「エギル、酒くれ酒」 「あまり飲みすぎるなよ……一応頼まれた以上は出すが昼間だしな」 「ああ、分かってるんだがな。あんなの酒でも飲まないと忘れられそうにないんだよ」 「……。何があったのかは今は聞かないでやる。武士の情けでな」 「ありがとうよ。今は飲むだけ飲ませてもらうぜ。マジで」 記憶に残らないほど飲みたくなる時は誰だってあるが、心配なのはクラインが倒れない 事くらいだが、やはり仲間としては、放っておけない存在の一人ではある。 「で、クラインは何で昼間から飲んでるんだ?」 「悪夢のような出来事に遭遇したらしい」 「それは……だからって昼間からは」 「男には忘れたくなるほど飲みたくなる時もある。今はそっとしてしおいてやれ」 「分かったよ。ただ、飲ませ過ぎないようにしてくれよ」 「勿論だ」 放っておけない存在のもう一人の仲間、キリトの一言に苦笑しつつ、クラインの飲んで いる酒の量も無論気をつけておく。後で事情は聞くが、"今回"も悪い女にでもひっかかっ たのだろうかと思ったが、あの時はここまで飲まなかった事を思い出す。 「クライン、閉店だぞ」 「ああ……わりぃ」 「まっ、一杯くらいは付き合ってやるが、何があったんだ」 「ああ……昨日な、ちょっとALOで知り合った子とあったんだよ」 「ほう。いつの間に」 「まっ、そこらは企業秘密ってやつだ。で、仲良くなって会ったんだよ」 「それがどうやったら悪夢の出来事になるんだ」 一杯飲んで聞く体制に入る。クラインは一杯、水を飲んで一息をついて理由を語った。 聞いて納得と若干の同情をする事になる。 「男だった……」 「はっ?」 「正確言えば男の娘だった」 「ちょっと待て……どうやって知ったんだ」 「……だろ」 「な、何?」 「ほ、ホテルに決まってるんだろ!!」 「は、入ったのか」 「ま、まぁ、その場の雰囲気ってやつだ。ああ、それでそこでいきなり脱いだかと思うと こんなのでも良い? とか聞いてきやがったんだぞ」 「見た目は女性だったんだな?」 「あんなに可愛い子が男の娘なわけがねぇっ!! ってくらいにな。 だが、マジだった」 ぁぁ、確かにこれは悪夢だ。 「次こそは絶対に良い女捕まえてやる」 「ああ、次こそは良い女に会えると良いな」 結局、この後はクラインは酔いを醒まして帰った。確かに悪夢であり男にとってはとっ ては悲劇過ぎて、良い女に会える事を切に願ってやる事しか出来ない。 後日、エクスキャリバー獲得イベントにて、俺は少しだけだがクラインを尊敬する事に なるがそれはまた別の話である。 あとがき うん。悪夢であり悲劇だと思う。まぁ、クラインは全力で逃げたという事で(ぉ