甘枝りりとMissYのかしまし映画雑談 Vol.6

差出人:甘枝りり <nasusu@do.enjoy.ne.jp>                    宛先:MissY <rocknroll@104.net>

件名:食わず嫌いしていた映画 『ダイ・ハード』                 送信日:2002年5月27日(月)

■食わず嫌いしていた映画 『ダイ・ハード』

MissYさん

甘枝です。こんにちは。日が長くなりましたね。朝も5時にはすっかり明るみ、この調子だと夏には日本もついに白夜化してしまうのではないかと今から心配です。もし白夜になったら、干した布団はいつ取り入れたらいいんでしょうね(そんな心配か)                                                         さて、前回のメールも楽しく読ませて頂きました。『ユーガッタメール』の表記を見て吉川晃司を踊るのが私だけでないというのにも勇気づけられましたし(足が上がらない点も)、なによりMissYさんの文章で時たま出てくる九州弁がたまりません。同じく九州弁を第一言語とする私としては、思わず意味もなく海へ走り出て「うまかっちゃ〜ん!!」と叫びたいくらいです。  九州弁で映画対談したら面白そうですね。「これは好かん」「好いとう」「どこがいいと?」「うるさかねー!」みたいな。

それから、トム・ウェイツの第一印象が「ゴリラみたいな顔」という話。そう、私もそう思いましたよ! 彼ははじめ音楽の方で知ったんですけど、曲に聴き入ってジャケットは特に注視してなかったんですよ。髪型が尾藤イサオ入ってるな、くらいで。のちに映画で動くトムを観た時、びっくりしました。ゴリラっぽいし、トーテムポールにも採用されそうな顔じゃないですか。絶対彫刻向きですよ、あの顔は。 でも実に味わい深くて、また演技も独特の風が吹いてる感じで、忘れ難い希有な存在です。だから今回MissYさんが挙げた『FISHING WITH JOHN』もぜひ観てみたい。というか、トム以前にまず内容が気になります。私、テレビ番組か何かで予告は観てるんですよ。ハンディカムで撮ったような画像が突然流れ出してあっという間に終わるの。皆目わけがわからないんだけど、なにかこう、チープな胡散臭さは伝わってきて「面白そうだな〜」と思った記憶があります。あれを日本の釣り好き有名人で作るとしたら、まず糸井さんや奥田民夫は喜んで出るでしょうね。梅宮辰夫や松方弘樹にはヤラセというのを言わずに出てもらったら面白そう。もしくは、最後に明かすんだけど番組名は『スターどっきり桾告』にしておいて二重の罠をかけるとか。 カメラが回っている時以外はいっさい笑わない彼らが見られそうです。   殴られますかね。あと、川の向こう岸遠くで『釣りバカ日誌』の撮影をやっているとか。スーさん、浜ちゃんカメオ出演。画面の端に一瞬だけ。で、川上から河童の着ぐるみを着た山瀬まみが流れてきたり。ついでに桃も流れて桃太郎が出てきたり。ジャパニズム濃厚で。それにしても、「あほがみーるー ぶたのけーつー」って、これまたとんでもない日本語が海外輸出されてしまいましたね。  私もこの作品はツボにはまる気がするので、今度ビデオ屋で探してみます。しかしどのコーナーに置いてあるんだろう。微妙。

さてさて、MissYさんの「どこまでも人を食った映画」から転じて今回のテーマは「これまで食わず嫌いしていた映画」です。いや、実は最初思ったのは『羊たちの沈黙』『ハンニバル』だったんですが、これは人を食った映画でも意味が違うから(笑)それでね、考えたら私、映画の食わず嫌いがけっこうあるんですよ。特に昔は、いずれテレビでも放映されそうなヒット作品や人気作品はまず観る気がしなかったんです。 だから誰もが観ているような作品、たとえばこれから取り上げる『ダイ・ハード』(1998年 米 監督ジョン・マクティアナン)なんかも、洋画劇場で見かけたことはあるけどきちんと観たことはなくて。   『ダイ・ハード』を選んだわけは、超メジャーなだけに話が早そうだから。説明しなくても内容はだいたい御存知ですよね? それを前提に、今回はもしもシリーズで行こうと思います。題して「もしも私が『ダイ・ハード』の登場人物だったなら〜」

まず、もし私がブルース・ウィリス演じる主役だったら、たぶんずっと隠れてて映画にならないと思います。犯人の近くで様子を窺いつつひたすらじっと。その際は周りに物がないか細心の注意を払います。ドラマだとたいていそこで何かにぶつかって気づかれますからね。 だって怖いもん。ナカトミの社長、目の前で空中分解してるもん。頭を撃つのはプロの証拠ですからね。その時点で私はもう立てません。 でも、そうかといっていつまでもそこにはいられない。何故なら私は携帯電話を持っているはずだからです。少なくともマナーボタンを押して気づかれない距離にまでは逃げないと。 こういう時に限ってまた電話が鳴るんですよ。それもどうでもいいワンコール切りの迷惑電話とか。最大の迷惑ですよね。 だから、ひとまずはここで電話が鳴らずに逃げ切れるかどうか。そこが最初の見せ場になると思います。 地味な見せ場ですね。あまりに地味なので、逃げる途中で下っ端の敵に出会うくらいはあるかもしれません。その時は闘うでしょう。臆病な私ですが、獅子座なので土壇場には強いんです。意地でも勝ちますね。 で、いざ勝てばもうこっちのもの。戦闘モードに火がつきます。自分が警官だったことも思い出し(すっかり忘れていたけど)、人質に奥さんが紛れていることも思い出し(ごめん、妻)、いよいよ救出に向かいます。

救出に向かえば、結局犯人との攻防も免れないわけですが、その際自分のポジションを見極めるふたつのポイントがあります。ひとつは天井のダクト。屋内型アクションには欠かせない要素ですね。みんなよく入るし、よく撃たれないものだと思います。もし私が敵側で、相手がダクトに逃げ込んだら絶対弾を当てます。当たらない方がおかしいよ。特にマシンガンで撃つ場合。 よって、ダクトから死なずに出た人が主人公と思って間違いないです。それが自分の時は自信を得て良いし、また逆に相手の場合は、勝ち目はないと見込んで早々に手を引くのがベターです。 また、そこで自分が主人公でも敵でもない脇役だと悟った人は、ダクト生還者についていきましょう。間違っても中途半端な保身で敵側へ寝返ってはダメ。中途半端に死ぬのがオチです。それから撃ち合いで相手を追い詰めた時は、嬉しい気分は重々わかりますが、私語厳禁で。 調子に乗って「最後にいいことを教えてやろう」などと喋ってると、まず間違いなくそれが自分の遺言になります(私が相手の場合はおおいに喋ってください)あと、権力を楯に気安く乗り込むのも危険。 FBIのコンビ(その名もジョンソン&ジョンソン!)もこれで自爆しました。 そしてもうひとつ、爆発装置の反応でも自分の役割を知ることができます。これはだいたい闘いも佳境に入った頃に出てきますから、見つけた時点で選択肢は二つに絞られます。主人公か、敵側のボス。いずれかです。 爆弾が初めて目にするものであれば主人公に決まっているので、安心して好きなように扱ってください。主人公が扱う場合は暴発もしないし、タイマーのリミットが迫っていても1秒前に止まるか、仮に爆発したとしても遠くで弾けて身体に危害が及ばないよう、爆薬自体も気を利かせてくれます。 問題なのは、爆発装置に見覚えがある、さらに以前作ったような記憶もある、そのうえリモコンまで持っていたりする、という人です。 周りが倒れても自分は無傷だったから大丈夫と思っていたら大間違い。 残念ですがボスキャラです。素早く逃げましょう。 くれぐれも爆弾には近づかないように。爆弾は敵には情け容赦なしです。『フィフスエレメント』のゲイリ−・オールドマンや『レオン』のゲイリ−・オールドマンのように命取りとなります。(ゲイリ−は爆死専門か?)                                                    

いろいろ書いてきましたが、要はいかに早く自分の役柄を察知できるかですね。状況判断さえうまくできれば、いつアクション映画に紛れ込んでも、そしてどんな役であったとしても命は助かります。 ただ、たとえ自分に主役の徴候が見られても、それがスタローンっぽいとかジャッキ−・チェンっぽいものなら安心なんですが、たとえば話の展開がお決まりのパターンでなかったり、全体的にムードが暗かったりする場合は、デヴィッド・フィンチャーあたりの作品に入り込んでしまっている可能性があるので注意が必要です。このケースだと、仮に主役でも命の保証はできません。 顔がブラピ似であったとしても、です。  逆に、話の展開がやけにすっとぼけているとか、何故かムードが明るすぎるといった場合は、自分がマイク・マイヤーズっぽくないか、或いはレスリー・ニ−ルセンっぽくないか確認しましょう。アクション映画でもコメディ入ってる可能性があります。その場合は、敵との攻防は二の次にしてボケとツッコミの発揮に力を注ぎましょう。きっと続編が作られます。

ああ、今日も長くなってしまいましたね。しかも『ダイ・ハード』から脱線しまくりで。 どちらかというと今回の指向は同じマクティアナン作品でも『ラスト・アクション・ヒーロー』に向いてましたね。この作品こそ映画に入り込む話ですよね、たしか(よく知らない)  いやしかし『ダイ・ハード』は予想以上に面白かったです。公開から4年も経ってて、今更ですが。 つい妄想に拍車がかかりましたね。かかり過ぎましたね。いつもこうじゃないんですよ、MissYさん。二日に一度くらいです。

甘枝りり

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