歯医者へ行こう!  第5回  基礎工事始まる

     先生曰く、かなり根も深くやられてるから、それも削ってしまうんだって。 そうすると歯を支える
     土台がないから、まず土台を入れてから改めて冠(かん)を被せるんだそうな。 
     土台を入れるかぁ・・・ まるっきり土木工事だな。 よく考えてみたら「歯を治療する」なんて言うけど、
     あれって治るわけじゃないんだよね。 虫歯で傷んだ部分を削ってしまうんだもん。 元の歯には
     絶対返らないんだもん。 だったらこれって「治療」っていうよりは「修理」って言った方が
     いいんじゃないのかなぁ。 まさに工事だよ、これ・・・ 
     ぽっかりと空いた穴にとりあえずセメントを詰められた。
     受付では痛み止めをくれた。 麻酔が切れたらかなり痛むかもしれないんだって。 
     げっ?  それを飲まないといけないくらい痛むかもしれないの? やだなぁ・・・  一体どんな痛みが
     襲ってくるってんだろう?  想像するのも怖いよ。

     家に帰ってもいつ麻酔が切れて恐ろしい痛みが襲ってくるのかとビクビクのにゃお。 何も食べる気に
     なれないし、第一食べてもなんか痛いんだよね。  ああ、そうこうしてるうちになんか口の中が
     変な感じになってきたぞ。 工事してる歯のあたりが痛痒い感じ。 でもその他に痛みは来ないみたい。
     どうやら痛み止めのお世話にはならないで済むのかな?



     翌週の修理の日。(にゃおは先週以来、治療と言わず修理と言うようになっている)
     先生に痛みませんでしたかと聞かれたにゃおは、痛みはなかったが痛痒い感じはしたと伝えた。
     「ああ、それ典型的な歯茎の痛みですね」  
     へぇ〜 そうなんだ。 歯が痛いんじゃなくて、歯茎が痛かったのか・・・ 

     仮の詰め物を取られ、地獄の穴が再び口を開ける。
     「麻酔しますから、チクっとしますよ」
     口の端が引っ張られる。 うき〜 来るぞぉ〜 身構えたはずだったけど、やっぱり痛い。  
     チクっとするどころじゃない〜 痛い〜 痛いぞぉ〜  なのに何ヶ所にも容赦なく麻酔が打ち込まれる。 
     せ・・・先生、その歯、神経が抜いてあるはずなんですけど、それでもそんなに麻酔要るんですか?(T_T)
     その後、ガガガガ、ゴゴゴゴ、キュイ〜〜〜ンと機械音が響く。 ダメだ、気を逸らさないと・・・

     その時、ふと待合室から子供の声が聞こえてきた。 受付のお姉さんと遊んでいるらしい。
     そちらへ神経を集中させる。 どうやら子供は自分勝手に唄を作って歌っているようだ。  ウケた
     お姉さんが大笑いしている。 それでますます興に乗った子供はテンションを上げて歌いまくる。
     ぷ・・・ あ・・・ ヤバイ・・・ おかしすぎる・・・ 笑いそう・・・
     大きな口を開けていないといけないのに、笑いがこみ上げてきて口が横へ開きそうになる。
     笑っちゃいけないと思えば思うほど、おかしくなってくるのが人間の常(本当か?)
     にゃおは必死に笑いをこらえた。 ぎゅっと目をつぶり我慢する。 口の端がヒクヒクする。
     だめぇ〜 笑いたい〜〜〜〜
     ようやくうがいの許可が出たのでにゃおは身を起こし、口をすすいだ。 その時に密かに笑った。 
     でもたぶん肩が揺れたろうからバレたかもしれない。
     その日、先生はなにやら薬を注入し(説明してくれたけど気もそぞろで忘れてしまった)、また詰め物を
     してくれた。 歯茎が腫れているから土台はまだ入れられないらしい。 土台を入れたらその奥の
     ちょっと虫歯になっている歯を修理するんだそうな。
     C= ( ̄ー ̄;;) ふぅ〜  先はまだまだ長いなぁ・・・

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