バンダジェフスキー教授釈放!

以下は、アムネスティ国際ニュースの拙訳です。
教授の釈放のために御協力いただいた皆様、どうも有難うございました。

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アムネスティ国際ニュース(2005年8月12日)

AI Index: EUR 49/009/2005
ニュースサービス No: 222

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ベラルーシ:良心の囚人であるユーリ・バンダジェフスキー教授が自由に
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「支援を実感させてくれた世界のアムネスティ会員に大いなる感謝を送りたいです。アムネスティ・インターナショナルの活動はとても有益です」
 ユーリ・バンダジェフスキー(2005年8月10日)

著名なベラルーシの研究者、ユーリ・バンダジェフスキー教授が、8年の刑の内、4年を服した後、8月5日に牢獄から条件つきで釈放された。アムネスティ・インターナショナルに語った所では、ユーリ・バンダジェフスキーは自由な生活に慣れながら仕事の可能性を探っているところだという。第2次大戦終結60周年を祝うため、5月5日にルカシェンカ大統領によって宣せられた恩赦によって彼は突然に釈放された。

しかしながら、アムネスティ・インターナショナルは、ユーリ・バンダジェフスキーがこれから5年間、当局の監督下におかれることを憂慮している。その様々な条件とは警察に定期的に報告しなければならないこと、いかなる管理的、政治的役目を担うことを禁止することを含んでいる。アムネスティ・インターナショナルはそれらの条件が解除されるためにキャンペーンを続ける。

背景情報

2001年6月18日、ユーリ・バンダジェフスキー教授は、自らが所長であったゴメル医学研究所への入所を求める学生から賄賂を受け取ったとして有罪となり、8年の投獄の刑を宣告された。彼はずっと自らの無実を訴えつづけた。ベラルーシ国内及び海外の裁判監視者たちは裁判が不当であると信じており、アムネスティ・インターナショナルは裁判前の勾留期間中、彼が弁護士にアクセスできなかったことを憂慮していた。彼がチェリノブイリの核惨事に対する当局の対応について公に批判していたゆえに罪を捏造されたと確信し、アムネスティ・インターナショナルは彼を良心の囚人のケースとして採り上げた。

1999年以来、ユーリ・バンダジェフスキーのケースは多数の国内及び海外の人権組織、また人気のあるロシアのロックバンド「レニングラード」や英国のロックバンド「ザ・キュア」を含む有名人たちにも注目された。


原文は下記のURL
http://web.amnesty.org/library/Index/ENGEUR490092005


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■以下は、2003年5月に書いたものです。

以下は、ユーリ・バンダジェフスキー教授の妻であるガリーナさんが夫の自由のために
書いた手紙と、アムネスティが呼びかけているシートです。いずれも拙訳で公式訳ではありません。
シートを発行したアムネスティのメディカル・チームからは2003年5月時点でも、
状況に変化はなく、まだ使えるシートとの連絡がありました。
御協力いただければと存じます。

右からバンダジェフスキー教授、弁護士、ガリーナ夫人

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夫の健康悪化についてガリーナ・バンダジェフスカヤが国連人権委員会と恣意的拘禁
に関する国連作業部会に送った手紙

ミンスクより 2002年9月6日

拝啓

 ミンスクで1年半の間、投獄されているユーリ・バンダジェフスキー教授を助ける
ため私に御援助いただきたくお手紙します。医者として、私は彼の健康状態が突然ど
んなに悪化したかを憂慮しております。牢獄はサナトリウムではないですし、壁の間
にいることは健康を改善するものではありません。単に生き延びること、また刑務所
というシステムの攻撃によって殺されないことさえ、とても困難な場合もあります。
耐え忍び抵抗する唯一の方法は、確固たる信念だけです。
 
 私の夫は科学の価値を強く信じていました。科学は彼の神であり、彼は自分の主張
が正しく、また自分が人類の利益のために働いていると理解していました。

 彼の研究を支持した人々の援助、そして彼の被拘禁状態の改善により、彼が耐え抜
き勝利者となることを、私は思い描きました。

 しかし、被拘禁状況が改善された直後、彼の身体的状態と見通しに突然変化がおき
ました。バンダジェフスキー教授は新しい環境にとても感謝し喜んでいました。彼は
80人の他の収容者と一緒の一般部屋から、3つのベッドと1台のテレビ付きの部屋に
移されたのです。仕事のためにコンピューターさえ与えられました。彼は次のように
私に手紙を書いています。「許可された範囲内ではあるけれども、とうとう生産的な
仕事をすることができるようになって嬉しい」と。

 最初の内、私たち家族は安心しました。というのも、働くこと、また彼が愛したこ
とに再び献身できる可能性が、この困難な状況下で耐えぬきしっかりした気持ちを維
持するのを手助けすると思ったからです。

 しかしこの安堵感は時期尚早でした。改善だと思ったこれらの新しい状況は実際は
罠だったのです。私は夫が日毎に変わっていくのがわかりました。以前は彼は毎日、
家族に手紙を書き、自分の考えを私たちと分かち合い、次の日の計画を語ったり、私
たちに科学の原稿を送ったりしました。自分の被拘禁状態が極端に厳しいものである
にもかかわらず、すべての被拘禁者の中で、彼は手紙を通して、生きて働き、そして
家族の士気を鼓舞する強さを見つけていたのです。

 6月5日(被拘禁状況が改善された日付)の後、夫からの手紙の回数はだんだんとま
ばらになってきました。彼はもはや科学について書きたがりませんでしたし、子ども
たちや家族のことに関心を示さなくなりました。

 3ヶ月ぶりに夫に会った時(この間ずっと、私は彼を訪ねることを許されませんで
した)、私は彼を見違えてしまいました。私の前の男性は別の男、打ちひしがれ周囲
に無関心な男でした。生気を失った眼差しの彼の虚ろな目はとても大きな苦しみを表
していました。彼は引き裂かれた自我を抱え、精神的に破壊された人間でした。

 彼は私に離婚するよう頼みました。同時に、自分が言っていること、あるいは今現
在自分がしていることを信用するなとも私に言いました。彼は彼自身が当時自覚した
状況、また彼の周囲で企てられた全てを考慮に入れてくれるよう私に頼みました。彼
が苦しんでいること、そして言いたいことをすべてオープンに私に話せる状況ではな
いのだということを、私は理解しました。彼はまた自分の考えをはっきりと表明でき
る様子ではありませんでした。自分の考えが頭の中ですべてごっちゃになってしまっ
ていること、そして壊れたレコードのように同じ考えがずっと繰り返されるのだと、
彼は私に言いました。「自分に起きていることが僕にはわからないんだ。自分につい
てもはっきりとした見方ができないんだ」と。

 自分の歯がぼろぼろになってきていること、頻繁な頭痛に苦しんでいることを、彼
は私に告げました。私は医者です。私の目の前にいるのが病人であり、彼の敵の努力
の結果、自らの自信をすべて失った人間であることを理解することができました。彼
は自分にとって神聖であったものにさえ価値を認めていませんでした。それはチェル
ノブイリに関連した彼の科学的業績です。釈放されたら科学的研究はもうしないと、
彼は何度か私に言いました。「放射能に関連したこの科学に僕は二度とタッチしない
よ」と。私がどうして自分の主張を裏切って何もかも放り出すのかと、彼に尋ねる
と、こう答えました。「僕らの子供たちが心配なんだ」

 私には夫が理解できません。まだ小さかった子供たちと共に放射能地域へ彼が引っ
越した時、彼は自分が引き受けているリスクをはっきりと認識していました。しか
し、放射能で汚染された地域に住んでいる人々を援助することで、このような行動は
正当化されると彼は思っていました。彼は私にこう言っていました。「僕たちは医者
だ。もし何かが僕らの子供たちに危害を加えるのなら、どうやって助けるかを知ろう
とするだろう。でもこの地域には何千という他の子供たちもいて、彼らも僕たちを必
要としているんだよ」

 そしてここにきて、自分の真実を守るために耐えぬいた結果、彼は私に断念したと
言うのです。彼はまるで、崖っぷちに追い詰められ、操られ、脅えた人、また圧力を
受け永久に虐待される人、子どもたちか科学かどちらかを選択することを強制された
人のように話します。

 彼は手紙の中であることを書き、私の質問に対し違った反応を示しています。

 彼の被拘禁状態が改善された後、このような変化がどのようにしてこう突然に起こ
りうるのでしょうか?

 今の所、彼は私と子供たちとの連絡を完全に絶っています。訪ねていっても彼は会
おうとしませんし、彼は家族に対してさえも信頼をなくしていると説明しています。

 彼が病人であり、刑務所システムの犠牲者であることは明らかです。彼らは彼の人
格を分裂させることに成功しました。彼は自分自身に疑問を抱き、混乱しています。
彼は抵抗できず、モデル製作の練り土のようなものになっています。つまり、好きな
ように改造でき、好きなように操作できるという。

 どうかこの科学者を死なせないでください。今の所、私にはっきりしている1つの
ことは、私たちが彼を失うということなのです。数ヶ月の間に、助けるべき人物が残
されていないことを懸念します。

 このような理由で、私は国連人権委員会に登録されている個人の申し立て手続きを
促進してくださるようお願いする次第です。

 21世紀において無実の人間が殺されることが許されぬよう、私は希望を持ち続けま
す。

G.バンダジェフスカヤ

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AI INDEX: EUR 49/016/2002                               2002年10月2日
一般向け

医療アクション
医学教授への医療と釈放を新たに求める
バンダジェフスキー教授、ベラルーシ

キーワード: 医師、不公平な裁判、良心の囚人、病的状態

序文
ユーリ・バンダジェフスキー教授の健康がひどく悪化しているという情報を、アムネ
スティ・インターナショナルは受け取った。伝えられる所では、彼はひどい鬱で苦し
んでいる。アムネスティ・インターナショナルは彼に対し適切な医療ケアが直ちにな
されることを要求し、彼の釈放要求を繰り返す。

彼の妻であり医師でもあるガリーナ・バンダジェフスカヤは2002年の9月に彼の夫を
訪ねた。3ヶ月以上前、最後に会った時よりも、彼の状態がひどく悪化していること
に彼女はショックを受けた。2002年6月5日に彼が大部屋から3人用の房に移されたと
き、勾留状態は改善されたが、それ以来、今度はひどい鬱が進行するようになった様
子である。

ガリーナ・バンダジェフスカヤは国連人権委員会と恣意的拘禁に関する国連作業部会
に手紙を書いた。それは彼女の夫のため国連人権委員会に提出される個人申し立てを
推進する目的によるものであった。(上記の手紙参照)

背景情報

医科の大学教師であり核医学を専攻しているバンダジェフスキー教授は、2001年6月
18日に懲役8年の刑を受けた。彼は学生から賄賂を受けたとして告発され有罪とされ
た。彼に対する有罪判決は1986年にチェルノブイリ原子炉の大惨事の科学的調査と国
家当局に対するあからさまな批判に関連していると、アムネスティ・インターナショ
ナルは信じている。アムネスティは彼を良心の囚人と考え、彼の即時無条件釈放を要
求する。

要請事項
下記の当局宛てにロシア語もしくは英語で手紙を書いてください。もし、貴方の職業
的立場から書くのでしたら、ヘッダーで職業がわかる用紙を使ってください。

・ひどい鬱に苦しんでいる様子である(UZ 15/1に収容されている)ユーリ・バンダ
ジェフスキー教授の健康悪化に懸念を表明してください。
・国連の被拘禁者取扱い最低規則の第22条1項及び22条2項に沿って適切な医療ケアを
彼に施すよう当局に促してください。それには以下のように書いてあります。

「すべての施設においては、少なくとも、ある程度の精神医学の知識を有する一名の
資格のある医務官による医療を受けられるようにしなければならない。医療サービス
は、地域社会又は国家の一般保健行政との緊密な関係の下に組織しなければならな
い。医療サービスには、精神異常の診断及び、適当な場合にはその治療のための精神
医学サービスを含まなければならない。

専門医の治療を必要とする病気の被拘禁者は、専門施設又は民間の病院へ移送しなけ
ればならない」

・ユーリ・バンダジェフスキー教授をアムネスティ・インターナショナルが良心の囚
人と考えており、彼の即時無条件釈放を求めていることを当局に喚起してください。

ガリーナ・バンダジェフスキーの手紙のコピーを同封してもよいでしょう。(上記の手紙
参照)

宛先

ベラルーシ共和国大統領
President of the Republic of Belarus
Alyaksandr Hryhoravich LUKASHENKA
Respublika Belarus
220016 g. Minsk
ul. Karla Marksa, 38
Administratsia Prezidenta
Respubliki Belarus
Prezidentu LUKASHENKA A.H.
Fax: +375 172 26 06 10

書き出し: Dear President

ベラルーシ共和国法務大臣
Minister of Justice of the Republic of Belarus
Viktor GOLOVANOV
Respublika Belarus
220084 g. Minsk
ul. Kollektornaya, 10
Ministerstvo yustitsii Respubliki
Belarus
Ministru GOLOVANOVU V.
Fax: +375 172 20 96 84

書き出し: Dear Minister

ベラルーシ共和国外務大臣
Minister of Foreign Affairs of the Republic of Belarus
Mikhail Khvostov
Respublika Belarus
220030 g. Minsk
Ul. Lenina, 19
Ministerstvo inostrannykkh del Respubliki Belarus
Ministru Khostovu M.
Fax: +375 172 27 45 21

書き出し: Dear Minister

労働コロニー長官
The Head of labour colony UZ 15/1
I.I. BAHUR
Respublika Belarus
220600 Minsk
ul. Kalvariiskaya 36

書き出し: Dear Mr Bahur

医療スタッフ長官
Head of Medical Staff
M.A. TUSHINSKY
Respublika Belarus
220600 Minsk
Ul. Kalvariyskaya, 36
Director of the Republican Hospital of the Ministry of the Interior
Tushinskomu M.A.

書き出し: Dear Mr Tushinsky

コピーを下記の宛先に送ってください。

ベラルーシ共和国大使館
Embassy of the Republic of Belarus in Japan
〒108-0072 港区白金4丁目14-12 白金Kハウス
Tel:03-3448-1623
臨時代理大使:アナトーリ・ステープシ 氏
Mr. Anatoly STEPUS

(例文)
書き出し                  日付

I am writing to you to express my deep concern over the case of Professor
Yury Bandzhevsky who seems to be suffering from severe depression.
I respectfully urge you to provide him with appropriate medical care in
accordance with articles 22(1) and 22(2) of the UN Standard Minimum Rules
for the Treatment of Prisoners.
In addition, he is a prisoner of conscience admitted by Amnesty
International.
I request you to release him immediately and unconditionally.

Respectfully yours,

拝啓 

 ひどい鬱状態に苦しんでいるとされるユーリ・バンダジェフスキー教授の件で重大
な懸念を表したくお手紙します。
 国連の被拘禁者取扱い最低規則の第22条1項及び22条2項に沿って、適切な医療ケア
を彼に施してくださるよう謹んでお願いいたします。
  また彼はアムネスティ・インターナショナルが認めた所の良心の囚人です。
 彼を即時無条件釈放してくださるようお願いいたします。

敬具

http://web.amnesty.org/library/Index/ENGEUR490162002?open&of=ENG-BLR