きつねと私の12か月

<・・LE RENARD ET L'ENFANT・・〉

<・・The Fox & The Child・・〉

2007年フランス映画/カラー・96分

 

 

【STAFF&Cast/スタッフ&キャスト】

 

監督.......................................................................リュック・ジャケ

制作.................................................イヴ・ダロンド/クリスノフ・リウー

&...............................................................エマニュエル・プリラー

原案.......................................................................リュック・ジャケ

脚本.........................................エリック・ロニャール&リュック・ジャケ

撮影..................................................................ジェラール・シモン

編集.............................................................ザビーヌ・エミリアーニ

音楽..............アリス・ルイス/エフゲニー・ガルペリン/ダヴィド・レイエマ

Cast

リラ(10歳の少女)............................ベルティーユ・ノエル=ブリュノー

リラ(大人)................................................................イザベル・カレ

リラの息子.............................................................トマ・ラリベルトゥ

 

 

【Nominations&Awards&Music/受賞&ノミネート&音楽】

 

”Young Artist Awards”の有望作品賞と有望若手演技賞ノミネート

本国フランスでは2007年の秋にプレミアされ、12月28日に公開されましたが

240万人を動員して大ヒットしました。

フランスからベルギー、ドイツ、オランダなど欧州各国で上映を経て

日本では2009年1月10日より上映開始されています。

 

監督と原案のリュック・ジャケは

長編ドキュメンタリー『皇帝ペンギン』でアカデミー賞に輝いたフランスの監督で

本作品は監督自身の実体験をベースにした初長編フィクションです。

尚、この映画には本国フランス版以外に英語版もあり

英語版ではナレーションを英国女優、ケイト・ウィンスレットが務めています。

 

 

劇中の音楽ですが、やはり

自然豊かな山々や森が背景だった映画⇒『西の魔女が死んだ』と同じで

マッターホルンを望むフランス・アルプスの雄大な山々と

その麓に拡がる野生動物たちの宝庫、自然豊かな森を舞台に繰り広げられる

少女と野生のきつねの絆と触れ合いを描いた作品らしく

「野鳥の鳴き声」「川や滝の水音」といった自然音が印象的な作品です。

そういったことから、このレビューページのMIDIには

ヨハン・ブルグミュラー作曲『清い流れ』(自然音入り)を使用しました。

 

 

【Story&Outline&Impression/ストーリー&概要&私的感想】

 

――丸窓のむこうに広がるフランス・アルプスの山々と森――
 

…そこは、きつねと少女《テトゥとリラ》の心が通い合った永遠の場所…

 

 

主人公の10歳の少女の名前は”リラ”

”ライラック”のフランス語です。

”リラ”(ライラック)の花の色は紫色白色がありますが、この少女リラの花の色は”紫”です。

私がなぜ最初に主人公の少女の名前を書きたくなったかというと

この映画の主人公リラは映画全編を通して

殆どその名のとおり、”紫色”(リラ色)の服を着ています。

それがとてもとても印象的で暗喩的で…。

何だか深い不思議なメタファーを感じました…。

 

 

太陽が顔を出し、山々が黄金色に染まり…

その光は やがて薄い茜色に変わり、鶯色から仄かな水色に変化して…

南フランスのアルプスの山々の裾野に広がる森と丘を照らします。

 

 

そのアルプスの麓にある深い深い森を

少女リラは”紫色の服”を着て、まるで子鹿のように駆けめぐり

彷徨い、冒険して、走り抜けます。

たった一つの目的の為に。

 

 

…それは、一目で彼女を虜にした美しい一匹の野生の’きつね’を見るため、触れるため。

そして、それは深い魂の結びつき。

 

 

リラはその野生のきつねに「テトゥ」と名前を付けて

彼女の棲む’野生の世界’へと足を踏み入れていきます。

「テトゥ」を襲う危険は、同時にリラの危険にもなります。

きつねを餌として狙う山猫や狼、空からは大鷲など。

その描写、そしてスクリーンの大画面いっぱいに繰り広げられる映像美と大迫力は

本当に驚異的に素晴らしくて見る者を圧倒します!

一体どうやって撮影したのだろう?

と思わせるような目を見張るような驚嘆シーンも沢山出てきます。

とても感動的です。

季節は秋から冬へ、冬から春へ、そして春から夏へ

ふたたび夏から秋へと巡ります。

秋に初めて出逢った人間の少女リラと、きつねのテトゥは

そしてまた、巡り来る秋に別れて行くのです…。

 

 

………………………………………………………………………………

 

 

――2つの魂の絆と触れ合いを描く

                           涙あふれる、深いメディテーションの世界――

 

 

少女リラのモノローグで始まり、モノローグで終焉を迎えるこの作品ですが

この映画がそう言った生き物達の実態を描いたドキュメンタリー映画だけの枠を超えて

素晴らしく凄いと私が思ったのは、その野生動物達の世界だけの描写に留まらず

少女リラを媒体に「人間と野生の生き物」との’心の触れ合い’に迫り

そして又、それ以上の深い所にある

’魂と魂の共鳴’にまで侵入して行こうとした試みが伺えたからです。

 

 

それは時として、ミステリアスでファンタジックで

まるで幻惑的な瞑想シーンを見ているかのようにも錯覚しました…。

例えば、映画の後半でリラがテトゥを追って迷いこむ「鍾乳洞地下シーン」がそうです。

その幻想的で瞑想的なシーンから

この映画がただの「人間の少女ときつねの触れ合い」を描いた安直な映画では決してない

と、敏感な人ならばきっと感じ取ることができるでしょう。

私的には不覚にもなぜか涙が込み上げてきて胸が一杯になったシーンも幾つかありました…。

 

 

映画全編を通して登場してくるのは

少女’リラ’ときつねの’テトゥ’そして野生の動物たちです。

他の人間は(パパとママという言葉は出てきますが)全く登場してきません。

ただ、映画ラストの数カットで大人そして母となったリラ本人が

自分の幼い息子にこの「きつねテトゥと自分の物語」を話して聞かせるシーンで初めて

少女リラ役のベルティーユ・ノエル=ブリュノー以外に『クリクリのいた夏』や

『チャーリーとパパの飛行機』でも印象的だった女優イザベル・カレの顔を見ることができます。

 

 

音楽的にはアルプスの麓の深い森と山々から響き渡り

聴こえて来る「木々のざわめき」「野鳥の鳴き声」といった自然音が本当に素晴らしくて!

まるで自分が少女リラになってその場に居 る…そして、”森林浴”をしている…!

そんな気持ちになる作品です。

 

 

 

【――Summary/――最後に】

 

少女の自分になって見てください。

もう遠い遠い昔だった、10歳の少女の頃を思い出してください…。

 

あの頃、世界はどこまでも優しくて永遠だった。

あの頃、誰かと分かち合った大切なもの。

もう、手には届かなくなってしまったけれど…

決して、今も忘れてはいない。

あの温もりを…。

大切な大切な宝ものを。

 

 

 

 

 

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