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アホトラQ 「エンペリアル編」

1〜6話         7〜10話         11〜14話


アホトラQ 第2部 「麻理亜の鐘 編」 

1〜3話     4〜6話      7話  

*アホトラQ 「エンペリアル編」 15〜17話 

第15話「激闘・モンストロ星」 
地球を離れること十数光年の場所にあるモンストロ星。そのモンストロ星の成層圏に二つの機体が
ワープアウトしてきた。一つはミヤウチの飛行メカ、もう一つはガードビートルである。
ガードビートルは後部に戦闘用ブースターを取り付けていた。航続距離の長い大型エンジンを
中心に、上部に大型ミサイル,両側面に小型ミサイルの発射装置の付いたブースターである。
黒部はミヤウチに通信を行った。
黒部「これから我々はエンペリアルの基地に向かって攻撃を行う。奴らと我々の戦いが始まったら
   君は奴らの基地にもぐりこんでくれ」
ミヤウチ「わかった。俺は俺のすべきことを必ずやり遂げてみせる」
黒部「成功を祈る」
ミヤウチ「こちらも無事を祈る」
ミヤウチの飛行メカがステルス機能を発し、肉眼からもレーダーからも消えていく。
黒部「作戦開始だ、いくぞ!」
森次「おう!」
団 「おう!」
高峰「ながしま!」
黒部「・・・・・・今時,そんなギャグで笑う奴がどこにいるんだ・・・・・・」

ガードビートルはエンペリアルの基地めがけて降下した。黒部達の目にモンストロ星の大地が
映り、そして一つの点が見えてくる。その点こそがエンペリアルの基地なのだ。ガードビートルが
近づくにつれ,基地の全貌が明らかになる。10キロ四方の敷地に様々な建造物が建てられている。
ガードビートルが基地に突っ込もうとすると,自動迎撃システムの無人砲台がビームを放った。
が、ガードビートルは難なくそれをかわし、小型ミサイルで砲台を破壊した。エンペリアルの
基地内に警報が鳴り響く。エンペリアルのボスであるバートは司令室に来ると迎撃の指揮をとった。
バート「地球人どもめ,どうやってこの基地をつきとめたんだ。いや、どうやってここまで来たんだ。
   ・・・・・・許さん,自分達がどんな無謀なことをしているか、思い知らせてやる!ナベネツ、
   巨怪人達を出撃させろ!」
バートの指令を受けて巨怪人の群れが現れた。皆、巨怪人専用に造られた銃・・・光線砲を
手にしている。そしてガードビートルへと狙いを定める。
森次「打ち落とされてたまるか,酔い潰しミサイル発射!」
ブースターから小型ミサイルが何発も発射された。そのミサイルは側面から霧の様なものを
噴出しながら,巨怪人達の間を飛び回った。巨怪人達の顔が見る見る赤くなりバタバタと倒れて
いく。ミサイルから出ていたのはアルコールだった。かつて巨怪人コージー貴と戦った際、巨怪人が
地球人よりもアルコールに弱いことに気づいて用意した武器だった。
バートは慌ててテレビ電話でナベネツと連絡をとった。
バート「ナベネツ,巨怪人達がアルコールを吸わないように巨怪人にマスクをさせる指示を出せ!」
ナベネツ「何を出せと?」
バート「指示だ,指示を出すんだ!」
ナベネツは回れ右をすると,テレビ電話の前に腰を突き出した。
バート「誰が『しり』を出せと言ったー!」
ナベネツが遊んでいる間に巨怪人達は全員酔っ払って倒れてしまった。

バート「ヒット、剛獣達を出撃させろ!」
バートの指令を受けて剛獣達が現れた。口から火炎や光線を吐いてガードビートルを攻撃する。
団 「よし、SIMODAミサイル発射だ!」
ガードビートルのブースターから大型ミサイルが飛んだ。ミサイルの側面にはスピーカーが
いくつか並んで取り付けられていた。そして、ミサイルが剛獣達に近づくと,聞くに絶えない騒音、
いや歌声が聞こえてきた。かつて貝獣コーガを撃退した志茂田過激(仮名)の歌を録音した
ものである。剛獣達は口から泡を吹いてバタバタと倒れていく。バートは慌ててテレビ電話で
ヒットと連絡をとった。
バート「ヒット、剛獣達があの歌声,いや殺獣音波を聞かないよう,剛獣に耳栓をさせる
   指示を出せ!」
ヒット「何を出せと?」
バート「指示だ,指示を出すんだ!」
ヒットはテレビ電話の前に貝がたくさん入った器を出した。
バート「それは『しじみ』だー!」
ヒットが遊んでいる間に剛獣達は全て志茂田の歌で倒れてしまった。

バート「テブル、メカ獣達を出撃させろ!」
バートの指令を受けて,メカ獣達が現れた。体獣からミサイルを発射してガードビートルを攻撃する。
高峰「スリップミサイル,発射します!」
ガードビートルからまた小型ミサイルが発射された。ミサイルはメカ獣の足元で破裂し,地面に
オイルがばらまかれた。メカ獣達は足をスリップさせてバタバタと倒れ,ショートしてしまった。
バートは慌ててテレビ電話でテブルと連絡をとった。
バート「テブル,メカ獣達がスリップしないよう、メカ獣の足にスパイクを着ける指示を出せ!」
テブル「何を出せと?」
バート「指示だ,指示を出すんだ!」
テブルはテレビ電話の前にパソコンを持ってきた。画面上ではなぜか山口こ○みに似たイラストが
パラパラを踊っていた。
バート「それは『CG』だー!」
テブルが遊んでいる間にメカ獣は全部スリップして倒れてしまった。

エンペリアルはなおも自動砲台で反撃するものの、ガードビートルのビーム攻撃で壊されていく。
森次「隊長、この調子なら勝てますよ」
黒部「待て!何か出て来るぞ」
基地の建造物の一つに巨大なドームがあった。そのドームが開くと仲から4機の飛行メカが
飛びあがった。それぞれにバート,ナベネツ,ヒット,テブルが乗っている。飛行メカは変形しながら
合体すると,一体の強固な戦闘メカになった。
バート「地球人どもめ,よくもやってくれた。この『キングジョージ』で宇宙のチリにしてやるぞ!」
バートの怒声が響いた。

黒部達が戦っている間にミヤウチはエンペリアルの基地内へ無事忍び込んでいた。囮作戦は
成功だった。基地内の者は全て戦いに向かっていて,ミヤウチは難なくデータ室に入り,データを
調べていた。そして・・・・・・・
ミヤウチ「これは・・・あったぞ、オーゾラ星との交信画像だ!」
バートはある意味では用心深い男だった。オーゾラ星の政治家達が全ての罪をバート達に押し付け
切り捨てようとしても、それができない様に脅す材料として,オーゾラ星とのテレビ電話での交信を
全て残しておいたのだ。だが、今回はその用心深さが災いした。
ミヤウチ「このデータがあればオーゾラ星の謀略をすぐにもやめさせることができる。はやく
     取り出して黒部達と合流しよう」
ミヤウチは、手早く作業を始めた。
(第15話・終)


第16話「戦い終わって・・・」 
 宇宙探偵ミヤウチが本来の目的を果たしつつある頃,黒部達の乗るガードビートルはバート達の乗る
戦闘メカ「キングジョージ」と対峙していた。バート達の操る怪獣の大半はガードビートルの繰り出す
秘密兵器で戦闘不能に陥り,バート自らが切り札に乗って出撃するところまで追い込まれていた。
だが、ガードビートルも戦闘ブースターに積んできたミサイルを撃ち付くし,ガードビートル本体の
レーザーエネルギーやミサイルも半分は使い切っていた。
 まずキングジョージが攻撃した。頭部や胸部にあるビーム砲から一斉にビームを撃つ。
ガードビートルはそれをかわすとミサイルとレーザーを放った。キングジョージの胸部に
レーザーとミサイルが次々と炸裂する。だが、キングジョージには全くダメージが無かった。
バート「ワハハハ、このキングジョージを普通のメカ獣と一緒にするな。お前達は知らないだろうが,
   宇宙のメカ造りの天才,キング・テクノとジョージ・ロジーが造り、自分たちの名を与えた
   名機なのだ」
再びキングジョージはビーム砲の一斉射撃をする。慌ててよけるガードビートル。
黒部「確かにあのメカには通常の武器は効かない・・・効果があるかわからんが、スリップ作戦を
   やるぞ。オイルをあのメカの足元にまくんだ」
森次「了解,発射します」
ガードビートルの下部から発射装置が現れた。そして、その先から風呂場の壁によく使われる
薄い石がパラパラと発射された。
黒部「おい、あれは『タイル』だろ。私が言っているのは『オイル』だぞ!」
団 「了解、ただちに撃ち直します」
発射装置からバネ状の針金がバラバラと発射された。
黒部「あれは『コイル』じゃないか。私の言っているのは『オイル』だ!」
高峰「待ってください,今、発射します」
発射装置から一冊の本が発射された。表紙には「ホームズの冒険」と書かれている。
黒部「あ、あれはコナン『ドイル』だー!!!」
この様子を聞いていたキングジョージはあまりの寒さと馬鹿馬鹿しさのため凍りつき,動きが
止まった。
団 「隊長,ミヤウチから通信です」
黒部に通信機が回る。
ミヤウチ「作戦は成功だ。必要なデータは手に入れた。脱出するぞ」
黒部「了解。その前に仕上げをしておこう」
ガードビートルは、動きの止まったキングジョージに向かって急スピードで突っ込んだ。
そして、途中で後のブースターの連結器をはずすと急上昇をした。ブースターはそのままの勢いで
キングジョージに命中し,キングジョージは足をすべらせて倒れ動かなくなってしまった。
ミヤウチの飛行メカとガードビートルは地球への帰途に着くべく、ぐんぐん上昇し,空の彼方へと
姿を消した。
倒れたキングジョージの操縦席で、バートは誰に向かってというわけでもなく、怒鳴り散らしていた。
バート「なぜだ?キング・テクノとジョージ・ロジーが自分たちの名前を与えたほどのメカが、なぜ
   こうも簡単に滑ってしまうんだ!?」
そこへ、ナベネツから通信が入った。
ナベネツ「バート様、このメカは実はキング・テクノとジョージ・ロジーの造った物ではありません」
バート「何だと!?」
ナベネツ「地球侵略の予算を安く上げるために、キングジョージを模倣したメカを購入したのです。
      このメカの本当の製作者はムラカミ・テクノとショージ・ロジーと言います。
      ですからこのメカの本当の名前は・・・・・」
バートは,このメカが簡単に滑った理由をなんとなく納得した。

 それから6ヶ月が過ぎた。ナカシマ星のある浜辺に三本のヒマワライが花を咲かせていた。
ヒマワライの様子を見に来たREINAはヒマワライに向かって叫んだ。
REINA「酢が10杯でジュース!」
ヒマワライは声をそろえて笑った。
ヒマワライ「ギャッハハハハハ、ギャッハハハハハハハハハ」

 ミヤウチの手に入れた証拠をメリケン連邦に持ちかえったフジオカは、直ちにオーゾラ星の暴挙を
公表した。オーゾラ星の首謀者達はことごとく捕まり,メリケン連邦の廃棄物処理問題も見直しが
図られることになった。ナカシマ星の廃棄物も撤去され,各地に植えられたヒマワライの浄化能力に
より、ナカシマ星の環境は9割以上回復していた。
 ただ、モンストロ星のエンペリアルの基地は、フジオカの仲間が逮捕に向かったときには
誰もいなかった。バート達はいち早く姿を消していたのである。

 ナカシマ星の浄化活動に協力に来ていたフジオカがREINAに声をかけた。
フジオカ「この浜辺もすっかり元通りになったな。他の場所も、あと1ヶ月もあればきれいになる」
振り返ったREINAはにっこり笑ってフジオカに言った。
REINA「星外に避難していた人達も帰ってくるって」
フジオカ「ナカシマ星に平和が戻るんだな」
REINA「これも、あの地球の人達のおかげなんでしょ?あの人達が囮になってくれたから
    なんでしょ?」
フジオカ「その通りだ。ミヤウチの活動がうまくいったのは彼らのおかげだ」
REINA「だったら、地球に行こうよ,あの人達にお礼を言いに」
REINAは気づかなかったが,フジオカの顔が一瞬曇った。
フジオカ「うむ・・・・ナカシマ星の再建が整ったら,お礼を言いに行こう。今は、待ってくれ」
REINA「ハーイ!」
屈託の無い笑顔でREINAが返事をする。

 実は地球には既にミヤウチが行っていた。だが、ミヤウチを待っていたのは信じがたい話だった。
黒部達の防衛隊は消滅していたのである。黒部達が地球の警備をおろそかにしてモンストロ星に
行ったことが解散の表向きの理由だった。だが、エンペリアルがとん走し,地球が攻撃される危険が
無くなった今,維持費がかかる防衛隊は無用の長物と上層部の人間達は考えた。
また、自分さえ良ければそれでいい、という大半の地球人にとって、黒部達のモンストロ星での
激闘もナカシマ星が救われた事も、関係無いことだった。
 防衛隊は、その行動を地球で評価されることなく解体し、黒部達も姿を消していたのだった。
(第16話・終)


第17話「英雄は滅びず」 
国土保安庁・・・国の安全を守るための機関であり,黒部達の防衛隊が所属していたところである。
その責任者の迅田長官と、宇宙探偵のミヤウチは極秘のうちに会談を行っていた。
ミヤウチ「・・・・・防衛隊を解散させるなら,せめて黒部達の行動を正しく評価してから、とは
    考えなかったのか」
迅田「評価?」
ミヤウチ「エンペリアルの攻撃が無くなったのは黒部達のおかげだろう。彼らはナカシマ星も救った」
迅田「防衛隊の役割は地球を守る事だ。他の星まで行って戦ったり、他の星まで守るのは
   命令違反だ」
ミヤウチ「・・・保安庁の予算節約のための解散なら,正直に言えばいいじゃないか。彼らを悪者に
    することは無い」
迅田「他の星の人間にそんなことを言われる筋合いは無い。さあ、帰ってくれ」
ミヤウチはこみ上げる怒りをやっとおさめていった。
ミヤウチ「黒部達は特殊な地球人の様だな。あんたとは大違いだ。帰る前に一つ、言っておく
    事がある」
迅田「いい加減にしろ!文句を聞いている暇は私には無い。早く帰れ」
ミヤウチ「俺が地球に来たのは、黒部達に礼を言うためだけではない。巨大な生命反応が
    日本をはじめ地球の至るところで認められることを伝えに来たんだ」
迅田「・・・・・何を言っている・・・」
ミヤウチ「エンペリアルの怪獣攻撃が呼び水になって,地球内部の巨大生物達が大量に目を
    覚ましたんだ。奴らはすぐにも活動を開始するぞ」
迅田「馬鹿馬鹿しい」
迅田は笑った。と、突然、大音響が響き,地震のように保安庁の建物がグラグラと揺れた。
ミヤウチ達のいる部屋へ伝令が入ってくる。
伝令「大変です!ここから西へ10キロの地点に怪獣が現れて暴れています」
迅田「そんな!おい、我々はどうしたらいいんだ!」
迅田は救いを求めるようにミヤウチに言った。
ミヤウチ「知らんな。怪獣と戦ってきた黒部達を切り捨てた責任をとって,あんたらで戦えばいいだろ!」
ミヤウチは身勝手な迅田達を後にして保安庁を出た。だが、飛行メカに乗ると怪獣の元へ向かった。
地球は黒部達の星でもある。やはり放っておくことはできなかった。

怪獣は全長40メートルを超える首長竜型の古代生物だった。街の建物を次々と破壊し,
人々が逃げまわる。そして怪獣を止める者はいない。
ミヤウチ「どう戦うか・・・・・・おや?あれは何だ?」
怪獣の上空に来たミヤウチの視界に一台のトラックが目に入った。側面に「民営地球防衛隊」と
書かれた看板が付けられている。そして乗っているのは、黒部・森次・団・高峰だった。
彼らも地球怪獣の活動を予見していたのだが、経費削減のことしか頭に無い保安庁の上層部は
全く耳を貸さなかった。黒部達は保安庁を出ると、地球防衛のために力を貸してくれる人を捜した。
そして子供が防衛隊のファンだという大沢という関西人に出会い,彼の紹介である運送会社に
スポンサーになってもらい、その会社で働きながら民間防衛隊を設立したのだ。
とは言え,民間で戦闘用の装備を整えるには,資金上・法律上の無理があった。
トラックは全長10メートルほどの中古品だった。森次達が手にする武器も空気銃を改造した
ものである。
ミヤウチ「あれでどうやって戦う気だ・・・」
防衛隊のトラックは怪獣の近くまで来て止まった。
黒部「まだ人々の避難が終わっていない。人々の安全のため,怪獣の注意をこちらへ引き付けて
   時間をかせぐんだ」
トラックの荷台にかけられていた覆いが取られると,太い丸太を組み合わせて造られた巨大な
Y字型のふたまたに強いゴムが付けられた、特大のパチンコが姿を現した。
森次「攻撃開始!」
パチンコで、直径50センチはあるコンクリートの塊が打ち出され,怪獣の頭に当たる。
怪獣が黒部達の方を向いた。
黒部「ここからが勝負だ・・・粉薬の入ったカプセルを奴の顔にぶつけ、目つぶしすることで
   怪獣の動きを止める。目つぶし、発射!」
森次「発射!」
パチンコで長さ1メートルほどの、足の模型が打ち出された。足首の付け根の部分が
赤く塗られている。
黒部「・・・・・あれは『くるぶし』だろ。私が言っているのは『目つぶし』だ!」
団 「了解,発射します!」
打ち出されたのは、茶色で細長い物だった。
黒部「あれは『かつおぶし』だ!私が言っているのは『目つぶし』だ!」
高峰「了解,発射します!」
今度はカセットレコーダーが打ち出された。レコーダーからは「月が〜出た出た 月が〜出た」という
歌が聞こえる。
黒部「あ、あれは『炭坑節』だー!!!」
このとき、この会話を聞いていた怪獣はあまりの寒さと馬鹿馬鹿しさのため凍りつき、活動を
停止していた。

保安庁で地球防衛隊が再結成され,黒部達が再任されたのは翌日のことだった。
(アホトラQ 第1部 終)