理ならどうにかできるが…
みそ汁に関しては奥が深い。と言うかひよのの評価が厳しいのかと
思っていたりもする


「みそ汁は奥が深いですからねぇ。しっかり研究してくださいね」
「そうする」


とりあえず、目の前の朝食をさっさと食べる事に専念する



「鳴海さん、今日はどうしますか?」
「そうだな…特に用事は無いからあまり考えてなかった」
「むう…じゃあ、私に付き合ってくれませんか?」
「まぁ、良いけど。買い物か?」
「いえ、海に行きたいんですよ」
「今、秋だぞ…」
「泳ぐとは行ってませんよ。海を見に行きたいんですよ」
「ああ、そう言う事か。まぁ、構わないが」
「じゃあ、さっそく行きましょう」
「洗い物を済ませてからな」
「それじゃ、手伝いますよ」
「ああ…」



数十分後…


一緒に電車に乗り目的地へと向かっている
良い天気だな…


「鳴海さん、そろそろ目的地に着きますよ」
「ああ、じゃあ降りる準備をするか」
「はい」


目的地…ここに来たのは多分初めてだな
自分にとっては知らない地。ひよのは来た事があるらしいが


「昔、両親に連れてきてもらったんですよ。それからはずっと
 ここの海がお気に入りなんです」
「へえ…」
「一応、自然保護地域ですから。夏でもあまり泳いだりする事は出来ませんけど
 その代わり、綺麗ですよ」
「楽しみだな…」



駅から歩いて10分程度…
そこに海があった。 さわやかな青
そういう表現が似合う海だった



「1年に1度ここに来てただ海を眺めてるんですよ」
「確かに…これだと、眺めていても飽きないな」
「はい♪」


俺とひよのはただ言葉を交わすことなくその風景を眺めていた
果てしなく続く海。昔、これと似たような風景を見た気がする
あれは、確か…兄貴が珍しく俺を連れ出した時だ


「どうした? 歩」
「いや、こんなところがあったんだなって驚いてる」
「俺も最初来て見た時は驚いたよ。まだこんな場所があったんだなって」
「兄貴でも驚く事はあったんだな」
「失礼な。これでもちゃんとした人間だ。驚く事もある」
「とても想像できないけどな…」
「ふふっ。まぁ、仕方ない。確かにそうだろうな」
「……」


それ以降は会話はなかった。今と同じように
ただ黙って海を眺めていた
最後の最後で沈黙を破ったのは兄貴だった


「歩… 俺に勝てないのは辛いか?」
「別に…」


嘘だ…辛い。どうやっても兄貴には俺は勝てない
それはあまりにも大きなプレッシャーになりどうしようもなく
惨めにさせられる…


「そうか。恐らくお前は一生俺には勝てないだろう」
「なっ!?」
「だが、もしかしたらお前は俺が行けなかった場所に立つ事が出来るかもしれないな」
「どういう意味だよ?」
「いずれ分かるさ」
「……」
「さて、帰るか」
「ああ…」


兄貴は俺は絶対に自分には勝てないとはっきりと言い切った
だが、最後の言葉だけは今でも印象に残っている
兄貴が立てなかった場所、何の事なんだろうな…


「…みさん。…るみさん。 鳴海さん!」
「っと、どうした? ひよの」
「さっきから呼んでるのに全然反応しないからびっくりしましたよ」
「ああ、すまない。昔の事を思い出してた」
「昔の事?」
「ああ、兄貴に似たようなところに連れていってもらった時の記憶さ」
「お兄さんに?」
「兄貴が姉さんと結婚する前の最後の思い出だな。確か」
「そうですか」



確か、姉さんと兄貴が結婚してからも一度連れられて来た事がある
あの時は正直辛かったけど。初恋の人が兄貴と結婚してしばらく
精神的にやばかったし…。正直、二人があまりにも眩しく見えて


「鳴海さん… 悲しい出来事を思い出したんですか?」
「良く分かるな」
「はい、鳴海さんの事ですから。ひよのちゃんにわからない事は無いですよ」
「そっか。 だけど、俺はひよのに関してはまだまだ知らない事が多いな」
「これから、少しずつ知っていけば良いんですよ」
「そうだな。ひよのの言うとおりだな」
「はい♪」


多少、憂鬱感は晴れたが。やはり精神的にはまだ辛い…
そんな俺をみかねてかひよのは何かをしようとしている


「鳴海さん♪ んっ…」
「んっ!?」


ひよのからの不意打ちのキス…
いつもは自分がそういう事をするだけに驚かされる
どちらからともなく唇を離す


「私の前でそんな悲しそうな顔をされるのは嫌ですよ」
「すまない…」
「私じゃ力になれませんか? 私は鳴海さんの力にずっとなっていきたいです」
「そんな事は無い…」
「じゃあ、話してください。どうしてそんな悲しい顔をしてるのか」
「分かった…」


ついさっきまで思い出していた事の全てをひよのに話す
自分の兄貴に対するどうしようもない嫉妬のような感情も全て


「はぁ…良かった」
「何がだ?」
「いえ、今でもお兄さんに対するコンプレックスがあまりにも酷いのかなと
 思っていましたので」
「前よりかはずっとマシにはなったさ。ただ、姉さんの事に関してとなると
 まだ辛いけど」
「そう言う事を言ってると嫉妬しちゃいます」
「そうだな。ひよのの前で言う事じゃないな」
「私以外の人間の前でも言う事じゃないですよ。そう言うのは」
「全くだ…」
「ふふっ。やっといつもの鳴海さんらしくなってきました」
「そうか?」
「はい。私が良く知っている鳴海さんです」
「そっか。なら良い」
「はい。問題解決ですね」
「これは礼だ…」
「えっ!?」


今度はそっと俺から優しくキスをする…
素直に受け入れてくれるひよの
あれだけ、心を支配していた憂鬱感もいつしか消え去って
今はただ目の前にいる少女の事だけをただ想い続けていた



「さてと…そろそろ帰るか」
「はい」


辺りはすっかり夕暮れ
帰ったら夜だな


「鳴海さん」
「何だ」
「またここに来ましょうね」
「そうだな。また来ような」
「ええ、約束ですよ」
「ああ、約束だ」


約束…。またこの場所に必ず来ような





あとがき…


まぁ、いつもの事です。
姉さん意味ねぇぇぇぇぇぇぇ(そんな叫びが聞こえそうです)
うーむ。3人で買い物をさせようとしたはずなのにどこをどう
間違ったら…(いつもの事だろう)

何と言うか。この二人にはどうしてもラブラブ(死語)のシーンが
ないと妙に落ちつかない…(書いてても)
俺のSSではお約束だな。もはや(死)
オチが相変わらず弱いのはご勘弁を

次こそは、アイズと理緒辺りで…
とりあえず、ネタの充電に走りますけどね
それでは、また