※※※※※※シルク※※※※※※![]()
<・・SILK・・〉
<・・SETA・・〉
<・・SOIE・・〉
2007年カナダ・フランス・イタリア・イギリス・日本合作映画
カラー109分
【STAFF&Cast/スタッフ&キャスト】
監督............................................................フランソワ・ジラール
制作.......................................ニヴ・フィックマン/ナディーヌ・ルケ
....................................................ドメニコ・ブロカッチ/酒井園子
原作..........................アレッサンドロ・バリッコ『絹/SETA』(白水社)
脚本......................フランソワ・ジラール&マイケル・ゴールディング
撮影................................................................アラン・ドスティエ
衣装デザイン.....................................カルロ・ホジオリ&黒澤和子
プロダクションデザイン...............................フランソワ・ゼキュリアン
編集.............................................................ピア・ディ・キアウラ
音楽.........................................................................坂本龍一
Cast
エルヴェ............................................................マイケル・ピット
エレーヌ..........................................................キーラ・ナイトレイ
原十兵衛...................................................................役所公司
絹のように美しい肌を持つ少女.........................................芦名星
マダム・ブランシュ........................................................中谷美紀
バルダビュー.................................................アルフレッド・モリナ
ジョンクール町長............................................ケネス・ウォルッシュ
ルドヴィック....................................................マール・レンドール
【Nominations&Awards&Music/受賞&ノミネート&音楽】
2007年《東京国際映画祭》のクロージング作品、トロント国際映画祭正式出品
ローマ国際映画祭でプレミア上映、日本では2008年1月19日より公開
音楽は「戦場のメリー・クリスマス」の日本の作曲家、坂本龍一です。
彼の曲は最近でも、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督映画「バベル」で
『美貌の青空』が使用され印象的でした。
また「ラスト・エンペラー」ではアカデミー賞作曲賞を受賞しています。
その日本が世界に誇る作曲家、坂本龍一がこの映画でも
哀歓と甘美を同時に感じさせられるような
ミステリアスで美しいスコアを全編響かせてくれています。
それはまるで魔力的なヒーリングのように、映画全体を牽引しています。
尚、このReviewページのMIDIは
私的に映画から受けたイメージに近いと感じた
モーツァルト作曲の「幻想曲ニ短調」を使用してみました。
【Story&Outline/映画ストーリー&映画概要】
――あなたの幸せのためなら、ためらわず私を忘れてください――
…サカタ…シナノ…モガミガワ
…奇妙な景色…不思議な人々……
アレッサンドロ・バリッコのベストセラー叙事詩的短編小説の映画化で
日本では白水社から「絹/SETA」と言うタイトルで出版されています。
アレッサンドラ・バリッコは他にも、
ジュゼッペ・トルナトーレ監督の映画「海の上のピアニスト」の原作者です。
同作も当時、映画化困難とされた戯曲でしたが
この『シルク』も同じで
あの独特の雰囲気を持つ幻想的な世界を映像化
映画化するのは大変難しい、と聞いてましたし個人的にも思っていました。
が、その懸念を完全に払拭して、見事に映像化してくれています!
監督のフランソワ・ジラールは
1998年の『レッド・ヴァイオリン』も素晴らしい作品で大好きな1作です。
ヴァイオリンを廻って、17世紀のイタリアからオーストラリア、中国
そしてカナダと繰り広げられるミステリアスな物語性にとても惹きつけられました。
その『レッド・バイオリン』を見た時
彼については’映像作家’として、とても多元的で’詩的な映像描写’を得意とする監督だと直感しました。
その直感と期待を裏切らないばかりか
今回は、それ以上の秀逸な美しさに彩られた作品に仕上げてくれてます。
物語は主人公の青年エルヴェの回想モノローグで進行していきます。
エルヴェが蚕と’Silk(絹)’に魅せられ…
フランスからヨーロッパを縦断して、シベリアを経て船の帆を張り日本の山村へと…
彼には美しい妻エルヴェがいるのにもかかわらず
辿り着いた雪深い日本の山村で
廻り逢った一人の美しい少女に心惹かれる…
そんなミステリアスで幻想的な純愛を描いているのです。
フランスを含め欧州シーンは印象派の画家’モネの絵画’を
日本のそれは’水墨画’をイメージして描かれた、美しい映像美です。
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Story
19世紀のフランス
戦地から戻ったばかりの若き軍人エルヴェは、美しい娘エレーヌと出会い
恋に落ち、やがて結婚する。
そんな矢先、村で蚕の疫病が発生しエルヴェは美しい絹糸を吐く蚕の卵を手に入れる為
海を渡り、砂漠を越え、遥か極東の国―日本へと…。
そこで彼は、もう一つの運命的な出会い
――絹のように美しい肌を持つ少女に出会う……
【Impression&Interpretation/私的映画感想&解釈】
――それは、シルクワームと東洋の神秘に魅せられた青年が辿る心の軌跡――
――そして…紡がれる幻想に充ちた永遠に続く’愛の邂逅’――
物語の主な舞台は19世紀のフランスと
明治維新直前の幕末頃の日本です。が…
それはそれは美しく筆舌しがたいほど流麗で魅惑的な映像美を見せてくれてます。
どのシーンもどのシーンも
まるで’貴重で美しい絵画’を見ているようなシーンの連続。
瞬間、瞬間、シークエンスの1コマ1コマのカット割りの美しさ…!
それら全てに言葉を失うほど感動して無我の境地で魅入る映画でした。
そして又、その素晴らしく美しい映像に終始添うように耳に届けられる坂本龍一の音楽。
その美しいスコアが映画全編を取り巻いているのですから
もう完璧な’美の極致’と言った感じです。
ただ、深く強く’感性’に働きかけてくる映画なので
別の意味では、好き嫌いの分かれる作品かもしれません…。
又この映画は「絹と蚕」の糸に手繰りよせられた男女の
’不思議な邂逅’と’永遠の褪せない愛’を描いています。
この世でその’人と人の邂逅’ほど不思議なものはありません。
映画ラストで明かされる’手紙’の真相と謎に驚嘆した後
訪れる深い悲しみの涙と
永遠の愛の感動を是非多くの人に味わってほしい作品です。
主演のマイケル・ピットは私的には良くも悪くも
ベルナルド・ヴェルトリッチ監督の問題作『ドリーマーズ』が強烈だったのですが
この作品では
2人の女性の間で揺れ動く微妙な役所を寡黙で繊細な演技で演じています。
そして、彼の妻を演じるキーラ・ナイトレイもとても素晴らしいです。
こんな押えた演技も違和感無く演じられる女優だったのだ…と感動しました。
国際色豊かな映画に相応しく日本からも
役所公司が蚕を媒体にマイケル・ピットと繋がる闇の権力者を存在感豊かに演じてますし
彼の妻として使える少女役には
この映画で抜擢された新人女優、芦名星が
神秘的でミステリアスな役柄をとてもイメージ豊かに演じてくれてます。
劇中、キーラ・ナイトレイ扮するエレーヌは
’百合の花’が好きで庭園に’百合’を一杯育て植えるのですが
その美しい’庭園の映像美’にも注目して見てほしい映画です。
ラストのシーン…
彼女の眠る廻りを囲む一面の’百合の花の香りと映像’に涙しながらも酔うような眩暈を覚えました。
美しい、とてもとても美しい、そして哀しみに溢れたラストです…。
卓越した映像美と音楽のコラボレーションが成し得た
類稀な美しい’絵画’のような’詩’のような、清廉で秀逸な作品。