橋梁用語解説


橋梁原寸に関わる人なら、最低限知っておいて欲しい用語を掲載しました。
(アイウエオ順に並んでいます。)
これは違う、あれも知りたい・・・等あれば、メール下さい。

アーチ 半円の支材が創る景観が映える構造…これがアーチ構造の橋です。
  一般にアーチ橋は、ローゼ、ランガー、タイドアーチに分類されます。
  ニールセンという言葉も耳にしますが、これは、吊り材の構造です。
  詳しくは、松尾橋梁(株)さんのHPを見て頂ければ、少しだけ、分かった気持ちになれます。
  http://www.matsuo-bridge.co.jp/japanese/jigyo/bridge/bri-top.html
  いずれも、橋を支えるアーチが、虹の形をしているため、橋らしい橋…だと思います。
  これを造るとなると、それなりに大変です。
  まず、それ専用のシステムは有りません。(鋼橋全体に占める割合が少ないため?)
  荷重がどの方向にかかるのか、キャンバーはどの方向にかけるのか。
  輸送は?架設は?と考えると、つまらない製作不良を発生しやすい構造です。
  やっとの思いで現地架設…と思ったら、ソールPLの不良で、架設中断。
  そんな、笑えない不良が起り易い橋…かも知れません。
   
穴明け・孔明け ”あな”を漢字で表すと、”穴”と”孔”が有ります。
  一般に、切断によって作られるあなは”穴”、ドリルによるあなは”孔”と表現しています。
  (もしかしたら、私だけかも知れませんけど…。)
  どちらも円形なので ”どっちでもアナはアナ”と思われがちですが…。
  例えば、100Φのアナが必要な時、精度が必要ならドリルが必要です。
  そこで考えて欲しいのは、”当社の工場に100Φのドリルが有るのか?”なのです。
  多分、50Φを越えるドリルを常備している工場は少ないはずです。
  ドリルは、耐久性を要求されるため、高価というのが一般です。
  滅多に使わない物を工場に置くことは、一般には皆無です。
  もっとも、ある国では、ガス切断で”孔”を上手に明けるらしい…。
  ある国とは日本ではないと思うのですが…その道のプロは、どこへでも居るようです。
   
糸面 鉄板には、”板厚”と言われる厚みが有ります。
(いとめん) 橋梁用に使用される鉄板は、フィラープレートでもない限り、4.5mm以上の厚みが有ります。
  一般に、”糸面取り”とは、”バリ取り”と同じ目的で行われます。
  美観と安全性…鉄の角が尖っていたり、凸凹だと不都合が有る訳です。
  鉄は、刃物やノコギリになるくらい、危険な一面が有ります。
  だから予め、刃を落とすのが”糸面取り”で、ノコ目を落とすのが”バリ取り”です。
  糸面取りは、1Cとか1.5Cとかいう数値を目標に行われます。
  鉄の角に、1mm(正確には1.4mm)の平面を作る…それは、まさに糸のような平面ですね。
   
ウェブ・フランジ ウェブは姿、フランジは広がりを意味します。
  一般に、橋の姿は側面から観た姿と考えられます。(長さが分かる方向)
  道の幅は?と考えれば、これがフランジなのだと想像出来ます。。
  車で橋を渡りながら”この橋の姿は素晴らしい”と言うと、”展望場に行きましょう”と言われます。
  ちなみに、形鋼のサイズ表記はウェブ×フランジ×ウェブ×フランジの順です。
  CT144×204×12×10に表記で、”えっと、ウェブの板厚が200…”では”フ・フン”です。
   
裏当金 フルペネなのに裏ハツリが出来ない…そんな構造は多々有ります。
(うらあてがね) 裏ハツリを人間が行う限り、人間の手が届かない箇所が有るからです。
  では、裏ハツリなしで完全溶込溶接を行うには?と考案されたのが裏当金です。
  要するに裏面を付き抜けるくらい開先を深くしてしまえば不完全な溶接面が無くなる。
  だからと言って、本当に突抜けては切断になってしまう…。
  では、あらかじめ裏側に突抜け防止の鉄板を付ければ、溶接箇所は完全に溶け込む…のでは?
  ”?”なのは、裏当金(チル)溶接が準フルペネと言われるゆえんです。
  不可能を可能にする場合は、時として、? が暗黙の了解になることも有るのです。
   
裏はつり 一般に ”ガウジング”、単に”ハツリ”とも呼ばれる、溶接に必要な作業。
  フルペネ(完全溶込溶接)という言葉が出れば、橋に限らず必要な作業です。
  高電流で溶かした鉄に高風圧を与えると、あたかも水のように飛び散ります。
  この原理を応用して、不完全な溶込溶接を無くすのが、裏はつりです。
  鉄板同士を完璧に接合する事は、ボンドや糊を使うように簡単では有りません。
  その意味で溶接という技術は、鉄を溶かして接合する高度な技術です。
  しかし単純に鉄板の両側から溶接しても、鉄板の真中辺りを溶け込ませる事は困難です。
  それならば表面を溶接し、裏面から溶け込んだ部分が出るまでハツル。
  それから、ハツった部分を溶接すれば、完全に鉄板同士が接合出来るという訳です。
  もっとも、ハツル=ツルハシなんて思っては、手のひらにマメがいくつ出来ても足りません。
  また、ハツリ面をどちらにするかを検討しないと、”お前、やってみろ!”と、怒られます。
   
横断勾配 橋の幅方向の高低差を表す勾配で、一般に製作時は、一定勾配では有りません。
  カーブ橋なら、”バンク”といわれる勾配、直橋なら、雨天に対しての”排水勾配”が付けられます。
  排水勾配は、2%も有れば良いため、RC床版側で勾配をつけることも有ります。
  しかし、鋼床版では、舗装厚を一定にするため、鋼桁側で勾配をつけるのが一般的です。
  縦断勾配と横断勾配の有るBOX構造は、案外、悩ましいものです。(フランジが変形する)
  まれに、10%近い横断勾配の橋が現れると、まず、笑っている人が居なくなります。
  断面図面には、一定の勾配が描かれていても、実は、キャンバー差が有ったり…。
  原寸検査時に0.1mmの話題が出ると、担当者は苦労します。
  橋示方書に許容誤差が書かれていても、その根拠を理解することは”たいへん”なのです。
   
応力 一般に、圧力(stress)に応える力を意味する用語です。
(おうりょく) 引張り応力、圧縮応力、曲げ応力、許容応力度、応力集中…等、様々に使われます。
  ”物理用語など分からない”のが普通ですが、これで痛い目に合うのが、引張りと圧縮です。
  橋は、支点部と支点間では、逆の力が作用します。
  主桁の上フランジ側と下フランジ側も、同様に逆の力が作用します。
  下フランジで考えると、支点部は圧縮応力が作用し、支点間では引張り応力が作用します。
  それによって、水平補強材の取り付け位置、垂直補強材の形状、縦リブの本数等が決まります。
  図面に”圧縮部、引張り部、交番部”という表現でタイプ分けをされていたら要注意です。
  図面には、ここからここが圧縮で引っ張りで…とは書いてないのが一般ですから。
  ちなみに、それを的確に答えられる人が多くないのも現実のようです。
   
ガーダー(主桁) 橋の姿と強度を決める最も重要な構造なので、”主”桁と呼ばれます。
  汎用的な橋梁システムでも、主桁くらいは、それなりの展開計算が行えます。
  (主桁の展開が出来ないシステムは、橋梁システムとは言えないかも知れません。)
  図面でみると、単なる”矩形(長方形)”に見える主桁部材も、原寸上は変形しています。
  客先に”ここの角度を教えて下さい”と言われて”90度!”と答えては初心者です。
  相手は、直角に決まっているところをわざわざ尋ねません。
  分からなくても”限りなく90度に近いと思います。”と言えば信用されます。
  その後は、90度で主桁を作っても、”誤差…”という言葉が、あなたを救ってくれることも有ります。
   
格点 格子状に有る点…には違いないのですが、これ無くして橋梁は作れないと言っても過言ではない。
  橋梁設計は、地形図を元に道路線形を決めると、まず、格点座標の算出が必要だからです。
  道路線形を橋軸方向におよそ4〜5Mピッチで分割して、各々の座標を求める。
  求めた座標に従って、主桁や断面の形状を決める。
  要は、橋の形を決める、唯一無二の要素が、格点の座標なのです。
  格点が決まらないとキャンバーも付加出来ないし、製作した物の検査も出来ない。
  格点座標が無いから、取り敢えず図面通り作る…のは、ベテランかまったくの初心者です。
  ベテランは、格点座標の影響が無い箇所を知っているから良いのですが…。
  まあ、初心者のうちは勉強だから、もう一度作り直す覚悟が有れば良いのです。
   
加工系列 加工系列を知らずに原寸資料を作成すると、必ず、客先が溜息をつきます。
  加工系列とは、各工場の設備に合わせた、加工の順番です。
  同じ会社でも、A工場とB工場では設備が違うので、当然、加工系列は異なります。
  それを知らずに資料を作ると、”他の工場では作れるのでしょうが…”と、いう事です。
  一般的な主桁は、マーキン>切断>板継>孔明け>剥離>溶接>組立の順。
  しかし、板継>孔明け>剥離>マーキン>切断>溶接>組立になると資料はまったく違います。
  原寸=加工系列…そう言っても過言ではないと思います。
   
架設・仮組み 一般に、架設現場と言えば、橋を架ける場所の事を指すようで、仮組みとは区別します。
(かせつ) 時々問題になるのが、架設時は2点支持なのに、仮組みは多点支持です。
  架設時には製作キャンバーが下がるのに、仮組みでは下げない事でも混乱します。
  極当り前のことのようですが、時々、勘違いをされている方が居ると大変です。
  ”何故、仮組みを2点支持でやらないんだ?”とかいう話になると最悪です。
  工場では、効率と安全を優先するので、必ずしも架設と同じ条件で仮組みをしません。
  じゃ、架設現場は効率が悪く、危険なのか?
  実際、架設現場での災害の方が、工場での災害より多いと思います。
  まだまだ橋梁製作には、改善の余地が有る…という意味だと思います。
   
下部工 一般には、”橋脚”のことを指していると思います。
  橋の足…要するに、橋の乗っている、台です。
  コンクリートの橋脚(橋台)は、明らかに下部工と呼ばれています。
  しかし、鋼構造の橋脚を指して”下部工”という表現を、聞いたことが有りません。
  ちなみに、橋脚の下には、アンカーフレームが地中に埋まっています。
  アンカーフレームは、”地下工?”、聞いたことが有りません。
  ”この下部工の用地買収はこれからだ!”という不思議な話は、時折、耳にしますが…。
   
CALS 建設CALS(カルス)/ECというのが正式な呼び名らしいです。
  CALSというのは、元々、アメリカ国防総省で生まれた言葉です。
  現在に至るまでに、何度かその意味も変化したらしく、本当は何なのかよく分かりません。
  ”公明で、迅速な、電子商取引”とでもいう意味でしょうか?
  公共事業を分かりやすく、効率的に推進したい、国土交通省の意気込みがCALSです。
  ”インターネット(通信技術)とCADデータの標準化”これがキーワードです。
  橋梁業界は、業界標準の獲得に向けて、各社がしのぎを削っています。
  いずれ、CPMとMS-DOS、ベータとVHSのような、覇権争いが始まるのかも知れません。
  業界にとっては、それがいい意味での刺激になると考えられます。
  尚、CALSの最新情報は、http://www.moc.go.jp/tec/cals/index.htmをご覧下さい。
   
側縦桁 ”即、縦桁”と叫んでいても何故か通じてしまう有名な構造物。
  正しくは、”がわたてげた”らしいのですが、耳桁、ストリンガーなどでも通じます。
  道路の幅員を確保するために、準主材として設けられる構造です。
  ちなみに、中縦桁もストリンガーと言いますが、”鼻縦桁”とは言いません。
  準主材という事で、安易に直線勾配で作成すると、バンクによるハンチが目立ったりします。
  また、一般に中縦桁はコネクション取合いが多いので、組み立て時に苦労が有るらしい。
  仮組み場で何かの削り屑が落ちてるのは、縦桁の付根付近だったりして…。
   
CAD 支間長数Kmの長大橋の製作を可能にしたのが”CAD” コンピュータです。
  なにしろ、1Mで1mmの誤差が、1Kmでは1Mになるのです。
  大地震が起っても長大橋を完成出来たのは、1Mで0.1mm以下の精度が維持出来たからです。
  それでも、CADに批判的な意見は根強く有ります。
  ”CADを使うと、光沢が良くない”と自動車製作の現場で言われたのは、15年前です。
  それはCADの使い方の問題…なのですが、橋も最後は”美観”です。
   
CAM 橋の製作で機械化といえば、罫書き、切断、孔明け、溶接、曲げの分野で進んでます。
  その内、罫書きと切断は、一つの工作機で連続して行えるようになりました。
  切断は、ガス、プラズマ、レーザーの3種類が主流です。
  どれも一長一短が有りますが、レーザーのチャージが一番高いようです。
  複雑な形状は、NCデータを使って切断します。
  NC切断は、手動切断より精度が良いとされているため、橋示方書も、基準を分けています。
  自動孔明け、自動溶接は、どの橋梁メーカーも取り組んでいます。
  曲げといえば、Uリブ作成機が主ですが、これは、あまり見かけません。
  もっとも橋梁メーカーのNC化は、自動車や電機に比べると、まだまだ…かな?
   
キャンバー 製作時のキャンバーは、死荷重に対して付加されます。
  橋自体の重さを死荷重、自動車や降雪等の重さをその他の荷重と理解すれば良いでしょう。
  橋の設計図は、死荷重がかかった状態で描かれています。
  そのため、一般には、橋の中央を持ち上げて(側面でのソリを付加して)作成します。
  つまり”キャンバーかける”と言えば、”複雑な計算が、別途必要”と言うことです。
  図面通りに物を造ることは、案外難しい事です。
  しかし、図面通りになるように、図面と異なる物を作るのは、一層難しいです。
  ところで、時折見かける”その他の荷重”というのが何なのか私には分からない。
  活荷重が”A”か”B”かで橋の値段が大きく変るのに…”その他”は、”おまけ”かな?
   
橋門構 アーチ橋、トラス橋に特有な構造です。
(きょうもんこう) 文字通り、橋の門…橋の入り口を構成する構造です。
  別段、他の構造に比べて、とびぬけて複雑…というわけでは有りません。
  それなのに、”橋門構”と聞くと、何故か多くの人が尻込みします。
  橋門構は、フランスのパリで言うと”凱旋門”です。
  はしにとって、”顔”の部分は、当然、それなりの精度と見栄えを要求されます。
  ”うちの橋の顔に泥を塗った!”と、言われるような、危ない橋を渡りたくないのが…本音?
   
隅角部 一般には、アーチ桁と補構桁とが取り合う箇所、を意味します。
(ぐうかくぶ) ここの構造は、見た目以上に難解で、それ故出来てしまえば、”誤差”の一言が幅をきかせます。
  アーチ桁と補構桁のキャンバーが異なるのに、双方を満足する構造。
  これが、隅角部が悩ましいと言われる原因です。
  ”隅角部だから、1ブロックだけだし…”と言われて、2日仕事と思うと大変です。
  誰にも分からない…だから、誰もGOサインを出せない。
  ”図面保留”の一言が言い渡されると、保留解除は、切断開始の1日前です。
   
クロソイド 自動車の車輪(4本のタイヤ)で描ける自由曲線。
  俗に、スプライン曲線とは異なります。
  線形的には、平面曲がりを表す用語で、VCL、VCRの側面曲がりと共に重要です。
  実際の製作時には、これが有るだけで、3倍の労力と知識が必要になります。
  ”曲線ならば得意”と思う前に、どの自動車の車輪なのかを考えましょう。
  尚、”クロソノイド”は、別の分野での専門用語なので気をつけましょう。
  また、”VC”はバーチカルカーブ、”L”はレングス、”R”はラディアス…ですよね?
   
計測ナット 正しくは、計測用ナットですが、何を計測するのかが分かれば簡単です。
  RC床版桁では、床版の”ハンチ厚(床版厚)”、鋼床版では”アスファルト厚”です。
  鋼桁の上面に、M20程度のナットを、一定間隔で溶接しておきます。
  そこに、定められた首下長のボルトを現地で立てます。
  コンクリートやアスファルトを埋めて、ボルトの上面だけ見えれば合格です。
  一般に、橋梁製作工場(特に原寸)では、”計測用ボルト”の話題はあまり聞かれません。
  だから、スラブアンカーと干渉しても、”まあ、分からないでしょうから…”とか言われます。
  所詮、道路の下に埋まってしまう物でも、”付けられない”のは困るのですが…。
   
ゲージ・ピッチ ボルト群で鉄板同士をつなぐ場合、ボルトを通す孔群が必要になります。
  その孔群の列を孔ゲージ、孔ピッチと呼びます。
  実は、このゲージとピッチは、応力の伝達方向と直角方向で使い分けが有る?
  詳しいことは、橋示方書で勉強して欲しいのですが、実際私もよく分からない。
  橋梁システムのマニュアルは、その辺りを曖昧に説明しているようなので余計に分かり辛い。
  孔列をつないだ線がゲージで、孔の間隔がピッチでも良さそうですが?
  気を付けないと電話で話して、”ピッチ75”を縦横逆に設定なんて事が有りそうです。
  ちなみに、一旦明けた孔を”間違ったから直して下さい”なんて言うと、一発で信頼を失います。
   
検査路 橋は、その耐久性と安全性を保つため、定期的に検査が必要です。
  車の通る道路に問題がなくても、実際の橋を構成する”桁”に問題が有れば、重大です。
  桁を道路から検査することは、まず、不可能だと考えられます。
  そのため、桁を見渡せる、検査用の”路”が、道路の下に設けられます。
  人が歩ける程度の、まさに”路”なのですが、そこを通れば、通行料は無料です。
  勿論、一般の人が歩いていて、関係者に見つかれば…怒られます。
   
現尺型 読んで字の如く、実際の大きさの型(モデル?)です。
  紙…では破れるので、薄いセルロイドの上に描いた画を指します。
  勿論、一分一の大きさなので、橋全体の現尺型を見たことは有りません。
  しかし、橋の歪みや折れは、結構、現尺型で見つかることが多いのも現実です。
  時々、CADの画面の倍率を上げれば、これが見えると思われている人が居るようです。
  拡大に拡大を重ねると、確かにCAD上の線が歪んでいるのが見えるのですが…。
  ふと、倍率に目をやると1000倍だった…のは、遊んでいただけと言われます。
   
鋼種選定基準 一般に、図面に描かれたプレートの板厚と材質は正しいと思われている人。
  設計変更時に板厚だけが変更されている時は、あなたにも照査義務が有るのです。
  ”そんな事どこに書いて有るの?”と思われる人は、やはり道路橋示方書です。
  普通材質と耐候性材質の違いで、16ミリ辺りを境に、使える材質の明記が有ります。
  ”こんなの覚えられない”と諦めずに、そんな事も書いて有ったと記憶することが肝要です。
  勿論、設計担当者は知っているのが当り前なので、滅多に間違いません。
  ですが、極稀に”誤記”が発生すると、そのままの図面が流れます。
  材料発注の関所をも通過した誤記が、あなたの力で発見出来たら、素晴らしいでしょ?
  (もっとも、その時点では既に遅いかも知れないけれど…。)
  主構造の部材は、必ず、ミルシートが添付されるので、いずれ間違っていれば分かります。
  しかし、それが検査の時点よりはましでしょう?
  少なくとも、それくらいの意識を持てば、あなた自身の作業も正確になります。
   
合成・非合成 合成・非合成を知らない原寸作業者が多いのは、設計の所掌範囲…の錯覚が有るからです。
(ごうせい) 主桁の上フランジの板厚をみて、”設計が照査してるから” と思う人は失格です。
  一般に合成桁の上フランジは、下フランジの板厚に対して薄いはずです。
  対して、非合成桁の上フランジは、その限りではないはずです。
  合成桁はスタッド、非合成はスラブアンカー…(スタッドは沢山付くから縮みも出る)
  施工延ばしの量が、工事毎に違うのかも、こうした基本構造の違いが大きいのです。
  多分、突き詰めれば両者の違いは、もっともっと有るはずです。
  せめて、図面をもらったら”合成?非合成?”を確認してから、照査しましょう。
   
鋼面処理 両面ジンク、片面ウォッシュ、片面ショット…等、鋼面処理は複雑です。
(こうめん) ジンク、ウォッシュは、鉄板表面の”さび止め”の処理材名です。
  俗に、”ショット(ブラスト)”は、鉄板の表面をザラザラにして、摩擦を増やす鋼面処理です。
  発注先の基準書によって、どの時点でショットをかけるかも決まっているようです。
  一般に、鋼面処理のされた鉄板に、物を溶接すると、ガスの影響で欠陥が出ます。
  そのため、鋼面処理材を、”はぐ”作業(剥離処理)を行わなければなりません。
  おかしな話ですが、パウダーでNC罫書きされた線を、鋼面処理材と共に消すのです。
  (最近のNC罫書きは、先に自動剥離してから、罫書きを行っているようですが…)
  剥離作業は、その手間よりも、粉塵による影響が問題になるようです。
  溶接して塗装だけ…という訳にはいかないものです。
   
高力ボルト ボルトなんか、そこらにいくらでも転がっているもの…そう思ったら大間違い。
  橋梁でいう添接ボルトは、F10TとかS10Tとかいう、特殊?なボルトです。
  これは、ある一定の力(トルク)で締めると、2度と使えないボルトです。
  だから、仮組みの際は、仮ボルトといって、本番とは違うボルトを使うくらいです。
  仮ボルトはそこらに転がっていても不思議ではないのですが、高力ボルトは違います。
  勿論、近所のホームセンターには売ってないし、現地で足らないなんて事になると一大事。
  たった1本のボルトを持って、夜行列車に飛び乗った人は、大勢居るはずです。
  かつて私も、1日に2度、新幹線で現地までボルトを届けに行った覚えが…。
   
跨線・ 跨道橋 ”跨”は、読んで字の如く、またぐの意味。
(こせん・こどう) 線路をまたげば跨線橋、道をまたげば跨道橋です。
  元々、橋は何かをまたぐので、なんだそんなことか…と思うのが普通です。
  しかし、ここで考えなければならないのが、線路=鉄道=JR…世界一の時間厳守!!
  橋の架設が有ろうとも、列車を止めることは、ご法度です。
  クレーンが使えない架設は、とんでもなく大変です。
  跨線橋=手延べ工法が即座に浮かべば、一人前かも?
   
コネクション 橋梁では、コネクションプレートのことを指しています。
  鉄板をT字型に接合する際、ボルト締めを可能にする鉄板を指すようです。
  ボルト締めは、火を使わないので重宝されています。
  (”コネクションが必要”と言われて、飲食店の情報収集に走らないで下さい。)
  ちなみに、コネクションやガセットは、”宙ぶらりん”の位置に取り付けるのが一般的です。
  他部材の配置線との相対位置が直感的に分かり難い…その上、孔が有る…誤作が多い。
  また、縦断が大きく、断面に斜角が有れば、横桁ウェブに付くコネクション配置線は水平にならない。
  ”縦桁の下フランジに取り付け度の意味?”では、初心者と言われても仕方有りません。
   
座標 橋梁原寸で使用される座標は、線形座標(完成系座標)に対して製作座標と言われます。
  線形座標は、大座標(測量系)と小座標(数学系)の2通りの表現方法を使用しています。
  いずれも、格点と呼ばれる位置の座標をX,Y,Zで表現しています。
  大座標は、地球の経線(子午線)と緯線を基準にしているらしく、一般の計算に向きません。
  小座標は、大座標の任意の座標を基準にして、計算し易く変換した座標です。
  製作座標は、線形座標にキャンバーを付加し、格点以外の座標も計算した座標です。
  原寸の線形計算を行う際は、まず、与えられた座標が、大座標か小座標かを判断します。
  与えられた座標が、小座標でZ値はウェブ天端であることを確認して一安心。
  本当に怖いのは、”この座標で、橋が造れるのか?”なのですが、それは悩ましい問題です。
  なにしろ、格点と呼ばれる点は、4〜5M前後の荒いピッチです。
  その間の座標は、格点座標の流れを照査して、”スムーズ?”になるように造るのが一般的です。
  ”この座標ではスムーズにならない”と言うあなたの言葉を、設計担当者が信じてくれたら一人前です。
  十中八九、”スムーズにするのが、あなたのお仕事でしょう?(間違い無い)”と言われるはずです。
   
三角関数 原寸では、TANとCOSの電卓計算が必須です。
  もっとも、TANが分かれば、なんとかなる…のも確かです。
  CADだシステムだのの現在でも、勘違いを検証するには、電卓が重宝です。
  鋼橋製作は、必ず、勾配と取り付け角度が問題になります。
  一番大切な、”角度”を、%表示したり、度分秒で表示したり…ひどいのは”ラジアン”です。
  工場内で分度器を持って、角度を測ることは、皆無です。
  サシガネで、100でいくら…これが一般的な角度計測です。
  ウソだと思うなら、誰もが喜ぶ角度定規を作りましょう。
  それだけで、日本の製造業に技術革新がおこり、あなたは、特許で一生安泰です。
  ちなみに、エクセルで三角関数を使う際は、全て”ラジアン”を対象にしています。
  夢々、デグリー表記の数値をそのまま使用するなんて事が無いよう、気を付けましょう。
   
死荷重 デッドロードとも呼ばれ、橋梁製作において知らないでは済まない言葉です。
(しかじゅう) 確かに、死荷重=製作キャンバーだと考えても、橋は作れなくもないのですが…。
  一般に、死荷重とは”橋そのものの重さ”と解釈すれば良いようです。
  勿論、何百トン、何千トンの世界ですが、図面では、10ミリとか20ミリで表現されます。
  これは、鉄の特性(弾力性)に関する数値なので数値が小さいのですが、間違えると大変です。
  だって、何千トンの橋を、あなたは1ミリでも持ち上げる事は出来ないと思うので…。
   
支点上の転び量 俗に”端転び量”と言えば、たいていの橋梁メーカーでは理解されます。
  橋がその自重でたわんだ時に、鉛直に作るべきものが、鉛直になるための、”回転量”です。
  端支点であれ、中間支点であれ、橋は、橋脚の上の一点を中心にして必ず回転します。
  中間支点は、その量が通常、1mm、2mmの話だし、目立たないのであまり問題になりません。
  しかし、端支点部は、桁端と橋脚が鉛直・平行でなければなりません。
  端支点部は、10mmとか20mmとかの量なのですが、この説明が厄介です。
  ”理屈はどうなのか”ではなく”実績としてこうだ”と言うのが、各橋梁メーカーの実状のようですが…。
  むやみに”精度誤差”と言えば、検査で冷や汗が出るし、説明難しいし…悩ましい数値です。
  だって、単純に考えても、端支点はソールPL(固定)なのに、転び芯は桁高の1/2なのは、何故?
  これは、突き詰めると回転ではなく、板金展開の理屈だという察しが付くのですが…。
  取り敢えず、私は検査官の前で汗を掻くことが無いので…良かった?
   
支保工 保守工事用の支え、と言えば言葉の意味はよく分かります。
(しほこう) 一般には、作業用の足場をチェーンで吊るための金具と、手すりの棒を指します。
  大掛かりなものになると、ゴンドラを吊るための金具だったりします。
  俗に、”添架物”と言われるこれらの部材は、図面が遅れて出てきます。
  ”この橋には、支保工がない”と思う前に、”支保工の無い橋が有るのか?”と考えましょう。
  ちなみに、RC床版の型枠を支える構造も”支保工”と呼ばれるようです。
  ペコビームの下には、必ず、これがぶら下がっている…でも、図面には描いてない。
  ”おたくの製品(橋)は、型枠の設置も出来ない”と、現地の担当者は怒られているのです。
   
斜張橋 ケーブルで橋を支えるという意味では、吊り橋と同じですが安上がり!!
  何しろ、ケーブルを支えるアンカーレッジが要らないのです。
  アンカーレッジは時として何十階ものビルに相当する、巨大な重りです。
  たかが重りに何億円…では採算が合わないので、斜張橋が開発されました。
  主塔が ”やじろべい”の支点で、ケーブルにかかる荷重を支える。
  まさに綱渡りのような構造だけど、それを可能にしたのがコンピュータだそうです。
  もっとも、コンピュータが有れば斜張橋が出来る(逆は真?)ではありません。
  でも、コンピュータ無しで斜張橋を作れと言われたら…返事が出来ないかも?
   
縦断勾配 橋の長さ方向の高低差を表す勾配…と理解すれば良いのですが、少し複雑です。
  一般に、橋を架ける場合、橋の両側は同じ高さであることが、理想です。
  しかし仮に、橋の両側が同じ高さであったとしても、橋の中央部は盛り上がっています。
  これが、死荷重以外の荷重に対する上げ越しであり、完成時の縦断と呼ばれる勾配です。
  (勿論、完成時の縦断勾配が0%(レベル)の橋も、無いわけでは有りませんが…。)
  完成時の縦断に対して、製作時の縦断と呼ばれる勾配が有ります。
  橋の自重(死荷重)に対して、キャンバー(ソリ)を付加した勾配です。
  一般に、上げ越しは正規の状態より高くなるようにかけますが、キャンバーは、複雑です。
  プラスの数値とマイナスの数値で、橋全体が、滑らかに自重を吸収するように付加します。
  …といっても、本当のところがどうなのかは、とても奥が深そうです。
  ちなみに、吊り橋に、キャンバーが必要か?と聞けば、知ってる知らないの差が出ます。
  また、縦断勾配が10%を越えると、自動車が走れるか?は、頭の片隅で常に考えましょう。
   
定規 罫書き定規、切断定規、検査定規…三角定規を想像すると大変なことになります。
(じょうぎ) 橋の定規と言えば、厚み2mm、幅20mm、長さ約10Mの鉄帯を意味します。
  鉄帯を一定の長さで切って、現物との長さ照合を行うために作成します。
  一般には、橋の1ブロック分の長さを必要とするので、1本10Mくらいかな?
  そんなに重くはないのですが、10Mもの鉄帯をジャラジャラ引きずるのは結構重労働です。
  ”定規マシン”なんていう機械が一台数百万円でも売れるのだから、皆さん苦労されている。
  また、鉄は刃物にもなるので、初心者が定規を”刻む”ときは、バンドエイドくらい仕度しておきましょう。
   
床版 床と言えば”布団”を連想される方…お疲れ様ですと言いたいですが。
(しょうばん) この場合、道路のアスファルトをひく面の事を指すようです。
  鉄板の上に、そのままアスファルトをひく場合は、鋼床版。
  鉄板の上に、コンクリートで道路の形を造ってからアスファルトをひく場合は、RC床版と呼びます。
  鋼橋に携わって日の浅い頃は、RC床版の図面なんて見る機会が少ないものです。
  単純箱桁や鈑桁の図面を見て、”道路が無い”と不思議に思って下さい。
  電車じゃあるまし、まさか鈑桁フランジの上を直接、車で走れるはずは、ないのです。
   
上部工 通常、鋼橋の発注は、”○○橋、鋼上部工工事”という名称で行われます。
  当然、鋼桁の製作が上部工の製作なのですが、RC床版が含まれるのかどうか、分かりません。
  上部工の図面には、何故か下部工の検査路や排水設備の図面も付いています。
  だとすると、下部工付きの部材も、上部工なのか?と考えてしまいます。
  もしかすると、鉄は上部工、コンクリートは下部工…ではないのですが…。
  いずれにしても、所掌範囲の区分けは重要な作業です。
  ”この検査路、材料発注はうちだけど、製作は?”なんていう言葉を聞いたら、ニッコリとして
  ”本体付きのピースまで、全力を尽くします。”と、答えています。
   
伸縮装置 橋は道路の一部なので、橋だけ架けても車は橋を渡れません。
(しんしゅく) 仮に、道路と橋をピッタリくっ付けるとどうでしょう?
  夏の暑い日、橋は膨張して対岸の道路を壊します。
  逆に冬の寒い日、橋は縮んで対岸との間に車が落ちる?
  長大橋ともなると、その差は何Mにもなるようです。
  勿論、それでは困るので、橋と道路の継目に伸縮可能な継手を設置します。
  橋を車で渡る際、その継手の上で”カタン”という軽い音と振動を感じる事が有るはずです。
  ここが橋の付根だな…と思ってくれれば、伸縮装置を作った人も報われます。
   
スタッドジベル 一般に、スラブアンカーと同じ”ズレ止め”と表現されていますが、こちらは橋の主構造です。
  スラブアンカーは、およそ1M間隔に取り付けますが、こちらは、”ベッタリ”付けます。
  専門的には、合成桁と呼ばれる桁の製作に使われます。
  鋼(メタル)とコンクリートを合成する(引っ付ける)訳ですから、並大抵では有りません。
  無数に近いボルト状の鉄筋を、フランジの上面に溶接して、コンクリートで固めます。
  ”ズレ止めを付けといてね”と言われたら、せめて”スラブアンカーですか?”と聞きましょう。
  白髪も、まばらなら若白髪ですが、無数になると、染めることさえ困難です。
   
スプライス 添接板(接合板)のこと。
  ボルト(以前はリベット)を締めることで得られる摩擦力を利用した接合部材。
  鉄板と鉄板のサンドイッチで鉄板と繋ぐ?部品です。
  (溶接と異なり、火を使わないので安全)
  専門的には、”摩擦接合”と呼ばれる接合方法です。
  ボルト接合の一分類なので、全てが”ボルト=摩擦”では有りません。
  尚、”スプライン”は曲線で、スプライスは通常、矩形(ポリライン形状)です。
   
スラブアンカー 奴隷と錨…なんともユニークな用語ですが、単純に言うと、ズレ止めです。
  スラブは、橋梁において、床版を意味し、専門的には、非合成桁に使用されます。
  鋼構造の桁と、RC(鉄筋コンクリート)の床版(道)は、元来、引っ付きません。
  そのため、鋼桁の上に、出っ張りになる”鉄の棒”をたくさん付けておきます。
  その上にコンクリートを流せば、引っ付かないけど、固まれば、ズレません。
  たくさんのアンカーで、ひたすらズレを止める働きをするから”スラブ”なのかも知れません。
  ちなみに、スラブアンカーの配置線をマーキングする際は、干渉に要注意。
  吊り金具、計測ナット、板継ライン…箱桁なら水切りPLとの位置関係に気をつけましょう。
  むやみにスラブアンカーを動かすと、現地で目立つので、優先順位も確認しましょう。
   
線形計算書 橋の道路面を、X,Y,Zの座標で表現している計算書。
  橋の製作は、図面通りではなく、線形計算書の数値(座標)を元に進められます。
  設計コンサル、橋梁メーカー共に、線形計算書の照査を行っているわけですが、これが難解です。
  桁間隔が不均一だったり、平面線形が蛇行したりしていても、数値だけでは分かりません。
  それ故、線形の計算ともなると、電算システムに頼る部分が大きくなる傾向に有ります。
  原寸担当者が”おかしい”と気付いても、線形計算者の経験が浅いと最悪です。
  ”システムが出している結果なので正しいです”、と言いきる電算屋には、御用心です。
  また、計算書の価格によっては、ウェブ上縁のZ座標は計算されてないことが、まま有ります。
  線形計算書の座標を使用したのだから…では、言い訳にはならないので要注意!!!
   
ソールプレート ソールは基部…橋の基部(靴の底)に付く鉄板です。
  通常は、1M四方で50mm程度の鉄板を、桁の下に溶接(ボルト締め)している部材です。
  図面でみると、ほぼ正方形の鉄板に孔が明いているだけのように見えます。
  ところが、ソールプレートは、その他の部材と異なり、機械切削加工が必要です。
  また、高材質で厚板というのが一般的なので、その加工は、より慎重さを要します。
  ソールプレートに不都合が有ると、その発見は、仮組み時、または現地架設時になります。
  取り合う部材(シュー又は支承)が、その時点まで現物として、見えないからです。
  何事も下駄を履くまで分からない…という典型的な例かな?
  ちなみに、現地での不具合は、工場内での不具合とは比較にならない位、費用がかかる?
  戦艦を引き上げるようなサルベージ船のチャーター料金は、あなたの給料の何年分?
  ちょっと待って下さい…と言ってる間に、ソールPL数枚分の費用が飛んで行く…。
   
対傾構 ”たいけいこう”と読むのですが、なぜ対傾構なのか、よく分かりません。
(たいけいこう) SWAYと表現されるのですが、要は断面を形成(支配)するトラス構造です。
  弦材は、上弦材、下弦材、斜材に分けられますが、何故かブレースとは言われません。
  ガセットも上弦材付き、下弦材付き、中間の3つに分けられますが、他の表現は聞きません。
  気を付けたいのは、対傾構の中を検査路が通る事が多いこと。
  中間ガセットが路を塞いでは、検査官も良い顔をしません。
  ところで以前”スラストーケー”とは?の答えが”スラスト受け”だったことが有ります。
  ”タイケーコー”と聞いて、万馬券では…と錯覚無きよう。
   
ダイヤフラム BOX構造の骨になる鉄板を指します。
  造船では隔壁、隔板などと言われますが、橋の場合、浸水の心配は少ないようです。
  密閉構造にするのは、橋の起点(端部)だけです。
  もっとも、浸水を防ぐためでは有りません。
  BOX構造の橋は、野鳥や蛇の住家になることも多いもので…・。
  ダイヤ=矩形=図面通りの一般論が有るので、つい安易に図面通りに作成しますが…。
  だから、正しい…という保障は無いのがダイヤフラムの悩ましいところです。
  一番怖いのが、主桁ウェブのモールド確認ミスによる影響でしょうか?
  こればかりは、間違うと全量誤作で、しばらく笑顔など作れなくなります。
   
ダブリング 切り抜き穴(開口)が有れば、切り抜き穴補強と呼ばれるダブリングPLが、必要になります。
  切り抜き穴から鉄が腐食しても、一定の強度を保つ目的があると考えられます。
  ドーナツ状の鉄板を、穴の周囲に貼り付けます。(勿論、溶接で付けます。)
  道路橋示方書には、溶接部材は、取材の材質に合わせる旨、書かれています。
  同じ穴のダブリングなのに、実は、材質が何種類にも分かれるというのは、当たり前です。
  形が似てればなんでもいい…では、ひどい目に合うこと間違いなしです。
   
断面 側面、正面、平面…どちらから見ても断面は存在します。
  橋梁では、”断面”といえば、橋軸直角方向(道の幅方向)を指します。
  ”断面部材を一式お願いします。”と言われて、横桁だけなら…と一般には考えます。
  しかし、”断面部材は、縦桁(橋軸方向)も含む”という考え方は確かに有ります。
  それは、間違いではなく、”ウソ”でしょう、と思った時には、最低2日の徹夜が待ってます。
   
地覆 ”ジフク”と呼ばれる構造は、道路と歩道の境界や道路の端に有ります。
(ぢふく) 勿論、車が境界を越えないことが目的なので、30cm程度の高さと幅で造られています。
  鋼製地覆は鉄板を曲げて、RC地覆は鉄筋とコンクリートで造られます。
  鋼橋製作では、鋼床版の製作において、問題になります。
  橋は、直線的な線形ばかりでは有りません。
  曲がった橋に、曲げ加工の必要な鋼製地覆…考えただけで、めまいがします。
   
吊り金具 一般に、吊り金具は、足場用とブロック吊り上げ用に分類されます。
  足場用は、俗に、支保工用とも呼ばれ、橋の構造に影響を与えるものでは有りません。
  ブロック吊り上げ用の吊り金具は、ブロックの大きさによって、大きく構造が異なります。
  本四連絡橋のように、台船から、大ブロック吊上げ工法を取るための吊り金具は、凄いです。
  H−ST、V−STは元より、ウェブでもデッキでも全てを犠牲にして、吊り金具が設置されます。
  そんな化け物が、原寸作業の後半に現れると、”今までは、なんだったんだ?”になります。
  ”吊り金具が保留です”、と言われたら、”足場用ですよね?”と念押しをしましょう。
  もっとも、足場用吊り金具が保留だった経験は、ほとんど有りません。
   
DXF・CL 現在、日本でCADデータからNCデータへの変換する際の代表的な中間フォーマット。
  DXFは、オートディスク社のオートCADに標準装備された、他社CADとの互換フォーマット。
  (フルネームは、drawing exchange format。ちなみに、オートCADの標準フォーマットは、DWG)
  ファイルフォーマットが公開されているために、NCデータへの変換ツールが増えています。
  CLは、日本電子計算が推進している中間フォーマット。
  ファイルがコンパクトな上に、最初からNCを意識しているので、根強い人気が有ります。
  どちらを自社の標準フォ−マットにするかは各社の判断ですが、日本では半々かな?
  今後、どちらが主流になるかは分かりませんし、若しかしたら、別のフォーマットが主流になるかも…。
  だって、NCの中間フォーマットと言えば、世界標準はIGESですから。
   
添架物 大きな橋(長大橋)になればなるほど、人のライフラインが橋に付随する傾向が有ります。
(てんかぶつ) 支保工、スラブアンカー、計測ナット、検査路といった橋を支える添架物は当たり前。
  水道、ガス、電力、電話線、光ファイバーケーブルに至るまで、添架物として分類されます。
  水道管破損時の水抜き穴や電力ケーブル引き込み穴など、添架物による添架物も存在します。
  桁の中が、さながら”共同構”のような状態で、橋なのか建物なのか分からなくなります。
  全長、1KMもの長大橋になると、添架物の図面が、橋の図面より多くなります。
  その設置費用は、”橋”本体の製作費用に含まれているのかどうか、判然としません。
  一般に、添架物の本体位置出しは、原寸作業者の所掌範囲です。
  添架物自体の製作は、一般には、専門業者になっているようです。
  いずれにしても、添架物が増えても、”トンいくら”の世界では、苦労が増すばかりです。
  添架物は、”ゴマラー油”くらいが、発注側、製作側双方の利益になるようです。
   
電気設備 橋が大きく長くなればなるほど、橋自体は、建設物としての設備が必要になります。
  道路に照明が必要になれば、そのための電線ケーブルが必要です。
  BOX桁ならば、箱内の作業時に、蛍光灯の一つも必要です。
  より大きな橋になると、センサー、電光掲示版、配電盤など電気設備は、たくさん付きます。
  その、ケーブルを留める金具の位置出し…設計も原寸も重労働になります。
  ここに蛍光灯が付くから、ケーブル留めが必要…という風に図面を読まないと、必ず、失敗します。
  勿論、ケーブルの取り付け位置に、コンマ数ミリの精度は、不用です。
  最後は、取りあえず、孔だけ明けておけば…では、まずいのですが、結構上手に造ってます。
  桁の中に、事務所を作っても、快適に過ごせるくらい、電気設備は充実しています。
   
道路橋示方書 日本道路協会発行の、道路橋のバイブル(基準書)的な書物。
  建設省発注橋梁の”合否判定基準”は、通常”道路橋示方書による”と図面に明記されています。
  他にも、”阪神高速基準”、”名古屋高速基準”、等の基準が有りますが、最も”ポピュラー”です。
  (ちなみに、一番きびしいのは、名古屋高速道路公社さんの基準だそうです。)
  溶接基準、孔明け基準、鋼種選定基準から、橋のスパン、幅員の許容値まで示されています。
  その根拠になる計算式まで示されていますが、数学と物理の達人でもなければ、理解不能です。
  それでも、橋梁に携わる人は、何度でも通読して欲しいものです。
  外注先の担当者から、”図面通り作っていいんですね?”と言われた経験は、誰しも有るはずです。
  ”何故、そんなことを聞いてきたのかな?”と思いつつ、”いいよ…”と答える人が居ます。
  橋示方書は、客先と外注先を結ぶ架け橋で有って欲しいものです。
   
トラス 鉄道橋(鉄橋)に多く見られる、橋の構造です。
  もっとも、これには語弊があって、たまたま、JRがトラス構造の橋が好きなだけ…かも知れません。
  橋の縦横に張り巡らされた、斜材が、橋の強度を表現してくれます。
  (勿論、強度的には、非常に優れています。)
  有名な、明石海峡大橋は、トラス構造を持つ吊り橋、と表現出来ます。
  純粋な意味でのトラス橋は、ワーレン、プラット、ハウ等の分類が有るようです。
  トラス構造の橋は、製作することが困難な橋といわれます。
  斜材の一本一本がBOX構造ともなると、どうやって造るのか…が真剣に議論されます。
  何故って、あの細いBOXの中に入って溶接出来る”人”が、通常は居ないのです。
   
排水 橋が屋外にある以上、雨や雪による水への対策は、どうしても必要です。
  一般に、橋はあなたの目線よりも上に有るので、橋から水が降ってきては、不都合があります。
  橋に貯まる水を、効率良く排水するために、排水設備が設けられています。
  橋の勾配が3%でも、横引きと言われる排水パイプの勾配は、10%程度に設定されます。
  この7%の勾配差を考慮した、取り付けピースの位置出しが、原寸には必要です。
  この計算と、展開計算が出来れば、取りあえず、橋梁原寸で食っていけるようです。
  もっとも、私はこの計算(排水計算)が大の苦手なので…橋梁原寸て、難しいなあ…。
   
箱桁 一般に、主桁が4枚の鉄板で立方体になっていれば、箱桁と呼ばれます。
(はこげた) 単純に、鉄板が1枚よりは4枚の構造の方が、強度や安定性が有ると思って良いようです。
  (大きな箱の上に道が有れば、それだけでなんとなく安心出来そうな気もします。)
  また、箱の中に水道管や電線を通せば、橋としての美観を損なわないのも利点です。
  但し、1枚が4枚になれば、重量が増えるので”究極”という訳では有りません。
  つまり一概に、鈑桁より箱桁が優れている、とは言えないのです。
  実際箱桁は、フランジに補鋼材が増える分、構造も複雑です。
  鈑桁なら1日に4ブロック作れる工場も、箱桁は1ブロック程度になるようです。
  日本の代表的な長大橋は、鋼床版箱桁が多く、スマートな姿が景色に映えます。
  でも、近所の高架橋の箱桁が有名にならないのは何故なのか?
  有名な橋=難易度が高く、皆が総力を挙げて作った橋…と思うのは私だけかな?
   
鈑桁 アルファベットの”I”の字形に鉄板を組んで、主桁にした橋を鈑桁と呼びます。
(ばんげた) 1枚の鉄板の上下縁を長細い鉄板で補強した構造なので”軽い”のが長所。
  軽い=安いのも、この業界では常識とされているので、重宝されています?
  また箱桁に較べると、まるでドミノの上に道路が有るようで、パッと見、大丈夫?と感じます。
  勿論、安い=危険?の心配は無いのですが、大きくカーブした橋には不向きのようです。
  どちらかというと、”一般的な橋”と言えるので、”鈑桁くらい…”という声もよく耳にします。
  しかし、鈑桁を甘く見ると、時としてとんでもないシッペ返しが有ります。
  鈑桁=容易という一般論は、単に価格が安いからという理由で言われていると思います。
  少なくとも、私は鈑桁で楽な思いをした事があまり無い。
  そう言えば、郷土の尾道大橋は、”鋼床版鈑桁”と呼ばれる構造です。
  兄弟橋の新尾道大橋は”鋼床版箱桁”ですが、違いは道路の広さだけですから…。
   
ハンドホール 一般的には、BOX桁の上フランジに開けられる、150φ程度の”手が入る”切り抜き穴です。
  各ブロックのジョイント付近に開けられていますが、要するにボルトがあればナットが必要なのです。
  ジョイントの添接ボルト(1つのジョイントで500本近い)を手渡しするのが主な目的です。
  BOXの外から内に、ボルトなりナットなりを渡すには、これしかないのです。
  開けた穴は、当然、塞がなくてはなりません。
  そのために、また、ボルトを渡す…これも案外、大変な作業です。
  ”通り抜けループ!!”が出来たら、一番に代用したい構造ですね。
   
フィラープレート 詰め物…の役割を持つ鉄板ですが、橋梁では、添接部に使用されます。
  母材の板厚が異なる添接部において、板厚差に等しい鉄板を使うことが原則です。
  例えば、2mmの板厚差に等しい鉄板は、一般には無いため、2.3mmの鉄板が使われます。
  勿論、1mmの板厚差に、フィラープレートは使用しません。
  母材にスプライスプレートがなじんで、ボルト締めによる摩擦力が充分働く。
  それが達成されれば、橋は長期使用に耐えうるようです。
  そう言えば、スプライスの鋼種は、結構問題になりますが、フィラーは別…のようです。
   
フェアリング 風きり板のことですが、自動車に付くと風防とかウィングとか言われます。
  台風が来て、風速30mの風が吹いても、橋全体が安定するように設置されます。
  橋の側面に、三角形の断面を構成する鉄板を、2枚づつ貼り付けます。
  三角形の頂点が、風の衝撃を上下に分散することで、橋の横揺れを防ぎます。
  一般に、海峡に架かる橋は、トラス構造でもない限り、フェアリングを設置します。
  また、一般に海峡に架かる橋は、直線線形なのですが…曲がった橋だと大変です。
  三角柱を平面から見て、曲線にすると、2枚の鉄板は、矩形では有りません。
  おそらく、出来て見て、”あれ?”と言うことになります。
  出来たものを修正する事は、時として、作る以上に大変なことを、思い知らされることになります。
   
プレツイスト 直訳すると、”事前にひねる”の意味ですが、文字通り、橋の横断をひねって作ることです。
  一般に、橋を上空(平面側)から見たときに、平行四辺形になる場合、検討されます。
  主桁のウェブが鉛直ではない状態として考えるため、製作が困難です。
  勿論、現地に架設されるとウェブは鉛直になるわけですが、どの方向にひねるのか?が問題です。
  端転びの説明だけでも大変なのに、橋が”ツイストしている”説明は、一段と悩ましい。
  ひねらなくても、滑らかに支点に擦り付ければ良い…のですが、ウェブが斜めになるのが怖い。
  まあ最近は、”斜めウェブ”も流行っているし…、でも本当のところは分からないらしい。
  実績では、どちらも正しいらしいのですが…と言うことは、両方知らないとダメみたい?
   
ペコビーム 俗に、”床版型枠吊りボルト受け”とか、単に”ペコ”と言われています。
  床版受けと言っても、直接、RC床版を受けるのでは有りません。
  RC床版を作る際の、型枠(ベニア板など)を支える支保工をぶら下げる金具です。
  (コンクリートが固まってしまえば、お役ごめん、といった代物です。)
  当然、コンマ何ミリの取り付け精度は必要有りませんが、無ければ困る代物です。
  また、不用意に取り付け位置をズラスと、対面側のペコビームと取合わない?
  決定的な誤作では無いのですが、聞かないと誰も教えてくれません。
   
歩道橋 歩道橋なんて橋なの?と言わないで下さい。
  どこかの会社の担当者が、”歩道橋は橋梁の登竜門”と言ったそうですが、まさにその通り。
  小さいのに何でも有り…というのか、ともかく図面も複雑だし、人が怪我しない構造だし…。
  おまけに、繁華街の歩道橋は美観を優先するので、製作にはかなりの力量が必要です。
  過去に歩道橋は製作したけど、その後は撤退した…という話が有るのも現実です。
  なにしろ、トンがない(受注単価が厳しい)のに、難易度が有ると…。
  思い起こせば、”2度と橋梁なんか…”と思ったのは、やはり歩道橋かな?
   
ミプソン 日本構研情報(株)、日本電子計算(株)が作った、橋梁原寸システム(MIPSON)。
  鈑桁、箱桁専用の一貫システムで、導入すれば、原寸費を従来の50%以下に出来る優れもの。
  数百トンの物件を、たった一人の作業者が二週間足らずで八割方の原寸出来るシステム。
  勿論、たった一人ということは、間違えた時のダメージは、強烈ですが…。
  業界では、色々なシステムが有りますが、これほど完成されたシステムは知りません。
  同じ日本構研のシステムに、マスターソン(MASTERSON)が有ります。
  こちらは、汎用性を持つ原寸システムで、それ故、ミプソン程、簡単ではないようです。
  一システム、”ウン千万円”だけの値打ちは有るのですが、100%を求めるのは、困難ですね。
   
モーメント 物を回転させようとする力…物理学の世界の用語です。
  しかし、橋梁設計においては、とても重要です。
  橋には、色々な力が作用します。
  荷重に対する引力はもとより、熱膨張、熱収縮、地震の揺れ、風の力、自動車事故の衝撃。
  橋が回転するのか?というと、回転するのです。
  曲げモーメント、二次モーメントといった言葉が出ると、設計の人には反論出来ません。
  モーメントと言われて、”ちょっと待つのかな?”と思うくらいのほうが、幸せなのかも知れません。
   
モーメントプレート 主桁ウェブの添接部に使用される”特殊な?”添接板(スプライス)を指します。
  曲げモーメントに対しての接合を目的とした添接板なので、シャープレートと区別されます。
  ちなみに、シャープレートは同じ添接板でも、せん断に対する接合を目的とした添接板です。
  一般に主桁ウェブの添接部では、シャーPLがモーメントPLを兼用しています。
  極端に桁高が高い場合、シャーPLの上下にモーメントPLが設定されるようです。
  あまり見かけないのですが、言葉だけは知っておかないとまずい?
  モーメント=瞬間だから、一瞬鉄になるPLなんてあるの?では、恥ずかしい。
   
溶接(開先) 鋼構造物の溶接において、開先は重要です。
  鉄板同士を溶け込ませて、くっ付ける溶接技術は、意外に新しい技術です。
  鋼橋製作において、ボルトによる添接構造が多いのは、安全性だけが理由ではないようです。
  景観から考えると、明らかに溶接構造の橋が美しいです。
  溶接は、完全溶け込み(フルペネ)と部分溶け込み(パーシャル)に分類されます。
  また、ユニオン、CO2での分類も有り、この構造には、この溶接だ…、とは一概には言えません。
  同じフルペネでも、工場の設備、作業手順によって、開先の取り方は異なります。
  ところでパーシャルは、開先不用…という錯覚が有るようです。
  逆に、フルペネだから開先が必要…だとは限りません。
  また、通常、図面指示通りに開先を取ると、大混乱間違い無しです。
  必要だから…と、捨て度70度の開先など指示しようものなら…。
   
横桁 一般には、断面=横桁と思って良いくらい有名な構造。
  複数の主桁をつなぐ役割と、横断勾配を形成する役割が有ります。
  製作時の横断勾配さえ分かれば、後は図面通りなので、CADで作っても作れます。
  また、多少は横断差がバラついても、添接部の鉛直度さえ押えれば丸めも効きます。
  その意味で、横桁はシステム出力がない…のもよく有る話なのですが…。
  横桁は、不用意に丸めると恐ろしい誤作が発生します。
  一番怖いのが、開口位置の誤作かな?
  検査路用の開口位置が異なるのに、外形が同じだと、つい見逃してしまう。
  アッと気付いた時には、何十枚ものウェブがダメになってしまう…。
  この穴が何の穴なのか?理解してから作業する事が大切です。
   
横構 ”よここう”と読むのが正しいらしいのですが、みんな”おうこう”と言ってます。
(よここう) 確かに、”よここうブレース、よここうガセット”とは、言わないのです。
  ブレースは、突っかい棒を意味するようですが、平面での斜材を指します。
  ラテラルブレースは、平面突っかい棒だから、それなりに通じる表現です。
  ガセットは、斜材の集まる箇所につけられる、ひかえ材(補強材)を意味します。
  対傾構が断面トラスならば、横構は、平面トラスです。
  ”横構の形構と板が取り合わない”という会話を聞く事が有ります。
  正しくは、”横構のブレースとガセットが取り合わない”という意味です。
  勿論、”そんな会話は聞いた事がない”…のが最良です。
   
ラーメン 橋梁メーカーの従業員が、カップヌードルを作るのは、案外、日常茶飯事なのですが…。
  勿論、ラーメン橋(脚と上部工の剛結構造橋)を意味しています。
  私が知る限りでは、π型ラーメンとV型ラーメン、門型ラーメンがあります。
  主に、深い渓谷に架けられる…と言われていますが、案外、高速道路にも使われています。
  渓谷に映えるラーメン橋は、景観的には素敵なのですが、渓谷を観る余裕が無いのも現実です。
  ちなみに、ラーメンはドイツ語で”額縁”を意味するようです。
  でも、たまには、のんびりと渓谷の景色を眺めながら…ラーメン食いたいですね!
   
落橋防止装置 ”落防”と省略して呼ばれる事が多いので、フルネームだと舌を噛みそうです。
  読んで字の如く、橋が落ちるのを防ぐ装置、という意味です。
  阪神大震災の時、高速道路が崩壊したのを見た人は、橋が落ちるという意味が分かるはずです。
  それまでの地震では、揺れを橋の重さと弾力性で吸収出来たので、”落ちなかった”のです。
  それ以前も落橋防止装置は有ったのですが、橋と橋をピン1本で繋ぐ構造が主流でした。
  ところが、実際には落ちてしまった…これでは、落橋防止の意味が無い。
  それで採用されたのが、現在のPCケーブルタイプの落橋防止装置です。
  要は、隣り合う橋同士を、PCケーブルで繋げば落ちないだろう?という構造ですが…。
  勿論、他にもブレーキトラスやらストッパーやらの構造も有ります。
  しかしこればかりは、本当に大地震が起こってみないと分からない部分も有る訳で…。
  橋作りって、本当に難しいですね。

更新日 02/07/07
名前 なかむら