FLYNG POSTMAN PRESS VOL.61

 

悪戦苦闘している様をみてもらうのもひとつのショー
身体ひとつで、なるべく余計な演出に頼りたくない

 

8枚目のアルバム「vertical infinity」を引っ提げ
6ヶ月にも及ぶ全国ツアー真っ最中のT.M.Revolution。
T.M.R.こと西川貴教は、常に“求められる自分像”
を念頭に置いているように感じられる。彼が語る言葉の
端々から、そのプロ意識の高さが感じられるはずだ。

 

…気の早い話ですが、来年はT.M.Revolutionメジャーデビュー10周年なんですね

     「そうなんですよね。でも実感もあまりないし、ひとりの人間としてはあまり変わってない
      ような気もするし…不思議なものですよね。創作活動が枯れることもいまだにないですしね」

      …8作目の最新アルバム「vertical infinity」を今年1月にリリースして
       今はまさにツアーの真っ最中なわけですが…

     「今回のアルバムは全体としての統一感というよりも、1曲1曲の完成度を上げようとして
      作ったんです。だからツアーの曲順を決めるのもすごく難しくて…。まあ、それだけ色合の
      濃い曲が詰まったアルバムだったってことなんですけどね」

     …ライブの構成などを考える時、ご自身の頭の中でシュミレーションしたりするもんなんですか?

     「そうですね。曲順を決めると同時に、ステージのセットデザインなんかも並行してイメージ
      していってます。まあ最初にイメージしてものって、実際には物理的に不可能なことも多い
      んですけどね。“それステージ3つなかったら無理やで…”みたいな(笑)」

     …“見せる“部分のこだわりもT.M.R.のパフォーマー魂ですね。

     「でも、やたら仕掛けが多かったり難しい演出があったりしないんですよ。実は割とストレート。
      カッコ良く言ってしまえば、自分が悪戦苦闘している様を見てもらうのもT.M.R.のひとつの
      ショーなのかもしれないな、と。身体ひとつで勝負できるうちはなるべく余計な演出に頼りたく
      ない。身体ひとつで、どこまで世界観を創ることができるかってことですよね」

     …アルバムに通じる疾走感、攻めの姿勢ってやつですね。

     「今まで20枚シングルを出してきたけど、そのほとんどがアップテンポなですね。だからライブの
      中でのバラードの置き場所はかなり考えます。パーって盛り上がるのも好きだけど、いろんな
      アプローチで見せるというのも自分の中で必要なことだと思ってますから」

     …シングルのほとんどがアップテンポってすごいなぁ(笑)

     「その都度“次はバラード”と思ってるんですよ。でも求めれられるのがどうしても華やかな
      テンポがあるものなんで…。T.M.R.としては、期待されると応えなきゃって思うし(笑)
      いい意味でも悪い意味でもパブリックイメージというものがあるので、そこは大事にして
      いきたいですよね」

     …でも、最新アルバムに収録されてるバラードも良かったですし、一度そのパブリックイメージ
      を裏切ってみましょうよ。

     「もうホント、なんとかしなきゃねぇ…。しっとり聴かせることができないアーティスト、ちゃんと
      話ができない人間みたいに思われたらイヤだしなぁ(笑)」

     …最近はライブ会場でも男性のお客さんが増えてきたそうですね。

     「それは感じます。何か新しいものに興味をもってさらにレスポンスを返す早さっていうものは
      男性より断然女性の方が早いんですよ。男性がそのスピードに追いつくのって、時間がかかる
      んですよね。僕も長く続けてきたからこそ、男性にも能動的になってもらえたのかなぁ、と。
      やっぱり同性に共鳴しれもらえるのは嬉しいです。同性からは真価が問われるというか、僕の
      中身を問われてる感じがするので」

     …ところで今号のテーマは“SEXY”なんですが、西川さん自身のSEXYさってどこだと思われますか?

     「僕ですか?…僕はねぇ、ケツですね。ケツだけは負ける気がしないです。申しわけないけど(笑)
      僕のケツは小さくてコンパクトなんですが、高さもちゃんとあるんです」
(知ってるってば!)

     …(笑)。もっと内面的なSEXYに言及されるのかと思ってたのに。

     「これ、関西人の宿命なんですよ。自分のことについてカッコ良く言っちゃうってことが、ものすごく
      サブイって思っちゃう(笑)だってね、関西ではどんだけカッコ良くてもスポーツができても面白く
      ないヤツはそれだけで最下層に属するわけですよ。犬と同等、いや、まだ犬は可愛げがあるから、
      犬以下かも(笑)。そんな価値観、関西だけですよね」