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            *過去の迷作をまとめたものです

                    アホトラQ 「エンペリアル編」 

       1〜6話       7〜10話       11〜14話      15〜17話


                  アホトラQ 第2部 「麻理亜の鐘 編」 

                       4〜6話     7話   


*アホトラQ 「麻理亜の鐘編」 
 

第1話「紺色の追跡者」 

ビーッ、ビーッ、ビーッ、ビーッ、地球防衛隊の基地に出動要請のコールサインが響いた。
黒部「場所はどこだ」
森次「S市西部の商店街です。例の怪人の集団です」
黒部「出動だ,行くぞ!」
森次「おう!」
団 「おう!」
高峰「ダイエー監督!」
黒部「・・・・・・・・」

200X年、地球の各地に怪獣が出現するようになった。日本でも怪獣災害から人々を守るため
地球防衛隊が設立され,黒部隊長の指揮の元に森次、団、高峰といった隊員が、怪獣を相手に
奮闘していた。だが、現在彼らが戦っている相手はそれまで戦ってきた怪獣とは異質の物だった。

1週間前に「それ」は現れた。人間とほぼ同じ身長の集団だが,人間ではなかった。
その集団は人の集まる場所に現れては人々を誘拐した。

黒部達は装甲車「ケラット」に乗り現場へと向かった。「ケラット」が着いたとき商店街では人々が
襲われていた。半魚人とでもいうもの・・・2本足で立ち,魚の顔とうろこで覆われた全身、
水かきの着いた両腕を持つ・・・が10何人もいて、人々を捕らえては乗り付けてきたトラックの
荷台へ押し込もうとしていた。
黒部達は車を降りると半魚人達にパラライザー(麻酔銃)を撃った。何人かの半魚人が倒れ,
その手元に捕まっていた人達が走り逃げる。
森次「よし、他の半魚人も倒すぞ。人々を救うんだ」
森次が言ったとき,「ワハハハハハハハハハ」という男の笑い声が響いた。二つの影が
黒部達の前に歩み出た。
一つは巨大なバケツを逆さまにした胴体に機械の手足と目のついたヤカンの様な頭が付いた、
身長2メートルほどの怪人だった。もう一つは白い服を着て2本足で立っているが、毛むくじゃらで
犬そのものの顔をしている。犬の顔の男がしゃべった。
「キシダ兵(半魚人)は一般戦闘員・・・ザコだ。この妖械人ガラクタンクは違うぞ」
団 「誰だ,お前は!?」
ポルチス「私は東界大帝様の重臣デ・サント・テムトペレ様の配下,アフオーカー様の懐刀、
      魔界の科学者ポルチス様だ!」
高峰「ポ・・チ・・それがお前の名前か?」
ポルチス「ポチではない、ポルチスだ。私をコケにするのか!」
森次「やはりポチだ」
団 「お〜い、ポチ、ポチ」
ポルチス「お、おのれ人間ども。ガラクタンク、やってしまえ!」
ガラクタンクが黒部達の前に出てくる。
黒部「撃て!」
四人は一斉にパラライザーを撃つ。がガラクタンクには全く効かない。
森次「それなら・・・これはどうだ!」
森次はレーザー銃をガラクタンクに放った。が、これも全く効かない。
ポルチス「ワハハハハハ。そんなオモチャが我が妖械人に通じるか。キシダ兵、人間を捕らえるのだ」
半魚人達が再び人間達に襲いかかる。黒部達もやめさせようとするが、ガラクタンクの胸部が開き
そこから赤い火の玉が発射され,黒部達の足元で爆発した。
団 「こ、これでは動きがとれん」
防衛隊のメンバーは立ち往生してしまった。逃げ遅れた人間の中に一人の少年がいた。5歳くらいで
母親とはぐれたのか座り込んで泣いている。その少年を捕らえようと,キシダ兵が近づく。ますます
激しく泣く少年。
高峰「い、いかん!」
そのとき、矢じり型の光弾がキシダ兵に当たって炸裂、キシダ兵は吹っ飛ばされる。
ポルチス「誰だ?邪魔をするのは!」
声 「いけないよ、子供を泣かしちゃ」
女の声だった。ポルチス達,黒部達が声のする方を見ると,一人の女性がいた。
年は二十歳前くらい、紺色の服,紺色のズボン,紺色の靴、紺色のひじの前まで覆う手袋という
格好で、スラッとしたスタイルの良い一目で美人と判る女だった。
ポルチス「アンラッキー・エアメイル!お前もこの世界に来たのか?」
アンラッキー・エアメイルと呼ばれた「女」はニコッと笑って答えた。
『女』「そうだよ、あんた達をやっつけるためにね」
ポルチス「ほざくな。キシダ兵、そいつを排除しろ!」
半魚人達は人間を捕らえるのをやめ、『女』に向かって襲いかかった。
『女』「ショット・ウインド!」
『女』の手から矢じり型の光弾が次々と発射され,それを受けたキシダ兵はバタバタと倒れた。
光弾をかいくぐった数人の半魚人が『女』に掴みかかった。しかし『女』は全くひるまず,ひじ打ちや
膝打ちであっという間に半魚人達を倒してしまった。
森次「強い・・・・・」
黒部「だが、我々と違う。彼女は人間ではない!」
ガラクタンクが『女』の前に進み出る。
ポルチス「ガラクタンク!お前の力を見せてやれ!」
『女』「妖械人・・・妖力をエネルギーにして動く機械人ね。強いの?」
ポルチス「黙れぇ!」
ガラクタンクの胸部から火の玉が発射されるが、難なく『女』はよける。『女』に走り寄った
ガラクタンクは腕を振り上げ『女』を叩こうとする。と、『女』はその腕をかわし、ガラクタンクの
胴に腕を回すと見た目には500キロはあろうかというガラクタンクを一気に持ち上げ、軽々と
放り投げる。そして、起き上がったガラクタンクに右腕を向けると叫んだ。
『女』「アタック・ウインド!」
『女』が右腕にはめていた手袋が飛び出す様にはずれ、宙を舞った。そして急スピードで
ガラクタンクに当り,そのボディをぶち抜いて風穴を明けた。
『女』「ショット・ウインド!」
光弾がガラクタンクの胴に明いた穴から中に入り,内側で爆発した。全身がショートを起こして
ガラクタンクは活動を停止してしまった。
ポルチス「作戦中止だ。退却!」
ポルチス達は捕らえた人間を乗せたトラックも放棄してその場から退散した。

さらわれそうになった人達はすぐに解放された。先程の逃げ遅れた少年も,母親と無事再会し,
笑顔を取り戻している。その様子を遠くから見ていた『女』はつぶやいた。
『女』「よかった・・・・・」
黒部は『女』に話しかけた。
黒部「ありがとう,助かった。アンラッキー・エアメイルと言ったね」
『女』「そう。『アン』でいいよ」
森次「アン,我々は知りたいことがいろいろとあるのだが教えてくれるかな?」
アン「うん、いいよ」
団 「まず、君は人間なのか?」
アン「・・・違うよ。私は人間が『魔物』と呼んでいる生き物だよ」
高峰「魔物?嘘だろ?」
しかし、アンは真顔のままだった。
アン「並列宇宙・・・パラレルワールドってわかる?」
森次「聞いた事はあるが・・・」
アン「私はよくわからないの」
団 「ガクッ」
アン「同じ様な世界が少しづつ状況を変えて、いくつも存在する,という考え方らしいんだけれど・・
   早い話しが、彼らは『魔物が当たり前の地球』からこの地球に来たの。私は彼らを追って
   この世界に来たってわけ」
高峰「君の手袋はどうなっているんだい?今見ると布の手袋にしか見えないけど,さっきは妖械人の
   体に穴を明けたね」
アンは右の手袋を脱ぎ、端を指でつまんで持った。だらんと下がったそれは確かに布の手袋だ。
アン「これは,私の仲間が作ってくれた武器なの」
森次「仲間?向こうの世界のか?」
アン「そう」
アンは手袋をじっと見つめた。すると、手袋は中身が入った様に膨らみ,アンが手を離すと宙に浮き,
黒部達の頭上を回りはじめた。
アン「私の脳波で自由に操れるの。魔界の特殊な布でできていて、念が働いているときは鋼鉄並の
   硬さになるのね」
高峰「まるでロ○ットパンチだ・・・」
黒部「それで、一番聞きたいことだが,奴らの目的は何なんだ。なぜ、この世界に来たんだ」
アン「目的は,この世界で活動のためのエネルギーを集める事。それともう一つ,この世界に
   紛れ込んだある物を探す事だよ」
森次「ある物?」
アン「麻理亜の鐘」

(第1話・終)


第2話「WITCH IN THE SKY」 

 S市の商店街の戦いの翌日,魔物の女性アンラッキー・エアメイルは防衛隊の基地に招かれ,
作戦室で黒部達と話をしていた。
黒部達にはまだまだ知りたいことがあったからだ。
黒部「東界大帝・・・というのが奴らの親玉なのか?」
アン「そうだよ。私達の世界では魔力界・人間界・妖力界・精霊界などがあって、それぞれバランスを
   取って成り立っているの。でも、魔力界の東の世界を支配する東界大帝は、自分の力を
   増大させるために他の世界からエネルギーを大量に奪ったり,他の世界の、力を持つ
   アイテムを盗んだりしはじめたの。そんなことをしたら魔力界自体もバランスを崩して
   とんでもないことになると言われているのに・・・」
森次「それで魔力界のバランスを守るために君は戦っているのか」
アン「そうでもないよ」
森次「えっ?」
アン「私は自分が好きなものが人間界にあるから人間を守るために戦うことにしたの。私の友達も
   皆そうだよ」
団 「その友達も君と同じ魔物なのかい?」
アン「魔物もいるけど・・・人間の友達もいるよ」
黒部は紅茶を飲んでいたが,思い出した様に尋ねた。
黒部「ポルチス達はこの世界にモノを探しに来たと言ったね?」
アン「麻理亜の鐘。元々は精霊界で作られたアイテムで不思議な力があるの。東界大帝の部下は
   それを盗み,私達は取り戻そうとして戦った。麻理亜の鐘を奪い返されそうになった彼らは
   最後の手段として魔力で時空に穴を明け,鐘を別の地球・・・この世界へ送ったわけ。
   東界大帝は手下の一隊をこの世界に送り,私達も後を追おうとしたんだけど・・・」
団 「けど?」
アン「鐘のような無生物と違って,命のあるものを異世界へ送りこむのは大量の魔力がいるの。
   それに向こうの世界での戦いも続いているから,何人も送ることはできない・・・
   私達二人だけこの世界に来たの」
森次「二人?もう一人は誰だ?」
アンは自分の腰に巻かれたベルトに目をやった。ベルトの側面に黄色で直径3センチのてんとう虫の
様な形をしたブローチが付いていた。
アン「イエロー・ブロッチ、皆さんに挨拶して」
ブローチの背中が本物のてんとう虫の羽のように開き,ブローチは空を飛んだ。呆気にとられる
黒部達の前で空中静止をして人間の言葉をしゃべった。
ブロッチ「ボク、イエロー・ブロッチ、ヨロシク」
アン「魔界の虫だよ私達の大事な仲間だよ」
その時,基地のコールサインが鳴った。通信機に森次が駆け寄る。
森次「隊長、M市の遊園地に奴らが現れたそうです」
黒部「防衛隊,出動!」

 黒部達はアンを伴って装甲車ケラットでM市の遊園地へ急行し、到着したとき人々が
半魚人・キシダ兵に襲われているところだった。
黒部「よし、行くぞ!」
人々を助けようと黒部達が駆け寄ろうとしたところへ、上から光弾が降り,黒部達を足止めした。
森次「何だ、あれは!」
黒部達が上を見ると、長さ50センチの体に、広げると両翼で80センチほどの羽を付けた物が
いくつも空にいた。体は魚で羽は鳥の物である。黒部達が呆気に取られていると、
犬の顔をした男・ポルチスが姿を現した。
ポルチス「ワハハハ、我が飛行メカ、ウオの体にトンビの羽を持つ、名付けて『トンビウオ』だ!」
団 「・・・・・こいつはアホか・・・」
高峰「でも、トンビウオをどうにかしないと人々を助けられませんよ」
アン「私に任せて」
アンは両足をそろえると言葉を唱えた。
アン「風よ,我の求むるところへ運びたまえ!」
彼女の体がふわりと浮き,そのまま宙を舞い,トンビウオへ向かって行った。
森次「これは・・・・・」
ブロッチ「アンハ空ヲ自由ニ飛ベルンダヨ」
いつの間にか森次の肩に止まっていたブロッチが説明した。近づくアンにトンビウオが光弾を放つ。
アン「ショットウインド!」
トンビウオの攻撃をかわし,アンも光弾を放つ。アンの光弾が命中し,トンビウオが2.3体
吹っ飛ばされる。
ポルチス「バカめ,かかったな」
ポルチスは手にしたリモコンのスイッチを押した。空の向こうからトンビウオが数多く・・・
100体以上飛んできた。トンビウオの群れはアンを囲む様にアンの周囲に展開する。
ポルチス「一気にやっつけろ!」
トンビウオの群れがどんどん光弾を発射する。が、アンは体をクルクルッと回転させながらそれを
次々とよけ,逆にショットウインドを連続的に発射してトンビウオを撃ち落す。
その様子はアンが空で踊りを待っているように見えた。黒部はつぶやいた。
黒部「魔女だ・・・・・」
そう、紺色の服を着た魔女が空で綺麗な踊りを踊っているのだ。アンが舞い,そのしなやかな
腕が振られるたび、光弾が飛び、トンビウオが片っ端から撃墜される。100体はいたトンビウオが
あっという間に20体ほどになった。
黒部「よし、今のうちに人々を助けるんだ!」
黒部達防衛隊のメンバーはキシダ兵を次々と倒し,その手から人々を救った。
ポルチス「おのれ、こうなったら・・・」
ポルチスがリモコンの別のスイッチを押すと,ある物体が空を飛んできた。高さ2.5メートルの
とび箱に、機械の手足とトンビの羽が付いていた。
ポルチス「妖械人『トンビ箱』だ!」
トンビ箱にアンはショットウインドを放つ。しかし当たってもトンビ箱にはダメージが全くない。
トンビ箱はその頑丈さを利して体当たりを仕掛け、アンに激突した。が、アンはトンビ箱の
巨体をがっしり受け止め,逆に力を込めて押し返した。振り飛ばされるトンビ箱、だがあわてて
体勢を整える。アンは両手を上に上げて唱えた。
アン「風よ,我に集いて心を熱く語れ!」
風がアンに向かって凄い勢いで吹いた。
森次「どういうことなんだ?」
ブロッチ「アンハ風ヲ操ッタリ風ノエネルギーヲ別ノ形ニスル能力ガアルンダ。ショットウインドハ
    風ノ力ヲ破壊エネルギーニ変換シタモノ、ソシテ今度ノハ・・・」
アンは風のエネルギーを蓄えると両腕を広げ,胸を突き出す様にして叫んだ。
アン「ヒートストリーム!」
アンの紺色の服の胸部が赤く輝き、そこから熱エネルギーが激流の様に発射された。
それを浴びたトンビ箱は大音響を上げて爆発四散した。
団 「まるでブ○ストファイヤーだ・・・」
ポルチス達は切り札が倒されるのを見ると、早々に退散してしまった。

闘いが終わって防衛対の面々は事後調査(現場に有害物質が残されていないかなどの調査)を
行った。森次が機器で放射線の有無を調べ、その横でアンが見物している。そこへ一組の親子が
近づいてきた。若い母親と7歳くらいの少年である。
母親「ありがとうございました、助けていただいて」
森次「礼には及びません。我々の仕事ですから」
少年「お姉ちゃん,正義の味方?」
アン「え・・・・・・・」
急に聞かれてアンは言葉に詰まった。代わりに森次が答えた。
森次「そうだよ、君達の味方だ」
少年「お姉ちゃん、これからも頑張ってね」
少年は笑顔で言うと母親とともに去って行った。
アン「笑顔っていいね。見てるだけでこっちも楽しくなるよ」
森次「アン,君が言っていた人間界にある好きなものって・・・」
アンはニコッと笑ってうなづいた。
アン「子供達の笑顔だよ」
(第2話・終)


第3話 「洞窟基地突入」 
 「トンビ箱」との戦いの翌日の朝、防衛隊基地の一室にアンは山のような資料とともにいた。
最近の新聞の記事の中に、ポルチス達の基地の在処や、麻理亜の鐘を見つける手がかりが
あるかもしれない、と考えたのだ。アンが10数枚目の新聞に目を通しているとき、森次が部屋に
入ってきた。
森次「アン,おはよう」
アン「あ、おはようございます」
森次「アン,また聞きたいことがあるんだが、いいかい?」
アン「うん、いいよ」
森次「奴らはこの世界でエネルギーを集めていると言ったね。奴らが人々をさらっている事と
   関係あるのか?」
アン「集めているエネルギーは生き物の生命エネルギーなんだよ。それを妖エネルギーに変換
   するんだよ」
森次「エッ、それじゃ、さらわれた人達は、まさか・・・」
アン「いや、しばらくは大丈夫。人間から一気にエネルギーを奪うより,生かしておいて少しづつ
   エネルギーを採ったほうが多くのエネルギーを得られることを奴らは知っているから、
   さらわれた人達は、まだ生きているよ」
森次「しかし、奪われる状態が続けば危ない事に・・・」
アン「うん、だから早く向こうのいる場所をつきとめなきゃ」
アンが地方紙を手に取ったとき,黒部と防衛隊の協力者である平田博士が部屋へ入ってきた。
黒部「いや、すぐにつきとられるかもしれん。平田博士が探知機を作ったんだ」
森次「探知機?」
平田「今度の敵は別の世界から来た。その上魔物という人とは異なる生物であり、また
   強いエネルギーを持つ。それならこの世界の生き物とは変わった波動を発しているものと
   考えたんだ」
森次「なるほど。その波動を探知しようというわけですか」
黒部「ただ、アンとイエローブロッチの波動にも反応してしまうから、まずアン達の波動を登録して
   おかなければならない。それ以外の魔物波動が奴ら、というわけだ。登録後、実験を兼ねて
   捜査に出発する。アン,協力してくれるね」
アン「うん、いいよ」

 そのころ、人間界に造った基地の一つにポルチスはいた。さらった人間達から少しづつ
エネルギーを奪う作業を行いつつ,ポルチスも人間界の新聞から,麻理亜の鐘の在処をさぐろうと
していた。だが、その作業は一行に進まなかった。なぜかと言えば・・・
ポルチス「麻理亜の鐘の手がかりがあるか調べたい。資料を持って来い」
半魚人・キシダ兵が何人か資料を取りに出る。少しして一人目のキシダ兵が、茶色の小さな玉が
たくさん入った袋を持って戻ってくる。
キシダ兵1「これを蒔くと野菜が良く育ちます。これが・・・」
ポルチス 「ばか者、これは資料でなく『肥料』だ!」
そこへ二人目のキシダ兵が液体の入った缶を下げて戻ってくる。
キシダ兵2「家の壁が綺麗に塗れます。これが・・・」
ポルチス「愚か者、これは資料でなく『塗料』だ!」
そこへ3人目のキシダ兵が籠に一杯の魚を持ってきた。
キシダ兵3「たくさん捕れました。これこそ・・・」
ポルチス 「こ、これは『大漁』だー!!」
この調子が連日連夜繰り返されていたからである。
そこへ四人目のキシダ兵が入ってきた。
キシダ兵4「ポルチス様,地球人の連中が近づいてきています」
ポルチス 「何だと?ここが判ったというのか?よし、迎え撃つ用意をしろ!」

防衛隊の車は探知機を頼りにある山の斜面にたどり着いていた。車を降りる黒部達。
団 「何も変わったところは無い様だが・・・探知機が正確に働いていないのかな?」
アン「違うよ。向こうが妖力で見た目をごまかしているんだよ。でも、この程度の妖力波なら、
   ブロッチの力で大丈夫」
アンはイエローブロッチを手のひらに載せると目線の上へかざした。魔界の虫であるブロッチは
触覚を立てるとそこからエネルギー波を発した。と、目の前の光景が一変し,山の斜面に洞窟の
入口が大きく穴を明けていた。
森次「妖力でのカモフラージュを妨害電波でかき乱したわけか」
黒部「よし,突入するぞ!」
黒部達は洞窟の中へと走りこんだ。洞窟の奥からキシダ兵が何人も現れかかってくる。
しかし、黒部達もアンもキシダ兵を物ともせず倒して行く。が、さらに奥から黒い影が現れた。
ポルチス「そこまでだ!この妖械人がお前達を地獄へ送るだろう!」
ポルチスとともに前に進み出た妖械人は、高さ2メートルほどの巨大なライターだった。直方体の
ライターに機械の手足が着き,上部には面が付いて顔の役目を果たしていた。
ポルチス「仮面の顔を持つライター,名付けて『仮面ライター』だ!」
黒部「・・・アン,こいつらはこの世界へ冗談をやりに来たのか?」
アン「・・・聞かないで,私も頭が痛いの・・・」
ポルチス「やれ!仮面ライター!」
アン達に向かってライターの仮面の口から高温の炎が放出された。アンは右腕をライターに向け
叫んだ。
アン「アタックウインド!」
アンの右腕の手袋が、指を広げてライターの放った炎の先へ飛んだ。そのまま炎を押し戻し,
ライターの仮面にぶつかり、ライターは後ろへひっくり返る。が、ライターはすぐに起き上がり
アンに向かって突進してきた。
ライター「ライターチョップ!」
ライターのチョップを腕で受けるアン。が、次々とライターの繰り出すチョップをブロックするものの
次第に押され、キックを両腕でブロックするが吹っ飛ばされる。しかし、アンもすぐ立ち上がる。
団 「見かけに寄らず,あの妖械人、つよいぞ」
高峰がレーザー銃を構える。
高峰「アン,援護する!」
アン「待って!一対一でやらせて」
アンは構えなおすと仮面ライターに挑んで行く。ライターはキックでアンを倒そうとするが,アンは
ジャンプでそれをかわすとライターの上部にチョップを打ち込んだ。ライターが一瞬ひるむ。
黒部「・・・脳天から竹割?」
アンはライターの隙を逃さず、ライターの後方に回り込んで抱え上げ,叫んだ。
アン「ジャイアント馬場さんの必殺技の一つ!」
アンはそのまま後方にライターを叩きつけ,ラライターはショートして動けなくなってしまった。
高峰「今の技・・・」
黒部「バックドロップ。馬場さんが人間風車・ビル=ロビンソンを倒した技だ」
妖械人を倒されたポルチスは退却を命じた。
ポルチス「我々には他にも基地がある。体勢を立て直したら,このお返しは必ずしてやるぞ」
と、捨てゼリフを残して・・・

この基地にはポルチス達が今までにさらった人達が全ていた。中にはエネルギーを奪われて
疲労していた人もいたが、手当てをすれば全快可能なレベルだった。
黒部「これで一つ解決した。次は麻理亜の鐘だな。私達も手伝うよ、アン」」
森次「必ず見つかるさ」
アン「うん、ありがとう」
アンが笑顔で答えた。

 それから1時間後,ポルチスは青鬼の前にいた。体はやせているが身長は2メートルはあり,
般若の様な顔をして,頭には2本の角がある青鬼、東界大帝の部下で、この世界での
指揮官・アフオーカーである。退却したポルチスはアフオーカーのいる基地へと来ていたのだ。
アフオーカー「ポルチス!折角集めた人間どもを奪い返されるとは失態だぞ!」
ポルチス「わかっております。もっとエネルギーを集めなければなりませぬ。それについて、人間を
     捕らえたその場でエネルギーを奪う装備の製作を考えております」
アフオーカー「すぐ実行せよ。それしても地球人どもとアンラッキー・エアメイルめ。今度邪魔をしたら,
      我がじきじきに叩き潰してやる!」
アフオーカーの瞳が怒りに燃えていた。
(第3話・終)