――マディソン郡の橋――
<・・the BRIDGES of MADISON COUNTRY・・〉
1995年アメリカ映画/2時間15分/配給:Warner Bros.
【STAFF&Cast/スタッフ&キャスト】
監督.........................................クリント・イーストウッド
Directed by/CLINT EASTWOOD
制作...........クリント・イーストウッド&キャサリン・ケネディ
Produced/CLINT EASTWOOD&KATHLEEN KENEDY
原作.............................ロバート・ジェームズ・ウォラー
Based on the novel by/ROBERT JAMES WALLER
脚本...............................リチャード・ラグラヴェニーズ
Screenplay by/RICHARD LaGRAVENESE
撮影...............................ジャック・N・グリーン、A.S.C
Director of Photography/JACK N. GREEN,A.S.C
美術.....................................ジニーン・オブウォール
Production Designed by/JEANNINE OPPEWALL
編集.............................................ジョエル・コックス
Edited by/JOEL COX
音楽...........................................レニー・ニーハウス
Music by/LENNIE NIEHAUS
ロバート・キンケイド....................クリント・イーストウッド
Robert Kincaid/CLINT EASTWOOD
フランチェスカ・ジョンソン...................メリル・ストリープ
Francesca Johnson/ MERYL STREEP
キャロリン.........................................アニー・コーリー
Carolyn/ANNIE CORLEY
マイケル...................................ヴィクター・スレザック
Michael/VICTOR SLEZAK
リチャード・ジョンソン.............................ジム・ヘイニー
Richard Johnson/JIM HAYNIE
【Nominations&Awards&Music/受賞&ノミネート&音楽】
アカデミー賞主演女優賞ノミネート(メリル・ストリープ)
ゴールデン・グローブ賞作品賞、主演女優賞ノミネート
日本アカデミー賞外国作品賞ノミネート、ブルーリボン賞外国作品賞受賞
他全部で12の賞にノミネート&6受賞した秀作です。
公開時、日本でも大ヒットロングランした作品です。
劇中の音楽、レニー・ニーハウスのスコアも素晴らしいのですが
自らも演奏する’ジャズ通監督としても知られる、クリント・イーストウッドの選曲となる
数々のジャズの名曲Love Songが聴けます!
例えば…
キッチンでフランチェスカとロバートが、水色の草花が置かれた食卓をはさんで
二人が会話するシーンでラジオから聴こえて来るのは…
ダイアナ・ワシントンが歌う「Blue Gardenia」
他にも、二人のダンスシーンでは「I See Your Face Before Me」
ドライブ途中、立ち寄ったクラブでは…「For All We Know」など
徹底して、通を唸らせるジャズの名曲が散りばめられ感嘆させられます…vv
そんな数々のジャズLove Songsの中にあって
効果的に使用されているクラシックが、このレビューで聴こえている曲(MIDI)
サン=サーンス作曲の「サムソンとデリラ/あなたの声に心は開く」(Mon couer s'ouvre a ta voix)です
【Story/映画ストーリー】
――それは、この世に生まれてきた意味を
教えてくれた4日間の恋――
きらめくような思い出を胸に、彼女は最後の瞬間まで愛に生きた…
1998年の冬
フランチェスカ・ジョンソンの葬儀を出すために集まって来た子供達
キャロリンとマイケルは母の遺言に戸惑っていた。
’私が死んだら火葬にして、その灰をローズマン橋から撒いて欲しい…’
最期まで良妻賢母だった母の意外な申し出に困惑する二人の前に
弁護士から小さな鍵が渡される。
その鍵は生前、母が誰の目にも触れさせることなく大切にしてきた木箱を開けるものだった。
箱の中身はカメラ、雑誌(ナショナル・ジオグラフィック)、古い手紙、日記…
そして、子供達に宛てたフランチェスからの手紙。
キャロリンとマイケルは当惑しながらも、フランチェスカの日記を読み始める――。
日記には1965年の秋の4日間の
母の秘めた恋が切々と綴られていたのだった。
それは決して叶わなかったけれど、紛れもない母の永遠の命の証しだった……
【Impression/私的映画感想】
トウモロコシの穂がきらめく農場…
二人を結びつけた、ローズマン・ブリッジ…
そして、別れの92号線――。
1995年の公開時、この映画を映画館で見て感動した人は多いと思います。
私もその中の一人です。
多くの人が見て感動すると同時に、フランチェスカの生き方に賛否両論も出た作品でした。
なので、まず’フランチェスカに対する私的な解釈’を少し記します。
主人公のフランンチェスカは平凡な主婦として穏やかな毎日を送りながらも
心のどこかで、これは自分が少女の頃に夢見ていた生き方ではない…と気付いている。
そして眠くなるような日常の底に、ほとばしる情熱を秘めている。
そんな彼女がある日
思いもかけない偶然の出会いから一生に一度の恋に落ち
誰も止められないほどの感情を味わいながらも
しかし、彼女は愛した男について行くことを諦める…
そして、彼とのたった4日間の思い出を糧にその後の20数年間を生きていく…
フランチェスカは大人の女性で
夫や子供への責任を全うしたからだけではなく
自分の欲しい物を手に入れることに腐心する現代的な若い女性ではなかった。
彼女は’心が通じ合った4日間’を疑うことなく信じ続け
会えない時間の中で、愛をさらに深く育んでいける女性だった。
それは…
大人の女性だけが持つ、「激しさと潔さ」なのだ…と、私は思っています。
この映画には
4つの「素敵なアイテム」が登場してきます!
@は…『ナショナル・ジオグラフィック』
Aは…『カメラ・ニコンF』
Bは…『W.B.イェーツの詩集』
Cは…『フランチェスカのペンダント』
ですが、、、
なかでも
Bの『W.B.イェーツの詩集』
散歩のシーンや、フランチェスカがロバートを誘うメモに「さまよえるアンガスの歌」が引用されています。
――蛾に似て星のまたたけば。…時の滅ぶまで摘みとらん、月の銀の林檎を、陽の黄金の林檎を――
イェーツ(ウィリアム・バトラー・イェーツ)はアイルランド出身の詩人で
私的にも大好きな詩人なので、特に強烈な記憶として残っています。
Cの『フランチェスカのペンダント』
劇中、雨の降る交差点でロバートがバックミラーにペンダントを絡ませるシーンに
それはとても印象的に映されます。
映画史上、永遠に語り継がれる別離の名シーンだと思っています。
この映画の魅力の全て…
舞台となった、誌的な美しさに充ちているアイオワ州のマディソン郡の風景
(Covered Bridge)屋根つき橋、ローズマン橋とホリウェル橋の神秘的な景観
フランチェスカを演じるメリル・ストリープの類い稀な演技力
そして、描かれた彼女のたった4日間の真実の恋…
クリント・イーストウッドの天才的な映画作家人としての才能が開花して
見事に凝縮した映画史に残る名作です。