"Betrayer"


「悪く思うなよ、宗介・・・・・・」
「クルツ・・・・・・」
 その台詞を最後に、宗介は倒れた。
 望まぬ戦いを終えたクルツの眼。
 そこには感傷はなかった。
 ただ事実だけを見据えている。
 目の前で倒れている宗介。
「なぜ−こんな事になっちまったんだ・・・・・・!」
 吐き捨てるようにクルツが呟く。
「仕方ないよ。仕方ないんだ・・・・・・」
 マオはただそれだけしか言えなかった。
 自分たちの望む世界。そのために。
 あえて宗介を裏切らなくてはならなかった。
 その事を悔やんではいない。悔やむべきではない。
「これで、終わりだよな?もう、戦わなくていいんだよな、マオ姐?」
 クルツは涙を隠さなかった。
「ああ。終わりだよ」
 マオも泣いている。
 ただ、夏の太陽は無慈悲にその光景を見下ろしていた。



 満ちる静寂。その静寂を破り、クルツが呟いた。
「これで・・・・・・」
 一呼吸。
「これで泳げる!遊べる!俺はやったぜぇぇぇぇ!」
 満面の笑みを浮かべ、空に吼えるクルツ。
「ソースケ!あんたも諦めて水着に着替えなさい!」
 びし!と宗介を指さすマオ。
 その二人を前に。  
「ぬぅ・・・・・・」
 宗介はただ、唸るしかなかった。


to be continued

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