"Beginning"
はじまりはある夏の日の朝。
「うううううううう〜暑い〜」
クルツは茹だっていた。
「何でこんなに暑いんだよ〜!」
「うっさいわねー!エアコン壊れてんだから仕方ないっしょ!」
やはり苛々したようにマオ。彼女も壊れかけている。
「騒ぐな。騒ぐと余計に暑い・・・・・・」
表面上は平然と宗介。しかし、彼もまた参っていた。
(ぬぅ。何ということだ。これでは報告書の作成もままならないではないか・・・・・・!)
突然クルツが叫んだ。
「だぁぁぁぁぁぁ!もー我慢できねぇ!海行くぞ海!」
普段ならマオが止めていたであろう。
「こ・の・大馬鹿者がぁっ!」
と回し蹴りの一つでも放って。
しかし−マオも壊れていた。
「海・・・・・・いいわねぇ・・・・・・うふふふふふふふ」
「海・・・・・・いいよなぁ・・・・・・ぐははははははは」
「うふふふふふふふふふふふ」
「うひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ」
宗介はただ呆然と二人が壊れていく光景を見やるしかなかった。
(俺は・・・・・・無力だ・・・・・・!)
そんなとき、不意にテッサが入ってきた。
「メリッサ−あの時の報告書だけど・・・・・・?」
テッサが凍った。
壊れている二人を見て。
「サガラさん、これはどういうことですか?」
厳しい声。
「は。エアコンが故障しまして。そうしたら二人が、その・・・・・・」
「その、何ですか?」
「海に行く、と言い出しまして」
(大佐殿は聡明な方だ。きっと二人を止めて下さるに違いない)
宗介は希望にすがった。しかし。
「許可します」
「は?」
希望はあっけなく崩れた。
「訓練、というわけですね。許可します。ただし・・・・・・」
「ただし、なんでしょうか?」
「私が監督します。ちゃんと訓練するように」
宗介はただ、何事も−悪いことが起こらないよう祈るしかなかった。
−to be continued
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