2004年2月5日 イスラエル・ハァレツ紙
モサド元長官:バヌヌ殺害の選択肢があった

ロイター電

イェルサレム−イスラエルの諜報機関は核の内部告発者、モルデハイ・バヌヌを反逆
罪で裁くための誘拐を決定する前、1986年に殺害することも考慮していたことを、モ
サドの元長官が木曜日に語った。

シャビタイ・シャビトはバヌヌが英国の新聞にイスラエルの主要原子炉での自らの仕
事について述べた後、バヌヌに対する「蜜の罠(ハニー・トラップ)」を首謀した人
物である。彼はこの4月の釈放後、この元技術者がさらに機密を洩らそうとしている
ことに懸念を表明した。

「もしその考え(暗殺)が私たちの多くの心をよぎらなかったのだと言えば、嘘をつ
くことになるでしょう」と、核開発能力に関するイスラエルの政策の曖昧さを吹き飛
ばすサンデー・タイムズのインタビュー記事が出た後のモサドでの議論を思い出しな
がら、シャビトは述べた。

「しかし、ユダヤ人は他のユダヤ人に対してそんなことはしません。彼は裏切り者で
した。それで、ユダヤのモラルとユダヤの法に従って、彼は入獄ということでその対
価を支払ったのです」とシャビトはロイターに対して語った。

49歳となったバヌヌは、ディモナの原子炉での仕事から解雇された後、キリスト教信
者となり、積極的な反核行動をするようになった。彼は秘密に支払いを受けるという
約束で、新聞社に話をした。獄中からの手紙で彼は、イスラエルの非通常兵器能力を
暴露するため活動しつづけることを誓っている。

60枚の写真を伴うバヌヌの暴露から、独立した専門家によって、イスラエルが100か
ら200の核弾頭を持つ軍事超大国であることが結論づけられた。

イスラエルは核兵器を持っているかどうか否定もしないし確証もしないという核につ
いての「曖昧」政策を採りつづけてきた。

バヌヌの元同僚の名前と核施設のセキュリティについての詳細は、そのインタビュー
記事には出ていなかった。バヌヌが18年の刑期を終えた後、これらのことが公になる
ことを懸念し、シャビトはバヌヌを合法的に沈黙させるよう要求しつづけてきた。

「この男を黙らせるよう提案する」とシャビトは述べた。彼は1996年にモサドから退
き、今はヘルツリヤ学際センターにある「反テロリズムのための国際政策研究所」の
所長をしている。「主に考慮すべきことは、イスラエルに損害を与えつづけようとす
る彼の意図だ。また彼は真実を話すだけだと誰が保証できるだろう?彼が想像するこ
とを一体何が止められるのだろう?」

治安筋からの情報によると、法務省は出国を妨げるためにバヌヌのパスポートを没収
し、彼に対するあらゆる報道取材も軍の検閲に従わせる可能性があるとのことであ
る。国家機密を論じようとする彼の企ては、新たな試練を意味することになろう。

http://www.haaretzdaily.com/hasen/spages/391180.html