バヌヌ氏に対する起訴状と朝日新聞

 英国のバヌヌさん支援者からメールが入り、下記の英国キャンペーンのウェブサイトにバヌヌ氏に対する起訴状の英訳が掲載されたとの通知が入りました。
 この起訴状に基づいて裁判が行なわれます。

http://www.vanunu.freeserve.co.uk/htdocs/chargesheet.htm

 起訴状の中に朝日新聞が昨年9月25日に掲載したバヌヌ氏に対するインタビュー記事のことが、記載されていることも知らされました。
 以下、抜粋です。

17. The Defendant spoke with Mr. Daiji Sadamori from Japan, who interviewed him for the Japanese newspaper The Ashai Shimbun. The interview was
published on September 25, 2004. In the interview, the Defendant gave details and information concerning his work at the NRC. The Defendant said,
that he has seen technicians from South Africa working at the reactor in Dimona, spoke about the cooperation between South Africa and Israel on the subject of nuclear technology and claimed, that Israel had 200 "atom bombs" He further stated, that he had previously warned of the poor maintenance of the reactor.

Defendant はバヌヌさんです。また、NRCというのは原子力研究センター(NuclearResearch Center)になります。文章中、Asahi でなくて Ashai になっていますが、それはスペルミスとして、とにかく恣意的としか言えない解釈があることに気づきました。以下の通りです。

○朝日の記事
「英紙サンデー・タイムズが86年、同氏の証言として『南ア技術者がディモナを訪問していたのを見た』と報じたことについて、内容が事実だと改めて確認した」

△起訴状
「被告はディモナの原子炉で働く南アからの技術者を見たことがあると述べており、原子力技術について南アとイスラエルの間の協力も語った」

○朝日の記事
「バヌヌ氏はディモナ施設の老朽化と放射性廃棄物による汚染の危険性についても指摘した」

△起訴状
「彼は以前に原子炉の杜撰なメンテナンスについて警告していた、と更に述べた」


 イスラエルが原爆を200発所有していた、というのはバヌヌ氏がサンデータイムズに語った証言や撮影した写真により、フランク・バーナビー博士などの核の専門家が弾き出した数字です。

 要するにあたかも新しい事実をバヌヌ氏が語ったかのように起訴状に書き、彼が誘拐される前に語ったこととの対応関係を精査していません。核施設の老朽化と放射性廃棄物による汚染の危険性は、イスラエルの核開発の歴史を知っている者であれば、誰でも言える話です。シモン・ペレス自身が核開発当時のことをイスラエルのテレビ番組で語っていた訳ですから。
 他の起訴状の内容については、詳しくコメントできる立場にありませんが、とりあえず知らせてくれた方には、以上のことを伝えておきました。

 ヘブライ語や英語ではない限り、外国での報道を好きなように翻訳しているケースが結構あるのではないかと思ってしまいました。