しばし明かりはつけないで

〜甘枝りり映画鑑賞記〜

使用上の注意:ここは映画をおすすめするコーナーではありません。映画を観た後で読んでほしいわがままコーナーです。どのくらいわがままかというと、まずストーリーは書きません。映画を観ればわかることだからです。そして「ここがおすすめ!」というようなことも言いません。人それぞれツボが違うからです。ここでは甘枝が映画から感じ取ったことをキーワードにしてランダムに挙げるだけです。そもそもついてこれるヤツだけついてこいッ!という無謀かつ人にやさしくないコーナーなのです。そこを頭に入れたうえでお読みください。ただ、ひとつくらいキーワードにピンときて「観てみようかな」と思わせる可能性はなきにしもあらず、です。

◆ 變面 〜この櫂に手をそえて〜 1997 中国 監督・呉天明

キーワード           

解説

・「變面がまず読めない・・・」

・「こんなに愛しているのに裏目裏目」

・「人の心が読めるテレパス・モンキー」

・「慈悲って・・・素晴らしい」

・面が変わると書いて「へんめん」。主人公のじいちゃんはお面を素早く取り替えて百面相を見せる大道芸人。そのトリックはカッパーフィールドのマジックくらいつかめない。スロー再生不可。

・子供がじいちゃんのためにと思ってすることは何故か悪い結果を招いてしまう。嘘はまだいい。火事もまだいい。でもじいちゃんが牢に入れられたらアカンがな。どう取り戻すか、子供?

・反省する猿なんてまだまだ。中国の猿は驚異的に進化を遂げているのである。疲れ果てたじいちゃんに写真を差し出し、酒を勧める猿に号泣。

・救済は神によってなされるのではない。他者のために願うこと。そして動くこと。人の力が人を救うのである。その心こそ慈悲。ラストの慈悲のオンパレードは心してかかっても泣いてしまう。

◆ ショーシャンクの空に 1994 アメリカ 監督 フランク・ダラボン

キーワード           

解説

・「ノッポのキューピーちゃん」

・「モーガン・フリーマンっていつもこう」

・「む、虫ッ!!」

・「ビールと大音量のクラシック」

・「え、オレっていい人なのにぃ〜!」

・「知恵と勇気はこう使え」

・ティム・ロビンスはアップの時と引いた時の落差が激しい。あの童顔はどう見ても身長165cm用だろう。でもそこにやられる。フォトジェニック大賞。いつも笑っていてほしいのにこんなに苦しめられるなんて・・・と監督の思うツボ状態。

・寡黙にして賢い。それがオハコのフリーマン。彼が初めて覚えた日本語は「いぶし銀」に違いない。しかし一度は「ダメだこりゃ!」と言わせてみたい人でもある。顔はすでにチョ−さん入ってる。

・ムショのクサイ飯、なんて甘い甘い。慣れってコワイねと思わせる瞬間。

・これだから優等生はぁ〜と思ってはいけない。インテリにはインテリなりの友情の示し方がある。にくいほどにやってくれる。くぅぅぅ〜!

・ちょっとした好意が仇となった囚人。ここで観る者は一気に刑務所所長への憎悪を募らせる。

・自分の素質とその使い道をわかっている人は必ず困難を切り抜けられる。最後のドンデン返しはカタルシスどころの比ではない。脱帽!

◆ アパートの鍵貸します 1960 アメリカ 監督 ビリ−・ワイルダ−

キーワード           

解説

・「マスカラの誤った使用例」

・「22世紀に残したいかつぜつ」

・「そしてイイ顔するんだ、彼は」

・「ラケットが何故台所にあるのか」

・「シャーリ−・マクレーンしかいないよね」

・「後を継ぐのは三谷幸喜か!?」

・不倫相手と会う時に塗ってはいけない。涙で落ちてしまうから。とのこと。このセリフをはじめビリ−・ワイルダー作品にはグッとくる言葉がたくさん出てくる。いつか言ってのけたいがそれを理解できる相手がいるかどうか。猫はまず無理。

・ジャック・レモンは間違いなくNHKのアナウンサーになれるだろう。早口なのに明瞭な英語は聞いていて気持ちが良い。早送りかもしれない。

・ちょっと困った笑顔のジャック・レモンはすでに後の「味のある俳優」への道を歩み始めている。こんな素敵な笑顔ができるのは他に井上順くらいしかいないだろう。井上順の中身はともかくとして。

・茹で上がったパスタをすくうには穴が大き過ぎやしないか?ジャック。彼はお茶目道を心得ているな。まあウディ・アレンが好きそうなことである。

・と、思わせることに成功している映画である。可愛くなくても可愛げのある女。やたらと可愛い。

・ビリ−・ワイルダ−のシチュエーション・コメディ精神を今一度。相手はかなりの職人だ。

◆ ファーゴ 1996 アメリカ 監督・制作 コーエン兄弟

キーワード           

解説

・「女は強いのではない。強くなるのだ」

・「白い雪に真っ赤な血」

・「ブシェ−ミはすぐ死ぬ」

・「火サスにもこんなハラハラ具合があれば・・」

・警官にして妊婦。しかも臨月間近。主人公に胎教などということを言っている暇はない。事は田舎の村はじまって以来の殺人事件なのである。「エイリアン」のシガニ−・ウィ−バー以上にたくましくなるのは当然のこと。そんな女の子供も強い。ピストルがんがん放っても母子ともに健康。何故だ!?

・さらさらの新雪にぷはーっと散る血液。それを美しく撮るコーエン兄弟のセンスに惚れる。

・コーエン兄弟はスティーブ・ブシェ−ミの扱いをわかり尽くしている。「ビッグ・リボウスキ」でも彼はあっけなく殺される。そんな情けない顔のブシェ−ミは河合我聞似。ぎょろ目は西川きよし並。

・サスペンスの定義がよくわからないが、観る者をハラハラさせるという点では充分こわい。コーエン兄弟なら”正義が勝つ”という定説をあっさり覆しそうでなおさらこわい。低血圧改善映画。

◆ 未来は今 1994 アメリカ 監督・制作 コーエン兄弟

キーワード           

解説

・「やっぱりティムが好き」

・「もしも100万円あったなら」

・「ポール・ニューマンよりも」

・「う〜っっ、イーグル!」

・「フラフープの出来るまで」

・コーエン兄弟とティム・ロビンス。ふたりのビッグショーである。知的な役の多いティムだが、ここでは「おばかさん。」と頭を撫でまわしたくなるほどの愛くるしさ。ただしバカとは言っても「さよならゲーム」のパープリンとは訳が違う。全然違う。

・夢のハリウッド進出映画としてコーエン兄弟も気合いが入りまくる。せっかくの大金を最大限有効に使って観客を楽しませようとするところに下町根性が感じられて泣ける。その結果、極上のファンタジーが出来上がった。あまさず楽しい。

・ガラスを突き破ってビルから飛び下りる社長に目がいくのは仕方がない。鳥になったんだから。

・この映画を観たら誰もが一度は口にしたい言葉。

・このテンポの良さ!まさにファンタジック。都合良くでき過ぎているところもかえってすがすがしい。

◆ 髪結いの亭主 1990 フランス 監督 パトリス・ルコント

キーワード           

解説

・「しょせん男の理想と知ってはいても」

・「マイケル・ナイマンあってこそ」

・「虚しさに裏打ちされた官能」

・ルコントは男の求める女性像を描かせるとうまい。そして、「そんなやついねぇーよ」と思いながらも虜になるのはきまって女性の方である。

・映画における音楽の効果をあなどってはいけない。ナイマンの本領発揮といえば「ピアノ・レッスン」だが、この映画でも充分にやってくれている。エキゾチックな曲に合わせて踊るジャン・ロシュフォールは奇妙なフリのくせに無表情で笑える。

・理想には必ず相対するものとして現実がつきまとう。それに気がつかないふりができるのが男なのかもしれない。刹那的な快楽。それは美しく哀しい。

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