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            *過去の迷作をまとめたものです

                    アホトラQ 「エンペリアル編」 

       1〜6話       7〜10話       11〜14話      15〜17話

アホトラQ 第2部 「麻理亜の鐘 編」 

1〜3話      4〜6話      7話  


迷作の部屋


ほかのページの更新がいつになるかわからないので、来ていただいた方に少しは楽しんで
いただくための「お話のコーナー」を作りました。ただ、読後に脱力を感じることがあるかもしれません。

第8話「合い言葉は『なぜだ』」 

 防衛隊の医務室に、黒部・森次・団はいた。意識を失い、手当てを受けている
アンラッキー・エアメイルの様子を見に来たのである。アンはベッドの上で小さな寝息を立てて
眠り続けていた。森次は医務室の机の上にいた魔界の虫・イエローブロッチに尋ねた。
森次「どうなんだ、アンの具合は」
ブロッチ「大丈夫,1日も寝ていればすぐ良くなるよ」
黒部「アンが倒れた理由はなんなんだ?」
ブロッチ「麻理亜の鐘は生命エネルギーの増幅器なんだ。使う者の生命を吸い取るかわりに
    そのエネルギーを増幅して他の者の体を急速に回復させる。麻理亜の鐘があれば一万人の
    兵が疲弊しきっていても一人分の生命エネルギーで全員をほんの数分で元気にして、すぐに
    戦いを続けさせることができる東界大帝も、自分の軍隊を効率良く戦わせ続ける為に
    麻理亜の鐘を必要としている。でも、一万人を回復させるには一人の『力』を使い
    果たさなければならないこともあるんだ」
森次「大を生かすために小を殺す,か・・・」
ブロッチ「東界大帝はそういうやり方を平気でできる。だからボク達も戦っているんだ・・・」
団 「なおさら、奴らに麻理亜の鐘は渡せんな」

同じ頃,高峰は本部の司令室で通信機の番をしていた。アフオーカー一味がまた街を襲ったときに
すぐ情報を受けられるようにするためである。
『ピー・ピー・ピー・ピー』
通信が入り、高峰は通信機を手に取った。
高峰「こちら防衛隊。何がありました?」
通信機「なぜだ!」
高峰「え?」
少し間をおいて、再び声が届いた。
通信機「なぜだ!」
高峰が,訳が判らず呆然としているうちに通信は切れた。

その直後,別の通信が入ってきた。
  「防衛隊ですか?C市の商店街で妖械人たちが暴れています。出動お願いします」
防衛隊はただちに装甲トラック「ケラット」で出動した。
ケラットが現場に着いたとき、キシダ兵達が店を次々と荒らしていた。人々を捕らえようというのでなく
防衛隊をおびき出す為だけに騒ぎを起こした,という感じだ。
ポルチス「よく来たな,人間ども」
黒部「ポルチス!性懲りも無い奴だ」
ポルチス「麻理亜の鐘を渡せ!さもなくば、人間どもは地獄の苦しみを味わうことになる。出てこい、
    妖械人!」
赤い覆面に青い全身タイツを身に着けた男が登場した。男は手にしたビンのふたを開けると中から
直径2センチ程の赤い物を取りだし、商店街の逃げ遅れた人々に次々と投げつけた。赤い物は人々の
口の中に入り,人々は口々に「すっぱい〜!」と叫んで苦しみ出した。
ポルチス「どうだ!梅干で人間どもに地獄の苦しみを味あわせる妖械人『スッパイダーマン』だ!」
森次「・・・・・・これ、『ドクタースランプ』のス○パマンのパクリだろ?」
ポルチス「いちいちバラすな!アンラッキー・エアメイルのいない今,お前達に勝ち目は無い。おとなしく
    麻理亜の鐘を渡すのだ!」
森次「我々を甘くみてもらっては困る。団隊員,反撃だ!」
団 「おう!」
ケラットの後部から一門の大砲がせり出し、その砲門から何かが発射された。砂糖だった。砂糖は
発射時の熱で溶け、ベタベタした粘着液となってキシダ兵にふりかかり、今度はキシダ兵があわて
だした。
高峰「すっぱさに対抗するには甘さに限るってことよ」
森次「よし、続けていくぞ!」
ケラットの大砲の後部にバターが詰め込まれ発射された。バターも発射の熱で溶け,地面にワックスの
ように広がった。キシダ兵達はバターで次々と足を滑らせ転げまくる。
黒部「おい、この展開、何かの童話で無かったか?」
黒部の言葉を気にも止めず団が叫ぶ。
団 「次だ、撃て,高峰!」
ケラットの大砲に、今度は砂糖と小麦粉とバターと、といた卵が混ぜて込められ発射された。それは
打ち出される途中で熱により変化を起こし,多数のホットケーキになって空を飛び、キシダ兵達の口へ
はまっていった。
キシダ兵1「う・・・・うまい!」
キシダ兵達はみんな商店街の人々を襲うのをやめ、飛んでくるホットケーキを受けとめて食べ始めた。
森次達は連続してホットケーキを発射し、キシダ兵はホットケーキを食べるのに夢中になる。ポルチスは
怒った。
ポルチス「コラ!広い食いなどするな!キシダ兵ども、戦わんか!」
だが、キシダ兵達は皆ポルチスの言うことなど聞かず,ホットケーキを味わいまくっていた。
キシダ兵1「うまいぞ!」
キシダ兵2「こんなおいしいもの、はじめて食った!」
キシダ兵3「もっと食うぞ!」
ポルチス「こうなったらスッパイダーマン、お前の力で人間どもを倒せ!エッ・・・」
半機械生命体のはずのスッパイダーマンも、キシダ兵とともにホットケーキを食べることに熱中
していた。
ポルチス「愚か者!戦え、戦うんだ!」
虚しく怒声を上げるポルチス。
森次「ポルチスよ、部下達にいい物を食べさせていない様だな」
ポルチス「な、何だと!」
森次「キシダ兵達は本来の自分達の世界を離れてこき使われている。当然ストレスもたまる。
    その心の負荷を適度に取り除かないと何かの拍子に暴走してしまうんだ。たまには美味しい物を
    食べさせてやれよ」
森次の指摘は当たっていた。アフオーカーは下の者をねぎらうことを考えず、使うばかりなので
キシダ兵もポルチス自身も不満を抱いていたのだ。キシダ兵達は全てがホットケーキを食べ過ぎ,
満腹して戦意を喪失してしまった。
ポルチス「うぬぬ、退却だ,だが、次こそは麻理亜の鐘を手に入れるぞ!」
ポルチス達は、腹を膨らませたキシダ兵達を叱りとばしながらその場を去った。

防衛隊の基地に戻った黒部達は作戦室に入ろうと扉を開けてハッとした。
アン「おかえりなさーい!」
作戦室内には皆の紅茶の用意をしているアンラッキー・エアメイルの姿があった。
森次「アン,もう、起きてていいのか」
アン「うん、1日寝たからもうスッキリしちゃった。今日は間に合わなくてごめんね」
団 「いや、今日の敵はアンが出るまでも無い相手だった。次はそうはいかないだろうが・・・」
高峰「でも俺達とアンが力を合せれば必ず勝てますよ」
そのとき通信機に通信が入った。
  「なぜだ!」
高峰「あれ、まただ」
団 「また?」
高峰「出撃前にも同じ通信があったんだ」
通信機から同じ声が聞こえた。
  「なぜだ!」
アンは通信機にバッと駆け寄るとマイクを手に取って答えた。
アン「2たす3はへのへのもへじ!」
  「アン、回復したようだな」
アン「DD!久しぶり」
アンは黒部達の方を向いて言った。
アン「私の世界からだよ。今しゃべっているのはなかまのDD」
DD「隊長さん、アンがお世話になってます」
黒部「いや、こちらもアンのおかげで助かっているよ」
DD「そちらの様子は『魔法の鏡』でときどき見ているんだけれど,アンは暴走癖があるから迷惑ばかり
   かけているんじゃないかと思うんだけど」
黒部「そんなことはないさ。アンはいい娘だよ」
高峰「『なぜだ』は合言葉だったのか」
アン「DD、みんなそこにいるの?」
DD「コンセクトとタプラッシュはいるけど宮迫さんは『サタンの鐘』を捜しに遠出してる」
アン「そっちの世界も忙しいのね」
DD「意識のある物をそちらの世界へ送るのは難しいけれど、魔具なら送れる。捕縛の籠といって、
   魔物を縮小し、スリープ状態にして閉じ込められるマグを送るよ。これならアフオーカーでも
   捕らえられる」
作戦室の机の上に緑色の輝きが起こり,一辺30センチの立方体の籠が姿を現した。
DD「アン、みんな、お前が帰ってくるのを楽しみにしているからあまり無茶するなよ」
アン「うん、私もみんなに会いたい」
DD「隊長さん、アンのことをよろしく頼みます」
黒部「ああ、アフオーカーは必ず捕まえるよ」
交信が終わった後もアンは通信機を見つめていた。いや、本当は通信機の向こうの仲間たちを
見ていたのだ。
森次「アン・・・・・」
森次が話しかけようとしたとき、アンが振りかえってニッコリ笑って言った。
アン「私、頑張る!アフオーカー達をみんな捕まえるよ!」
黒部「そうだ、我々の力を合わせてな」
森次「おう!」
団 「おう!」
高峰「『くしょん』を付ければ『おーくしょん』」
・・・・・・相変わらずしまらない防衛隊だった。
(第8話・終)