※※いつか眠りにつく前に※※

<・・EVENING・・〉

2007年アメリカ・ドイツ映画/カラー117分

 

 

【STAFF&Cast/スタッフ&キャスト】

 

監督............................................................ラホス・コルタイ

制作......................................................ジェフリー・シャープ

製作総指揮...................ジル・フートリック&マイケル・ホーガン

脚本.....................................................マイケル・カニンガム

撮影...............................................................ギュラ・パドス

原作................................スーザン・マイノット(河出書房新社)

音楽.................................................ヤン・A・P・カチュマレク

美術デザイン.............................................キャロライン・ハナ

衣装デザイン.........................................................アン・ロス

Cast

アン................................................ヴァネッサ・レッドグレイヴ

娘時代のアン.................................................クレア・ディンズ

アンの親友ライラ...........................................メリル・ストリープ

ライラの母.....................................................グレン・クローズ

アンの娘ニナ......................................................トニ・コレット

アンの娘コンスタンス.........................ナターシャ・リチャードソン

娘時代のライラ...............................................メイミー・ガマー

青年医師ハリス.........................................パトリック・ウィルソン

ライラの弟バディ.............................................ヒュー・ダンシー

看護士..................................................アイリーン・アトキンス

ライラの父...............................................バリー・ボストヴィック

 

 

 

【Nominations&Awards&Music/受賞&ノミネート&音楽】

 

ニューポート国際映画祭、シアトル国際映画祭出品作品

US公開は2007年6月。日本公開は2008年2月23日

スーザン・マイノットのベストセラー原作の映画化。

 

監督のラホス・コルタイは

イタリアの名匠ジュゼッペ・トルナトーレ監督の「マレーナ」でアカデミー撮影賞にノミネート。

又、同監督の「海の上のピアニスト」

「アドルフの画集」「ぼくの美しい人だから」等でも撮影監督を務め高い評価を受けている気鋭。

 

 

主演のヴァネッサ・レッドグレイヴは、数々の名作に出演してきた英国の名女優で

「ジュリア」ではアカデミー賞助演女優賞を受賞。

共演のメリル・ストリープも同じく

「ミュージック・オブ・ハート」「マディソン郡の橋」等で

アカデミー賞にノミネート、及び受賞のオスカー女優。

又この2人に負けない程の存在感を示すのは「南太平洋」

過去多数の映画でアカデミー賞ノミネートの名女優グレン・クローズです。

 

 

音楽はヤン・A・P・カチュマレクの美しいスコアと共に

ヴェネッサ・レッドグレイヴ(娘時代はクレア・デインズ)扮するアンが

歌手になる夢を持っていた…という設定の関係で

「星影のステラ」などのジャズの名曲も使用されています。

が、私的にはフォーレの「夢のあとに」とイメージが重なったので

このReviewページのMIDIは、そのフォーレ作曲「夢のあとに」を使用しました。

 

 

 

【Story&Outline/映画ストーリー&映画概要】

 

……Evening……

人生の終焉に意識は彷徨い、漂う……

 

 

人生の最期を迎える老婦人アンと、枕元で見守る二人の娘ニナとコンスタンス。

アンは重い病に蝕まれ、その命の灯火は今にも消えようとしていた。

ベッドに寝たきりとなったアンの混濁した意識は

娘たちの知らない男性の名前を何度も口にする…。

意識と無意識の狭間を漂うアンの記憶は

1950年代のある週末の出来事へと遡っていく…。

歌手になる夢を持ったアンは親友ライラの結婚式で

ブラインズメイド務めるためにロードアイランドの海辺の街を訪れていた。

そこでアンは一人の青年医師と出逢い

そして運命の恋に落ちる…

しかし、その恋には悲劇的な結末が待っていた……

 

 

……………………………………………………………………………

 

 

映画の原題は『Evening』です。
’Evening’とは「Evening Dress(夜会服)「Evening Glow(夕焼け)」

そしてEvening Star(宵の明星)などからも分かるように

’夕暮れ’とか’1日の終わる時刻’を指します。

そして、映画では’人生の終焉の刻’と言う意味で使用されています。

 

 

邦題のタイトルの付け方には常々疑問を持つ事も多い私ですが

この作品については、中々適切で見事なタイトルの付け方だなと思いました。

『いつか眠りにつく前に』の’眠り’は’死’を意味しています。

一人の女性が死の床に伏し、混濁した意識の中で’自らの過去を回想’する。。。

そして劇中、時折時間軸を交差させて現在の様子も交えながら進行していく…

そんな形式を取った作品です。

 

 

 

この映画、キャストからも周知のように

主演の’死の床に伏す女性=アン’を演じるヴァネッサ・レッドグレイヴを始め

本当に豪華な出演者の面々です。

それも過去何度もオスカー、アカデミー賞受賞&ノミネートの栄誉を獲得している

女優陣の顔、顔、顔、が驚くほど見事に並んでいます。

 

 

劇中《現在》と《過去》の時間軸の交差が唐突に何度も繰り返されたのと

余りに多くの豪華女優陣の顔ぶれの為

その出演女優キャストの役柄を、時系列で整理して書きたいと思います。

これから鑑賞予定の方もその点を把握してご覧になるようお勧めします。

 

 

《現在》

主人公のアン(死の床に伏す女性)=ヴァネッサ・レッドグレイヴ

アンの娘ニナ(アンの臨終を看取る)=トニ・コレット

同じく娘コンスタンス=ナターシャ・リチャードソン

臨終を看取る夜の看護士=アイリーン・アトキンス

アンの親友ライラ=メリル・ストリープ

《過去》

アンの若い頃=クレア・ディンズ

ライラの若い頃=メイミー・ガマー

ライラの弟バディ=ヒュー・ダンシー

医師ハリス=パトリック・ウィルソン

ライラの母=グレン・クローズ

 

 

実生活でも親子のヴァネッサ・レッドグレイヴとナターシャ・リチャードソンが’母と娘’を。

そしてメリル・ストリープはと言えば、’彼女の若い頃を自分の娘’が演じている…!

そんな点でも、今後もう2度と再現は難しいかもしれない配役だと思います。

 

 

主人公アンを演じるヴァネッサ・レッドグレイヴは

役柄上殆ど寝間着(ナイトウェアー)姿で、死の床に伏しているので

メイクもそれなりで成り切っていますが本当に素晴らしい名演技です。

終盤でやっと登場する年老いたアンの親友ライラを演じるメリル・ストリープも

勿体無いようなほんの数カットの出演ですが

彼女が出演している数シーンだけでまるで燦然と画面が光り輝くようです。

そのメリル・ストリープが死を控えたヴァネッサ・レッドグレイヴのベッドで

彼女を抱き寄せて話すシーンはとても感動的です。

 

 

出番は少ないですが、メリル・ストリープの娘メイミー・ガマーの母親役を

あのグレン・クローズがさり気なく、本当にさりげなく演じています。

でもその存在感の大きさ&インパクトの強さは強烈です!

…彼女の名演技、息子バディを喪った時のシーンでもそれは遺憾なく発揮されていました。

 

 

 

【Impression&Interpretation/私的映画感想&解釈】

 

――母から娘へと――

…豪華女優陣が紡ぎ奏でる、愛の遺言…

 

 

映画冒頭は、ヴァネッサ・レッドグレイヴが夕刻の海岸の岸壁に立ち

’帆を張った船の上に横たわる若い頃の自分自身(クレア・ディンズ)と邂逅’する

幻想的でとても美しいシーンから始まります。

一人の女性として精一杯生きていた証を求めようとしている姿です。

 

 

この作品、さすが撮影監督としてオスカーノミネのコルタイ監督らしい

美しい幻想的な映像と描写に優れた作品でした。

Storyは一人の女性の過去の選択の疑念と

自らが犯した過ち(死と命の重み)の悔恨を軸に描かれていますが

同時に、彼女の娘達へと繋ぐ’人生への慈しみと生への躍動’も描いています。

私自身も一人の女性として感動しましたし、ぜひ多くの女性達にも

(母と娘、特に母親と疎遠になっている女性には)見てほしい作品だと思いました。

 

 

ただ、この素晴らしい映像と配役と素晴らしいStory映画の

気になった点をあえて書くとすれば、、、

まず、ヴェネッサ・レッドグレイヴの若い頃が

どうしてもクレア・ディンズのイメージに私的に溶け込めなかったと言うこと。

いっそメリル・ストリープの若い頃を彼女の娘が演じてるように

実娘ナターシャ・リチャードソンに演じてほしかった。。。

まあ、年齢的なことや著名度の関係で難しかったのかも知れませんが。

 

また過去の回想シーンで登場してくる

アンの人生だけでなく、ライラの人生と彼女の弟の人生でも要と成る

’ハリス役のパトリック・ウィルソンの存在感が曖昧’で残念に感じました。

彼をもっと魅力的に描けていたら

この作品の深さもよりもっと素晴らしく増していたと感じさせられもしました。

 

 

 

人間は誰もが毎日、分かれ道の選択に迫られながら生きています…。

葛藤して、悩み、苦しみ、その余儀なくされた選択を

苦渋の思いで後悔、回想することもしばしばです。

いったい何が正しくて、何が正しくなかったのか…?

 

…でも、その真実に気付いた時はもう余りにも時間が経過してしまい

’分岐点だった場所’には2度と戻れません。。。

 

 

 

人は最期を迎えた時

何を考え、誰を思い、そして傍にいてほしいでしょうか…。

自分の人生に過ちを犯したかもしれない…と苦渋する思いに

この映画は、あたたかい優しい安らぎと心の平穏を与えてくれます。

 

 

 

 

 

 

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